第958話白と青のグラデーション23
「えっ!?」
戦いがはじまった直後、それはミグ陣営のシーラの口から出たものだ。
ミグ陣営のシーラは即座にラグア陣営のシーラに向かおうと一歩踏み出したのだ。
その直後、反応さえできないまま、片腕を切り飛ばされた。
「一旦退いて固まれっ!!」
ミュラの言葉でそれぞれ攻撃に移行しようとしていた面々は即座にそれを中止すると固まる。
そしてそんな神業をやってのけた男…
茶髪で両の手にそれぞれ剣を持つ男…
ライナーは口を開く。
「悪いな。ここから先は通さねー」
「気をつけろっ!!動きと神格エネルギーがまるで釣り合わないが、確実にリゼル以上の化け物だぞっ!!」
「ロロ様、お戻りに?」
固まってライナーに構えるミュラ達に、たった今ゴッズクローンを片付けて合流してそう言ったロロに対し、ミュラはそう言った。
今回ラグアの用意したゴッズクローン、地雷クローン、媒介クローンははっきり言ってまだまだストックはある。
だが、それを指揮していたリゼルが死んだことにより、新たに呼び出されることがなくなった。
まあ、この場にいるラグア陣営は皆、それを呼び出すだけの権限を持っているので、呼び出そうと思えばいつでもできるのだが…
ロロがこんなにも早くミュラ達に合流できたのはそんな事情があった。
「ミュラ、こいつは俺がやる。残りのヤツらを頼めるか?」
「ロロ様…大変お言葉ですが、お一人では…」
「私もご一緒します」
ロロの言葉に難色を示すミュラに、シャドウラルファが割って入る。
二人はライナーの前に立つ…
「来るか。個人的な恨みはないが、これもラグア様の覇道の為…斬らせてもらう」
ライナーも剣を構える。
そんな中、残ったミグ陣営の6名はライナーを無視して動き出そうとするが…
「オッケー。ライナーが二人受け持つならウチは残りだね」
「その計算は意味がわかりませんが?」
シーラはリムリットとそんなやりとりをしながら、前に進みでる。
そんなシーラをリムリットは仕方なしに許容する。
リムリットもラグアに生み出されてからかなりの時が経つ…
昔のリムリットなら絶対にこんな対応はしない場面だが、長い時を経てリムリットの性格もかなり丸くなっていた。
もっともマスター…ラグアに対する異常なまでの忠誠心は相変わらずだが…
「…いいですよ。行ってきたらよろしいかと?もちろん危険と判断したら割って入りますし、出番を今か今かと待ち望んでいる皆様もいますので、そのつもりで?」
リムリットの言葉は言外に戦力の逐次投入を匂わせていた。
通常、こんなことをするぐらいなら一気に叩きつぶすべきなのだが、それはミュンの持つ切札を警戒したリーゼと…そしてリオーナの判断だった。
「硬ったいなー。まあ昔に比べれば柔らかくなった方か。じゃー、大将の作り出す新しい時代の為…。お前らには消えてもらおうか?」
シーラがそう言いながらミュラ達6名に襲いかかった。




