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2-07 冒険者ギルドは騒がしく、私はお断りしてもいいよね

2-07 冒険者ギルドは騒がしく、私はお断りしてもいいよね


帝国(Les Fleurs)(de )(l'Empire)』……今度先生に再会したら、ぼそっと呟いてみよう。どんな反応するか楽しみだね☆




∬∬∬∬∬∬∬∬




 飽くなき追及を重ねる買取主任に完全黙秘で答える私。ええ、引退した冒険者の情報とか何で無料で開示しなければならないのか疑問です。


「それで、あなたの詮索に付き合う義務もないので、そろそろお暇をします。ポーションはお返しください」

「……嫌じゃ……」

「嫌じゃじゃねえだろ! てめぇの歳考えろ!! この耄碌爺!!!」


 受付嬢さんも激オコです☆ いや、完全にキャラ変わっちゃってるじゃないですか。


「コホン、オリヴィ様」

「なんでしょうか」

「いかほどお譲りいただけますでしょうか」

「値段によります。数は最大それぞれ三本でしょうか」


 主任のオッサンはしばらく考えた後、『回復』を金貨三枚、『魔力回復』を金貨十枚 『解毒』を金貨二枚で購入したいという。


「売値とほぼ同じくらいじゃ。これ以上はちょっと難しい。儂の裁量ではな」

「戦場に行けば青天井でしょうが、ギルドの窓口で販売する価格としては限界があります。値段を吊り上げていると誤解されかねませんので」


 私は、別に構わないのだがいくらでも。でも各三本、合計九本で金貨四十五枚というのは、トラスブルの価格の二倍くらいだろうか。あの時は纏めて四十本金貨百二枚で「定価」で卸したんだけどね。


「それで、もし、都合がつくならまた声を掛けてもらいたい」

「承知しました。その時はまた相談させていただきます。念のため、この件を窓口で話さないようにしてもらいます。もし、話しかけてきた場合は……」

「も、もちろんです。危険な目に合わせるわけにはまいりません。オリヴィ様からお声掛けいただいた時だけ対応させていただきます。主任も必ず守っていただきます。ポーションを持っている冒険者というのは、それだけでつけ狙われるのですから」

「おう、分かっておる。タニア女史のポーションがまた手に入るとは……」


 いや、弟子の私のポーションですけどね。説明しなくてもいいよね、私の口からは何も言ってないんだから。





 という事で懐の温かくなった私はギルドでお昼を食べることなく、良さげな食事処を探す事にし、冒険者ギルドを出たのだが、とたんに声を掛けられる。


――― はっ、これはありがちパターンの変形、ギルドの外で絡まれるか!


 と思ったのだが、質素なドレスを着た若い女性だったので警戒を緩めることにした。


「……ラウス様でいらっしゃいますか?」

「……どちら様でしょうか。お名前を伺ってもよろしいですか」


『ラウス』と名乗っている場所は限られている。修道会か宿かである。


「失礼いたしました。私はゲイン修道会に属しておりますブリジッタ(Brigitta)と申します。昨日、御目にかかっております」


 何人かシスター・エリカと共に見送りしてくれた修道女? の中の一人だ。こんなところで何してるんでしょうか。


「じ、実は、冒険者をなさっている貴方様に折り入ってご相談があるのです」

「……では、昼食を頂きながらどこかでお話を伺いたいのです。私はこの街に来て日が浅いので、どこかお勧めの食事処を案内していただきたいのですが」

「ええ、私の家が懇意にしているところでもよろしいでしょうか?」


 この時点で、ある程度の規模の商家の娘であることが推測される。家に料理人が雇われている貴族の家なら懇意とまで行かないだろうし、利用しない可能性が高い。家の格を量る上で、お抱えの料理人の腕は大切な物の一つであるからだ。




∬∬∬∬∬∬∬∬




 シスター・ブリジッタ……というか、ほぼ俗人なのでここではブリジッタ嬢と呼ばせていただこうか。男装している冒険者と若い女性の二人連れで勘違いされても困るので、個室のある場所を選んでもらった。


「確かに、それは問題ですわね」

「はい。外見上は男性のようですから。私はともかく、ブリジッタ嬢に迷惑がかかります」

「……考えが足りませんでしたわ。ご寛恕ありがとうございます」


 ということで、余りに世間知らずの娘を心配したご両親が、ゲイン会に入会させたらしいのだが、彼女のテンポがゆっくりなことと、顔見知り同士で入会することが多いので友達らしい友達のいない彼女は、少々思い悩んでいることがあり、ほとんど他人の私に助けを求めたのだという。無駄に行動力があるじゃありませんか……


