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71話 10階層の攻略

「ほう、お前ら腕を上げたな? 今度また模擬戦でもするか?」

「やかましい! ンな暇があったら俺は結婚記念日のために帰るっての」


 言い過ぎ言い過ぎ。斬月さん、奥さんにでも怒られたのかな? ま、可哀そうだけど最後まで付き合ってもらわないと。

 現在俺達は10階層の攻略最前線にまで来ている。もちろん、あの時扉を俺の鼻先にぶつけてきやがった西園寺さんも同行している。

 元々、天院さんは西園寺さんを先行部隊に送るつもりだったらしく、俺が相談するでもなく先行部隊が苦戦している様子を確認するや否や即刻西園寺さんをこちらに派遣する決断をしていたらしい。

 あのおっさん、探索者協会からどんだけ重要視されてんだよ。それとも天院さんが指揮するのが嫌だったとか……は流石に無いか。


「そういう西園寺さんもかなりお強くなったみたいですね。なんでもステータス数値が2倍になっただとか」

「ああ。殲滅部隊に居たら魔物の質が落ちる代わりに量は増えるからな。案外、あっちの方がステータス数値は成長するのかもしれねえ。ま、経験を積むんだったら間違いなく先行部隊の方が良いがな」


 いつの間に西園寺さんと龍牙さん、仲良くなったんだろう。最初はあんまり話している印象なかったのに。


「ジョーカー、今回もいつも通りジョーカー一人と他で分かれるの?」

「今回はそうですね……」


 全員の顔を見渡してから考える。うーん、悩ましいな。今までとは違い格段にレベルが上がった魔物たちが相手だ。

 当然、俺一人と他四人で分けた方が良いんだけど、そろそろ俺も連携ってものに慣れておきたいんだよな。

 この階層の強さを実感して改めて思った。この先に俺一人じゃ勝てない相手は絶対いるだろうし、その時に初めて連携するっていうよりも普段から慣れておきたいって気持ちはある。

 たまーに探索者高校みたいに戦闘訓練をしてるからある程度全員の能力がどんなものなのかは知ってるしいざとなればぶっつけ本番でいいやという気持ちもある。

 うわ、どうしよ。めんどくさいから適当に白崎でも連れていくか? あっちはシルクハットさんがカメラ回すだろうし。


「じゃあ白崎さん、一緒に来ますか?」

「私!?」

「はい。私も連携に慣れておきたいと思いまして。それに以前とは違って転移石で逃げてもらわないと危険ってこともないですし」


 攻略部隊が強くなったことでかなり勝手が利くようになった。安定したダンジョン探索もそうだが、こちらがカバーし続けるわけでもなくむしろミスをカバーしてくれるようになったし安心して共闘できるようになった。


「では転移石は龍牙さんに渡しておきますね」

「助かるよ」


 そういえばもう一つの力を失った転移石は未だ探索者協会に持っていって解析中みたいだ。

 一応、力があるらしいところまでは分かっているらしいが、何の作用がその力を閉じ込めているのかが分からないって天院さんから聞いた。


「それではここで別れるとしましょうか。万が一、ボスが現れたときは私を呼んでください。()()()戦いましょう」

「「「了解!」」」


 そう言って俺と白崎さん以外の三人がその場から姿を消す。いや、姿を消すというよりも速すぎるがゆえに一瞬で姿が見えなくなったという方が正しい。

 この数週間で全員凄まじいほど成長した。それが彼らの才覚故なのかこのダンジョンの性質故なのかはたまたそのどちらもなのか。

 少なくともランキング上位にはこのダンジョンを攻略している人達がほとんど独占していて他を寄せ付けないらしい。


「……白崎、じゃあ俺たちはこっちの方から攻略していくか」

「ええ」


 何故か若干頬の赤くなった白崎を連れて俺は皆が向かった方とは逆の方向へと進み始めるのであった。




 

 ――いや、広すぎる! なんだこのダンジョンは!? 今まででもかなり広かったっていうのにこの階層はあまりにも広すぎる! 天院さんに拠点は二つ作った方が良いって伝えた方が良いかもしれない。

 こんなの探索し終えたところで転移石を持たない俺はいちいち拠点へ帰るのにとんでもない時間かかるぞ。


『今回はシロリンと行動してんだ』

『最初の方はこの二人コラボしてたしな』


 あ、ちなみに配信はもうつけてます。


「この戦闘痕、最近できた奴じゃない?」

「うん? 本当ですね」


『もしかしてイグナイトじゃない?』

『確かこのダンジョンって世界でつながってるらしいしな』

『え、これって同じダンジョンが各地にあるだけじゃないの?』

『だとしたらイグナイトが倒したはずのボス魔物が現れないのおかしいだろ』

『代わりにイグナイトの時より強い魔物は出てきたけどww』


 イグナイトの可能性はある。だが、普通に魔物の小競り合いの可能性もあるから出会えるかは分からないけど。


「イグナイト達は拠点もなくここで野宿してるから私たちよりも疲労が溜まってダンジョン攻略の進行が遅いのかもしれないわね。もうすぐ追いつくかも。会えちゃったらどうする?」

「どうもこうもしませんよ」


 俺自身はな。向こうがやたらと対抗心を抱いているのは十分知ってるし、何か仕掛けてくるかもしれなけど。

 コメント欄もイグナイトと俺が会ったらどうなるか期待している人は多いけど俺は何にもしないからね! だからガッカリしないでよね!


 そうして俺は別角度からの不安を感じながらもダンジョン攻略を進めるのであった。

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― 新着の感想 ―
イグナイトが最悪獲物を横殴りで掻っ攫うのも視野に入れておかないといけないと思うな
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