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気づいたら 鬱 ど真ん中にいました  作者: すずしろ たえ


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そうだエッセイ、書こう。

 書きたいのに書くことを自粛しなければならない。

 これまでとは違う“書けなさ”に泣きそうです。


 思い悩んだ私は、次の受診時に相談することにしました。

 すると。


「できるなら書いてもいいですよ」


 医師からの、意外な返事。


「大丈夫ですか?」


「今、日常生活でできていることは、以前からできていたことですよね?」


「はい」


 以前から、というのはもちろん鬱に罹患する前のこと。

 料理にしても洗濯にしても、以前ほどではないもののちゃんとできるようになっています(掃除は除く。掃除は鬱前から嫌いで、できればやりたくない派だから。笑)。


「それらがまたできるようになっているなら、問題ないでしょう」


 せっかくやる気が向上しているというのに、揺り戻しが怖いからと言ってそれを押さえつけるのは逆効果。

 処方されている選択的セロトニン再取り込み阻害薬は、過度な興奮を抑える効果のある薬なので、やる気が出ても以前のように暴走しすぎることもない。


「だからやる気があるならできる範囲でやっちゃってOKですよ」


 できるなら臆せず続けて大丈夫。

 ただし。


「引き続き、八十%くらいの感覚で進めてください」


「やり過ぎ厳禁?」


「です」


 的な会話を交わし、この日の診察は終了しました。

 ちなみに薬は前回と一緒。

 ただし、次回の状況を見て薬を変えるかどうかを考えてもいいかも、と言われました。ちょっと前進したかも?


 医師からお墨付きを戴いた私は早速原稿に向かいました。

 よーし、書くぞー!

 と意気込んだのですが。


 ――書けない。


 PCの前に向かうと、相変わらず書けません……。


 ――Xなんかで文章を打つのは平気なんだけどなぁ。


 SNSでは鬱のことから日常のくだらない話題まで、さまざまに発信している私。数ポストに亘る長文だって、普通に書けちゃいます。

 それなのにいざ仕事をしよう! と思うと、指が動かない。筆が進まない。

 何故だー!? と頭を抱えました。

 私にはやっぱり、文を紡ぐ能力がないのか……?


 ――いや、待って。Xでは“書けている”んだよ。


 ということは、文章を作る力は戻ってきている。

 もしかしたら無意識に、仕事用の文章を書くことに壁を感じているのかもしれない。


 ――これは、リハビリが必要かもしれないな。


 仕事用の文章に対する壁を壊せるだけの訓練をしたうえで、執筆に臨むのがいいかもしれない。普段Xでは話し言葉に近いざっくばらんな文章ばかり書いているけれど、仕事用に近しい物を書いて文章の訓練をし直すのもありじゃないか?

 一見遠回りな方法かもしれないけれど、確実にモノにするためには、こういうスモールステップも必要だ。


 そう考えて私が導き出した結論。


 それが自分が実際に体験した、鬱に関するエッセイを書くことだったのです。

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