「それで、どのようなことをご相談に」

「……わ、わたしも冒険者になりたいのです!!」

「無理です」

「……え……」

「いや、無理だと思います。まずは修道会で周りの方と学ばれた方がよいと思います」

「そ、それではダメなんです!!」


 何言っちゃってるのこの人。私は単独で狩りしたり、素材採取を村にいる時散々やっていたからそれなりに熟せたけど、街の中で生活している商家の娘さんがいきなり冒険者とか……無理だから。


 私は簡単に、冒険者になるのは傭兵になるかどうか検討するくらいの農村出身者が多く、先ず、子供の頃から力仕事や農作業をこなしていて、山野を歩くのが苦にならない者がなるという事を伝える。


「……傭兵……ですか……」

「ええ。戦争が無い時に傭兵に冒険者登録をさせて管理し、仕事を与える為の組織なのです。最初は見習として、薬草集めや街の中の雑用をこなすことになります。なので、街から出ることはあまりありません」

「……え……」

「私も最初は修道院の奉仕依頼や薬草摘みを熟し続けてやっと、星一つ、半人前の冒険者になれたのです。それでも、星一つでは商人の護衛など受けることはできません」


 一端の冒険者と見える人たちは星二つ以上であり、それ以下の冒険者は冒険者に見えない下層民のような生活をしている。


「冒険者になることが目的なのですか?」

「……その、実は……」


 メインディッシュが出て来る頃になって、やっと本質的な話ができるようになったのです。





 彼女は修道院の薬草畑の世話係となったそうなのですが、実際は何も植えられていない薬草畑でひたすら一人で雑草を抜く仕事をしているのだというのだ。いじめか、いじめなのか!!


「その……ポーション作りが必要以上にありまして……」


 どこかの馬鹿が、根こそぎ薬草を使ったらしく本来は葉だけを摘んだり、株分けできるだけの元を残すはずの薬草を全部使ってしまったのだという。


「それは、院長に伝わっているのでしょうか」

「……はい。ですが、薬草を植える為には採取に行かねばなりません……」


 ブリジッタ嬢は、自分自身が冒険者になって薬草を探しに行こうと考えたのだという。心意気や良し、だが、自分にできることとできないことを区別しておくことも大事だと思うの。


「では、院長先生に相談して、冒険者ギルドに奉仕依頼を出してください」

「……奉仕依頼……ですか……」

「それを私が受けて、あなたと同行して素材採取……元になる薬草を探しに行きます。畑の管理の仕方も教えましょう。それも奉仕依頼で出してください」

「そ、それはとても助かります!! 薬草どころか、花壇の植え替えさえできないので……私、一生懸命覚えますから!!」


 それで、ブリジッタ嬢の居場所ができると良いと思う。ポンコツっぽいが、自分で考えて行動するだけ見どころがある人なんだろうと思う。多分、私より何歳か年上なんだろうけれど……年上の妹分として可愛がってあげようと思う。




∬∬∬∬∬∬∬∬




 私たちはお互いの情報交換をすることで友達になる事にした。私は、冒険者としての仕事や薬草の栽培の事について、ブリジッタ嬢はメインツの街のこと、修道会のこと、街娘としての基礎知識、化粧やファッション、仕草や話題についてである。


 幸い、彼女の母親や使用人、姉妹とは普通にガールズトークをしているので、修道会内限定で会話ができない……というよりも、彼女が素直で真面目な性格なことを良い事に揶揄ったり虐めたりしているのではないかと考えられる。本人がいたって気にしていないので、そこは触れずにおこうかとおもう。





 翌日、私の宿で待ち合わせをしたブリジッタ嬢は、修道会で奉仕活動をする際の地味目のドレスで現れた。


「……着替えましょうか」

「ええぇぇぇぇ……」


 部屋に戻り、私の予備の村で着ていたワンピースを差し出す。


「いかにも街娘といった格好で山野に分け入って採取していると目立つわ。あなたも、それなりの家の娘でしょうから、不埒なことを考える人がいたら困るでしょ?」


 ブリジット嬢は使用人や親に伴われず、徒歩で城外に出るのは初めての体験だという。これは、色々大変そうだと思う。


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ヴィーの友人ビータとプルのお話です。後編!年末年始集中投稿中☆

『就活乙女の冒険譚』 私は仕事探しに街へ出る


― 新着の感想 ―
予想以上にポーションが高騰していた これは身の危険があるかもしれません 悪いヤツらは鼻が効きますからね しかも、儲かるならば手段は講じない 情報漏洩がなければ良いんですが
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