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俺の賃貸1DKボロアパートの部屋が『石の中』に設定されてしまった件  作者: やすピこ
第二章 あっちの世界の人達と、俺の上司とお隣さん、あともふもふ

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第16話 うへへへへ~! 現代知識無双だぜ~!

 結果から言うと、なんか大丈夫だった。

 いきなり大丈夫と言われても分からないと思うけど、そう言うことだから納得するしか無い。


 意を決してボウル一杯の超度数なお酒を一気に煽ったんだけど、次の瞬間またもや『ピコン』と音が聞こえたんだ。

 慌てて伝言板に目を向けると、そこには新しいメッセージが表示されていた。


 『この部屋への状態異常攻撃を無効化しました』


 ですって!

 なぜだか分からないけど、俺が飲んだお酒もこの部屋への攻撃とカウントされたみたい。

 助かった~! これ下手したら致死量だったかも知れないし、見るに見かねた俺の部屋が守ってくれたんだろうか?


 いや、それが本当かどうかわからないよ。

 こうなった原因が分からないんだし。

 何処まで俺がこの部屋の恩恵を受けてるのかを試すのには、文字通り俺の命を賭けることになるからね。

 試したけど、奇跡は今回だけでした~なんて事になったら目も当てられない。

 俺は堅実に生きるんだ。


「おぉ~良い飲みっぷりじゃのう! どれどれもっと注いでやろう」


 ドワーフのおっさんは、俺の男気あふれる一気飲みの姿に、大満足と言う顔で更に注ごうとしてくる。

 どうやら気に入られる事に成功したようだ。

 取り敢えず、上機嫌な状態を継続させるために、おっさんからの追加のお酌を受ける。


「あぁ、どうもありがとうございます。いや~美味しい酒ですねぇ」


 これ嘘。

 すっげぇ不味いんだよこの酒。

 あ~ちょっと違うかな? 一応ドワーフ族の名誉の為に、言い訳はしておこう。


 俺ノンアルコールビールとか苦手なんよ。

 やっぱり酒の味とか辛さとかは、アルコール有っての美味さだと思うんだ。

 今の俺には酔いが一切効かない状態なんで、これただの苦渋い水状態。

 なんか枯木を齧って、そのエキスを吸ってる感じ?

 まるでカブト虫になった気分になる。


 多分通常状態なら、もう少し美味しいと感じたかも知れないが、それだと多分一口で倒れていただろう事は想像に難くない。

 これって痛し痒しって言うやつかな?

 う~ん、折角貰ったんだから悪いし、少しだけ飲んで話を進めようか。


「残り物で悪いですが、このお酒に合いそうな料理を振る舞いますよ」


「おぉ、かたじけない。ちょうど腹が減っていた所だ」


 少しだけお酒に口をつけたところで、俺は立ち上がり冷蔵庫に向かった。

 昨日大量に買い込んだお惣菜。

 お隣さんと飲みながら摘んだけど、リアさんが帰った喪失感であまり食欲が湧かなくて殆ど食べられなかった。

 凹んだ俺を慰めるお隣さんも、揚げ物系は苦手らしくて傷みの早い生物ばっか食べてて、結構残ったんだよな。

 今日も冷蔵庫の中のパックを見ると、思い出して泣きそうだったので手を付けてない。

 このまま腐らせるのかぁ~と思っていたところだから、ある意味助かったよ。


 大飯喰らいが定番のドワーフにとっては少ない量だろうけど、それは我慢してもらおう。


       ◇◆◇


「がははは! おぬしの世界の料理は美味いのう。香辛料がこれだけ使われている料理なぞ、貴族御用達の食堂でもそうそうありゃしないしの」


 冷蔵庫の中のお惣菜を、次々レンチンしてちゃぶ台の上に並べて、おっさんをもてなす俺。

 なんで甲斐甲斐しくお世話するみたいなことをしているかと言うと、これだよこれ!


 おぉぉ! 異世界物とかで、主人公が現代知識を使って料理無双する展開でよく聞くこのセリフ!

 生でこれをを聞けるなんて、なんだかとっても嬉しい!

 多分俺が世界初だぞ。


「気に入ってくれて良かった。これだけしか無いですが、遠慮せず食べて下さい」


 ご満悦でそう言う俺。

 なんだか、リアさんへの喪失感がちょっと薄らいできたよ。 


「それにしても、その冷たい空気で満たされとる冷蔵庫と言う箱も興味深いが、電子れんじ? とか言う道具も素晴らしいの。商売の匂いがプンプンするわい。おぬしの構造説明の再現が難しいが、魔石を利用すればある程度再現出来そうじゃ」


 これまたキターーー!!

 お惣菜を用意するさなか、これ見よがしに冷蔵庫と電子レンジの解説をして、その存在をアピールしたんだ。

 ドワーフと言えば、職人! だからこう言うのを見せたら反応すると思ったんだよね。

 いや~、異世界人の現代文明解釈談義はとっても良いものだわ。


「今更な感じですが、そろそろ自己紹介しましょうか。俺の名前は石渡 保と言います。最初にも言いましたが、何の変哲もない一般市民ですので、この世界の深い話を聞かれても答えられない事の方が多いですのであしからず」


「分かっておる分かっておる。儂だって知っていることしか喋れんわい。しかし、ふむ、イシワタリ族のタモツか。きちんと部族の名前から語るとは礼儀正しいのう。儂はテツクマ族のガラバンじゃ。普段は魔道具職人を生業としておる。よろしくの」


 あっ! これも異世界転移あるあるの名字ネタだ!

 名字がある事で、貴族と間違われたり、今のように部族名と思われたりよく聞くよね。

 リアさんの時に反応なかったから、ちょっとガッカリしてたんだよね。

 このおっさん……いや、ガラバンさんは、ガチャエフェクトとしては★1だったけど、異世界イベント発生率は★4はあると思う。

 なかなかやるじゃないか、ガラバンさん。

 振る舞った残り物のお惣菜分の元は取れましたよ。


 ……しかし、このガラバンと言う名前、なんか気になるな? なんだったっけ?

 まあ、良いか。



「それより、なんで転送罠に掛かってしまったんですか?」

 

 異世界味をもっと感じたくて、この世界に飛ばされる前の状況を聞いてみた。

 リアさんの時はゲームには全く出て来ない地域のようだったけど、もしかしたら何か知っている単語が聞けるかもしれない。


「ふむ、あの罠に掛かったのは、とある鉱石を探して旅をしている最中だったのじゃ」


「鉱石ですか。なんて鉱石です?」


 伊達にハイランカーを名乗っていない。

 ゲームに登場する鉱石の場所は何処で採れるかは全て把握済みだ。

 もしかしたら助言出来るかもしれないな。

 ……あくまでリアさんやガラバンさんの世界が、ゲーム世界だったらって前提だけど。


「いかにも、その鉱石の名は……」


「ん? ちょっと待って下さい! 鉱石に、ガラバン……?」


「ど、どうしたと言うのじゃ?」


 そうだ! そうだよ思い出した。

 さっきからガラバンって名前が気になっていたんだけど、鉱石を探しているドワーフって言うフレーズを聞いてピンと来たよ。

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