after53神星帝争奪戦35
エリローズが試合上をあとにした後、静寂から解放された観客達はざわめきはじめる…
もっとも、皆、死にたくはないので、エリローズの名を出す者は1人もいなかったが…
「それでは第四試合を開始しますっ!!まずは準星帝ホーリン様っ!!これまでの戦いでは鮮やかな勝利を重ねられてきましたっ!!」
紹介を受けたホーリン・オルガット・シアルは試合場に上がる。
上からの圧力がかかったのか…第四試合のジェシカの紹介はサラリとしたものだ。
イグロシアル上層部はさっさと次の試合をはじめて、先程の試合…いや、醜態を有耶無耶にしたいのだ。
なんだかんだで、本戦の推薦枠は観客たちの注目の的だ。
そして、そんなイグロシアル上層部の狙いは見事的中する。
「対するは、星王、ノーマン・ゲンガン・イグロシアル様推薦!!惑星国家イグロシアル、特別幹部っ!!イグロシアル剣刀連盟、総帥っ!!イグロシアルが誇る剣神、ライナー様の1人娘っ!!ラウラ様っ!!」
ゆっくりと栗毛色の髪の少女が試合場に上がる…
顔立ちはどことなくライナーの面影がある。
その瞬間、観客たちは先程のことなどまるで忘れたかのように歓声をあげる。
イグロシアル…いや、全宇宙においてもライナーの人気は絶大だ。
ラグアに対する絶対の忠誠心と、高い実力を持ちながらも恐怖による支配や権力を傘にしないライナーの生き方に心頭するものは多い。
そして、そんなライナー…
正確にはウミルとの間に生まれた一人娘のラウラも、ジェシカとは違う意味でカリスマ的存在だった。
「………まさか君が出てくるとはね……けど、君のお父様相手だと勝負にならないけど、君が相手なら僕でもなんとかなるかな?」
ホーリンは栗毛色の髪の少女…
ラウラを一瞥すると言った。
「どーだろーね?父さん仕込みの私の剣が負けるとは思えないけど?」
対するラウラもホーリンを軽く挑発する。
イグロシアル本国の特別幹部の地位はかなり高い…
それこそ準星帝と対等なほどに…
「言うねー?…親の七光りが…」
後半は観客に聞こえないような小さい声でホーリンは言った。
対するラウラも観客に聞こえないように声を落とす。
今から言う言葉を聞かれるのは、かなりのイメージダウンに繋がるのは目に見えている。
「…ブーメランだよ?…永天様の七光り如きが、父さんの剣を受け継ぐ天才である私に勝てるとでも?面白くない冗談だね?父さんや、私はお前とは根本的に違うんだよ。生まれながらに全て決まってるのさ?世の中には2種類の人種がいるんだ。私や父さん…そしてイグロシアルの偉大な方々のような一握りの天才…そして………お前や母さんのような天才に淘汰されるか、媚びるしかない連中がね?」
ラウラは口元に薄い笑みを浮かべる。
ライナーの剣を受け継ぐと同時に父は素直に尊敬するラウラだったが、母のことは父に取り入った売女程度にしか思っていなかった。
もっともさすがに両親の前ではそんな態度は見せないが…
ライナーやウミルに完全に甘やかされて育てられたラウラは、性格まではライナーのそれを受け継がなかった…
リアル多忙につき、11日、更新予定です。
すいませんがよろしくお願いします。




