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閑話とある人間のお話2


ラグア達がふざけた会議をしている頃、リンガイア王国ではある青年勇者が旅立った。


青年の名はシュドレ・イロード。

リンガイア王国の勇者で魔王ラグアに殺された、ゼノム・イロードの息子である。


彼が父親を失ったのは7年前。

彼は7年前の父親との最後の会話を思い出す。


〜7年前〜


「父さん、魔王ラグアはやめた方がいい。ゼギウスさんもやめた方がいいって言ってるし。」


彼は両親には、自分が転生者である事とゼギウスの加護を持っている事を話していた。

当時彼の父親は新参魔王、ラグア・エルライドを倒して、エルライド王国を解放する様に依頼を受けていた。


「なーに、13魔王にも入れない程度の新参の魔王なんか俺の敵じゃないし、仮に敵わなくても俺のスキル、不死王と再生王があれば死ぬ事はないから大丈夫だ。心配すんな。」


ゼノムはそう言ったが、実際には、この時のラグアは第二世代の魔王、ジオ・デストロイアを倒し、残りの第二世代が死王星に引きこもる原因を作った。

結果、13魔王は事実上の半壊状態にまで追い込まれた。

だが、ゼギウスはこの事実を伏せていた。

シュドレにゼノムを止めるように言いつつも理由までは言えなかった。

他の神の担当の転生者の情報を漏らす事は制約で禁じられている。

それに、残った13魔王の1人ゼブル・ガイウスが13魔王の弱体化を悟られないよう、情報工作を行ったのも大きい。

これらの事からリンガイア王国にはラグアがただの新参魔王と言う情報しか入ってこなかった。

これがゼノムが死ぬ事になる、大きな要因だったのは

間違いない。

シュドレはいつの日か父の仇を討つ事を誓った。


〜〜〜


父親が死んで少しした頃だ。

魔王ラグアが死んだと言う噂が流れた。

ヤツがそう簡単に死ぬはずがない。

シュドレは確信していた。

それから約7年、シュドレはただひたすら自分を追い込み続けた。


〜現在


やはり魔王ラグアは生きていた。

大勇者カダル・ミルレウスの訃報が届くのにかかった時間はたったの半日だった。

この世界には魔法で情報を伝える方法があるらしい。

シュドレは勇者に進化し、正直昔の父の実力はもう超えていた。

だが、まだ魔王ラグアに勝てるとは思わない。

それでも旅立つのは、エルライド王国に行き、あわよくばラグアの配下に加わり、それが出来なければエルライド王国に住み、内部から暗殺する為だ。

汚い?そんな甘い考えはとうに捨てた。

父の仇を討つ為なら俺は鬼にでもなる。


現在は2人の仲間と共にエルライド王国に向かっている。

彼の仲間は、魔法使いの少女で幼馴染のシャリーと戦士で親友のバルダだ。

2人共、王級には及ばないが、レベルも80代で人間ではかなり強い。

ちなみにゼギウスさんは最近になって制約から解放されたが、ゼギウスさんと相談して隠れてもらっている。

理由はゼギウスさんは最後の切り札だからだ。

だがゼギウスさんでもラグアを倒すのは厳しいらしい。

だが、切り札は今は隠しておきたい。


そして、肝心のシュドレ自身は既に王級スキルを3つ持っていると言えば、彼がどれだけの努力をしたのかわかるだろう。


こうして3人と隠れている一柱の神は、エルライド王国を目指して旅立った。

全ては父の仇を討つ為に。



次回も閑話になります。

最近閑話が多めですいません。

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