after43神星帝争奪戦25
ジェシカの紹介で壇上に上がってきたミュンはリーザの姿を見ると軽く会釈をして構える…
読み取れる感情は緊張かな?
神格エネルギーを感じとれないゴッズクローンだからよくわからないけど、たぶん素の実力は負けているだろう。
まあ、問題はないけどね?
軽くあいさつされたし、こっちも返すか。
リーザは口を開く。
「話すのははじめてかな?リーザのことは知ってるみたいだから名乗る必要はないかな?星王ミグ・ヒピー・イグロシアル様の親友で、特別幹部のお姉ちゃんのことは、よく噂に聞くよ。お互い悔いのないようにやろうね?」
リーザはミュンの姉のミュラとも面識はなかった。
だが、姉のミュラはオリジンゴッドにまで至っているという話は聞く…
ゴッズクローンはゴッズクローンとして生まれた者たち以外では、セリー様のようにオリジンゴッドになれなかった者たちの救済措置だ。
だが、救済措置とバカにしたものではない。
その戦闘力は凄まじいの一言だ。
初期のオリジンゴッドでは相手にならないほどの実力を持つ者たちも多い…
事実、二回戦であたることが決まっているセリー様などは準最高戦力などと呼ばれる、完全に企画外の存在だ。
だが、目の前のコイツは別だ。
ゴッズクローンと化して尚、特別幹部にすら上がれないゴミ…
自分とは住む世界が違うウジ虫だ。
まだダメだ。
壇上を降りるまでは笑うな…
せっかく積み上げてきた好感度が落ちるから…
こりゃ、勝つよりも感情を制御する方が大変そうだ。
リーザは思った。
「はい。こちらこそよろしくお願いします」
そんなリーザの言葉に対するミュンの対応は、リーザを睨みつけるというものだった。
気づかれたか…
リーザが心にも思ってなく、むしろお前のような人種をゴミ以下だと思ってることが…
まあ、周りの観客には気づかれてないからいいか。
「…立場はリーザの方が上でも、あんたは永天歴、初期から生き続ける伝説に近い存在だ。胸を借りるつもりで全力でいくよ!!」
ミュンの視線がさらに鋭くなる…
ゴミにはわかるのかな?
まあ、わかるだろうね?
この世の勝者が敗者なんかに敬意を払うわけがないってのは…
自分で自分が一番よくわかってるよ。
リーザは偽善者だ。
でも、それは人格者に見せた方が自分にとって利益があることを知ってるから…
千手観音モードを展開させながらリーザはそんなことを思う。
「両者はじめっ!!」
ジェシカの号令と共に試合がはじまった。




