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4-7 ドラゴニュート

無理やり取ってつけたメイド分補給

めいどにうむ

「えっと、ここがなんて言うか、アレ?」

「そう、アレ」

「アレアレ」


アナスタシアとイノはとある村に来ていた。ここは一般的なプレイヤーが侵入できないエリアにある村だった。ゲームに良くある、一見通れそうだが見えない壁があって入れない木の隙間とか、普通に登れるやろ、みたいな段差の先だ。


「あ、アナスタシア様だー」

「アナスタシア様ー」

「おかえりアナスタシアさまー」


子供たちがアナスタシアに群がる。


「どこに行ってもアナスタシア様はアナスタシア()なんだな」

「?」

感心するイノの言葉に首を傾げるアナスタシア。

イノの方がだいぶ背が高いので、首を傾げながら顔を見上げる姿はなんだか可愛らしい。


「どこ行ってたの? アナスタシア様ー」

女の子がアナスタシアの手を引きながら尋ねる。


「ふっふっふ、子供には教えられな…へばぶっ」

イノのチョップがアナスタシアの頭頂部に炸裂した。


「あーっ、アナスタシア様をぶったー」

「ぶったー」

「悪者?悪者なの?」

子供たちが騒ぎ出すが背が高くて迫力があるイノがちょっとおっかなくて遠巻きにしている。

子供たちの中でも特に小さい子たちはアナスタシアの影に隠れて覗き込んでいる。


「違うぞー、アナスタシア様でも変な事を言ったら怒られるんだぞー」

「そうなのー?」

「アナスタシア様怒られたー?」


子供たちがわーっと騒ぎながら走り回る。


山の中腹を開拓したと思われる村は、通りの両側に10軒ほどの家があり、その先が畑、その畑の周辺にも何軒か小屋が建っている、と言う感じのこじんまりとした村だった。


畑の収穫の他、牛や鶏なども居るが、森での狩りや山菜に頼るところも大きそうだ。


見ると何人か大人も通りに出てきて微笑ましそうにこちらを見ている。


「変わりはありませんか?」

子供をあやしながら大人に声を掛けるアナスタシア。

「はい。特に変わったことは起こっていません」


アナスタシアは命の世界に数日間遊びに行っていただけだが、こちらの世界は1日が8時間なので、かれこれ半月ほど留守にしていた計算になるのだ。時間が加速しているとかではなく1日が短いので、プレイヤーの感覚では昼にログインしてもすぐに夕方になる、と言う感じだ。


「アナスタシア様がこの村を守っているんですか?」

どちらに聞くでもなくイノが尋ねる。


「はじめはそうでしたが、アナスタシア様が武器などを持ち帰ってきてくれて、魔物などが出ても対処できる様になりましたし、外の様子が分かる様になると無駄に外に出ようと言う者も減って随分と平和になりました。外への興味が抑えきれずに出て行ってしまう者は、今でもそれなりに居ます、けども」

最後の方はちょっと寂しそうにだが答えてくれた。

この人の身内も外に行ってしまったのだろうか。どこの世界でもそう言うのはあるのだ。


と言うか、この小さな村ではみんな身内みたいなものなのかもしれない。


アナスタシアが厄介になっていると言う家でお茶をいただいて、今度は王都を目指す。

帝国だから帝都か。


「帝都にいる人の大半は住人の人ですね」

と言っても見えない壁で隔たれた向こう側に居る人が大半だ。

プレイヤーと接触しようと考える人は少ない様だ。

基本的に普通のゲームだと思っているプレイヤーたちなので、変に絡まれると面倒になる事がわかっているのだろう。


中央を南北に貫く通りの真ん中あたりの広場に居ると正面にお城が見える。


「そう言えば、ゲームの中でお城に入るイベントは無かったと思うけど、皇帝陛下とか居るの?」

イノはまだゲームの序盤しかやっていないので聞きかじった情報で話をしている。


「おるぞー」


2人の会話に割り込んでくる声。

見ると背の低いメイドが仁王立ちしている。

頭に角、蝙蝠の羽、トカゲの尻尾、目も瞳孔がトカゲっぽい。


「えっと、どなた?」

「ワシはドラゴニュートのヨルム。この世界とルールを作ったと言う意味で言えばワシがこの帝国の皇帝だな」

腕を組んでドヤ顔をする。


竜人を名乗る割には、ほぼ人間の幼女だ。

と言うかなぜメイド。


「と言うか、なぜメイド?」

「ドラゴニュートとはそう言う物ではないのか? メイドの姿をしていて子供が出来ない女に子宝を授ける存在…」

色々混ざっている。


「メイドが女性を孕ませるの?」

「え?」

真っ赤になるヨルム。

「いや、ワシはそう言うことはせんぞ?」

「そう言うこととは」


「「「………」」」


からかってる方も恥ずかしくなってきたので止める。3人ともそう言う経験はない。


「この世界とか、ルールを作ったと言う事は運営さん?」

「「運営さん?」」

イノの問いに2人が揃って首を傾げる。可愛い。


「えっと、ゲームを提供して問題なく動く様に調整する仕事をする人、かな?」

「うむ、そんなところかのう。暇だったから人間共を観察しておったらなにやら面白そうな事をしていたのでな。真似をしてみたわけじゃ」


 人間共って…


「ああ、だから微妙に混ざってるんだね…」

「なんじゃ?」

「いや、良く出来ているなぁって思って」

「そうじゃろ、世界を作るのもこれで3つめじゃからな。最初の世界は1万年ぐらいで滅んでしもうたがな」


「………」

この世界は並行世界というか、亜空間というか、普通の異世界よりは近い世界と言うかなんと言うか、そんな感じで(

プレイヤーや一部のNPCは死んだりしても消えて無くなり、リスポーンするだけですが、住人は怪我もするし死ねば死体が残る感じを考えてますが、それはそれで整合性に問題がある様な無い様な…

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