第993話白と青のグラデーション58
完全思考は長時間戦闘には耐えられない。
オルメテウス戦で寝込んだみたいな状況になれば、そのまま負けるしかない状況に追い込まれる…
対する核玉のレプリカも同じだ。
だいぶ本物に近づけてはいるが、所詮はレプリカだ。
こちらも長時間耐えられない…というかそもそも本物に近い効力と引き換えに耐えられる設計ではないのは、ウリンにも確認済みだ。
『エリスっ!!エリローズっ!!エルミナっ!!ミーラルっ!!サーリーナっ!!メフストニブルっ!!』
リーゼは神通を使って曲がりなりにも物理でアゼルメーテに嫌がらせができる、メンバーの中でも特級の戦力を呼び寄せる。
大切なのはタイミングだ。
どちらも最高のタイミングで発動して一気に勝負をキ
メる…
だが、あまりアゼルメーテに余裕を与えすぎてもダメだ。
ゴッドバーストを使われたら唯一こちらが有利な神格エネルギーがひっくり返される…
リーゼはそんなことを考えながら戦いを進める…
〜
どれぐらいの時間こうして戦っているだろうか…
時間を気にする余裕はリーゼにはなかった。
もっとも完全思考を使えばそんな余裕も生まれるだろうが、それではそもそも本末転倒だ。
リーゼは現在、未来予知と読心と感情を読む力でアゼルメーテの動きをほぼ完全に予測しながら、三島煌一にはその情報を流している。
完全に制御できない三島煌一の動きはリーゼの方で読むしかない。
アゼルメーテがもっともされて嫌な最適化された動き…尚且つ三島煌一とかち合わないように…
そんな神を遥かに凌駕する動きを実現しながらも、新たに戦闘に加わったエリス達補助要員には、完璧な指令を要所要所で飛ばしていた。
正直、アゼルメーテが焦って力技でゴッドバーストを強行してくれるならこれほど楽なものはない。
そんなことをした瞬間、千載一遇のチャンスに核玉のレプリカと完全思考を叩き込む…
勝負は我慢比べ…この状況はアゼルメーテにとってもいい状況とは言えないはず…痺れを切らして先に動いた方が負ける…
それがリーゼの判断だった。
リーゼ達とアゼルメーテの戦いは激戦ではあるが、膠着状態を見せる…
だが、そんな膠着は長くは続かなかった…
そう。
それは突然起きた…




