表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/165

4-2 エンカウント

第1話、主人公いないじゃん、と言うわけで、もないんですが、2話目公開です。

「おーい、ミカドン」

「なんだねテルテル」

「テルテル言うな」


立花 (みこと)の妹の立花 (みかど)にその友人の狗神 (てる)が駆け寄ってきた。


「先に変な呼び方したのはそっちだべさ」

帝がちょっとふざけて抗議する。


「普通に名前を呼んだろ、ミ、カ、ド」

自分の席でお弁当を広げようとする帝の耳元で囁くように名前を呼ぶ。


「嘘こけ…」


2人は同じ高校に通うゲーム友達だ。

クラスが違うので昼休みになると照がやってくる様になったのはいつ頃からだったろうか。

もうクラスのみんなも気にしない。


姉の命は長身で体格が良くいかにも気の良いお姉さんと言う雰囲気だが、帝は華奢で背も普通、少し茶けた癖っ毛が悩みの眼鏡っ子。照の方は、背は低めだが綺麗な黒髪の美少女だ。少々性格に難ありだが。


「それで、お姉さんどうだって?」

帝の机にお弁当を置き、前の席の椅子を反転させて勝手に座る。


「うん、やってみるって。今日あたりキャラメイクとチュートリアルするかもってさ」

「へえ、自分で提案しておいてなんだけど、ちょっと意外」

お弁当に目を落としたまま答える。


「私もそう思う。から、今回はちょっと、いや、かなり感謝の心」

手を合わせて拝む。


「礼を言うなら素直に言えよぉ。全くへそ曲がりなんだから」

「良いだろ、長い付き合いなんだから察して」

帝と照はいわゆる幼なじみというやつだ。


「むふふん。それにしてもあんたお姉さん好きすぎだろ」

「悪いか」

「いやあ、悪くはないけどね、私は同性婚が認められれば結婚できるけど、あんたは妹なんだよ?」

目を細めてニヤリと笑う。

「な、なななななな」

「いやだから、もうちょっと余裕もてて」

立ち上がって迫ってきた帝を手で制す。

「むきーっ!!」

手を上げてグルグル回してブツ振りをする。

本当にブツ気はないが。


「目の前にこんな美少女が居るのにシスコン拗らせレズってどうなのよ」

科を作ってみせる。

「レズて。ただ、ずっと一緒にいたいとか、人にとられるのが嫌だとか思うだけだよ?」

「そっかー」


 手遅れなのは知ってるけどね、とか言わない




「結構広いロビーね」

ゲーム内のロビー。いわゆる冒険者ギルドというやつだろう。

受付のカウンター、掲示板、打ち合わせ用と思われるテーブルのあるスペースなどがある。


「なるほど、お洒落とか盛んなゲームなのね。それでロビーは一人称視点なんだ。でも、これだとジロジロ見てるとばればれだなぁ」

と言うかジロジロ見られている気がする。


「初心者自体が珍しいのかしら」

命ことイノのコスチュームは初期コスの中でパンツルックのやつだ。

なんとなくミニスカートは小さい子向けっぽいデザインで恥ずかしかったのだ。

基本的に体格は本人データのままなので背が高く肩幅もそこそこある。


「まあ、せっかくだし、説明に出てきた初心者エリアにでも行ってみようかしら」


ロビーから出ると幽体離脱した。

アクションゲームで良くある見下ろし視点だ。




「マテラ〜、ログインしたー?」

「オッケーだよリッカ」

帝ことリッカが、照ことマテラにボイチャを飛ばす。直ボイチャなので基本的には自分たちにしか聞こえないが、設定を間違えたりしがちなので、ログインした時点で本名は使わない。


多い時はロビーに100人とか居るので、ログインしているか確認する前に探してたら大変な事になるので確認は必要なのだ。


「あれ?セーヤからメッセージ来てるわ。初心者狩りが出てるって〜」

「いまさら初心者狩りもないでしょ…」

セーヤはゲーム内で知り合ったゲームだけの友達だ。リアルは知らない。

連携アプリを使えばオフラインでもメッセージを受け取れるが確認していなかった。


「「………」」


「ざっけんなーっ!!」

「待ってよ」


物凄い勢いでロビーから飛び出していく2人だった。




「クソっ、初心者のフリした囮りか?!」

「いや、剣は初期武器だ。ダメージが入ってこない」

「ガチゲーマーだって、このふざけたシステムでそんな簡単にいくわけが」


イノを襲った初心者狩りは全くダメージを与えられないでいた。


「いやー、反射神経だけは良いんだよね」

特に負ける気はしなかったが全く攻撃が効かないのでどうしたものか。


もともと襲われた時点で狙いは自分ではなく、助けに来るであろう人だと聞いてはいたが、あまりにも攻撃を躱し続けた結果、相手が本気になってきている気がしなくも無い。


「これは、助けは必要?」

横から声が割り込んだ。

声を掛ける以前から見ていたらしく疑問形だった。

全く気がつかなかったがゲームだから何かあるのかもしれない。


「え?…」


そこには知らないはずなのに見覚えのあるキャラクターが居た。


お洒落な競泳水着の上にドレスをアレンジしたパーツを装備した様ないかにもゲームと言うか、ゲームじゃなきゃ絶対着無いよと言われそうな格好で、刀を装備している。刀は差しているわけでも佩ているわけでも無い。ゲームなので後ろに浮いているのだ。


風に靡く銀色の髪、灰色の瞳。

幼さを残しつつも気品にあふれた美しい容姿。


そして、頭上に表示された名前はアナスタシアと書かれていた。

ゲームとかあんましないので突っ込まれても分かんないです(読んでたら分かるか

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