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3-17 悪役令嬢とピンク髪ヒロイン

別にヒロインぽい扱いはされてないのに、ヒロインっぽいと言う事でいじられている不憫な娘の話です(マテ

公爵令嬢エミリア マイトロベル。彼女は淡いピンク色の髪にクリクリとした瞳の小動物系美少女である。性格は明るく親しみやすいが、こと兄の事となると暴走しがちのツンデレブラコンだ。


今日の髪型はツーサイドアップで、淡いピンクのボリューミーな髪が黒基調の制服に映えて眩しい。


「………」

いつも元気いっぱいに絡んでくるエミリアがなんだか大人しい。

「どうかしましたか?」


アナスタシアは数日ぶりに学園に戻って来ていた。

急げば日帰りでもなんとかなる距離だが、学力的に問題がないアナスタシアはムキになって授業を受ける必要もないため、平日に実家に戻り、週末を挟んで復帰したのだった。


「貴方がいない間、お兄…、兄がとても寂しそうにしていて…」


 それは貴方をからかうネタが減ったからでは?


とか言わない。


「週末、私も報告に家に帰って来たのですが、家の者からも兄と貴方の邪魔をするなと釘を刺されました…」


 ああ、公爵家同士と言う事で本当にそう言う目で見てしまう人がいるのか


それはちょっと面倒だ。アナスタシアはシスコンのハリスと一緒にエミリアをからかって遊んでいるだけなのだ。ハリスに対してそれ以上の感情はない。


「くすくすくすっ、それで貴方は私から手を引くと言う事ですか。なるほどなるほど。ふふふふ」

アナスタシア自身はそれほど煽るような話し方は得意ではないのだが、一種の認識疎外が掛かっているのでエミリアからすると、かなり酷い言いように聞こえるのだった。


目つきと言うか、顔が物凄く嫌らしい笑い方になっているのも、たぶんそのせいである。

エミリアをからかうのは、めっちゃ楽しいが。


「私は、所詮妹ですし、今は」

最後の方はゴニョゴニョとしか聞こえなかった。


「くくくくっ。そんな事を言ってて良いのですかね」

「え?」

「可愛いですね。私が本気でハリス様をお慕いしているとお思いですか? ふふーふ」

エミリアの耳元でささやく。


「な、なん…」


「まあ、貴族社会というのは体面を重視する世界ですしね。愛とか言っている場合ではないのも事実ですが」

さっとエミリアから離れてあえて他所を向いておいてエミリアを横目で見つめつつニヤリと笑ってみる。



「ななななな、あ、んあ…」

「?」

大きく息を吐くエミリア。


「私をからかってますね?」

「あら、バレてましたか」

舌を出すアナスタシア。


「な!、あ、もうっ」

エミリアが地団駄を踏むのを見て、ハリスに怒られそうだとか考えているとマーガレットが駆け寄って来た。

「すみません、ちょっと匿ってください」

アナスタシアとてそこまで大きくはないのだが、アナスタシアの影にすっぽり隠れてしまうマーガレット。

マーガレットが来た方向を見ると数人の男子が困ったような表情でこちらを伺った後、戻って行った。


「なるほど。流石に公爵令嬢2人相手に出来るような子は居なかった、と言うところかしら」

落ち着いたようでエミリアが分析する。

「ありがとうございます。助かりました」

マーガレットがペコペコと頭を下げて礼を言う。


「ダメよ、マーガレット」

「す、すみません」

アナスタシアを逃げ場に利用した事を怒ったのだと勘違いしてびくっと身を硬くする。

「貴方は選ぶ側の立場なのだから、もっと毅然とした態度で居ないと」


「はえ? 選ぶ側、ですか?」

驚いてキョロキョロしてしまうマーガレット。


「そうよ。貴方は成績優秀で所作やマナーも完璧、いつも静かに本を読んでいる可憐な天使。しかも、家柄は中の下、中級以上の貴族の令息なら手が届くのですから、こんな優良物件はそうはないでしょう?」

「そ、そんなー」

マーガレットは実家では本ばかり読んでいるチンチクリンと馬鹿にされていたのだ。

勉強も所作なども全てこの学園に入れなかったら不味いらしいと脅されて無理やり詰め込んだ物だった。

それが自分の物として身に付いたのも、アナスタシアと一緒に過ごしたからに他ならない。

いや、そもそも領地を離れてこの学園に通える事になったのもアナスタシアのおかげなのだ。


自分がモテモテだなんて実感が湧かない。


「焦ることはないと思うけども、しっかり考えなさいね」

母親のような顔で微笑むアナスタシアに返す言葉が見当たらない。



「あら、こちらモテモテね」

アナスタシアが見た方を見るとガラの悪そうな男子が数名やってきた。

体格から考えて上級生も居るようだ。


「ちょっとエミリア嬢に手合わせをお願いしたくてな」

「勝手に名前を呼ばないで頂けますでしょうか。不愉快だわ」

「おっとこりゃ失礼。怒ったついでにその剣を抜いて見せてくれよ」

挑発しながら腰の剣を抜いて向けてくる。


2人のやりとりを見ていたアナスタシアがため息をつく。

「常に携帯しなければならないのに、滅多なことで抜くことのできない剣の意味が分からないのかしら…」

「え?」

他の人間には聞こえないくらいの声で呟いた言葉にエミリアが困惑するが、気にせず腰に下げた短剣を鞘ごと渡す。

「これを使ってください」

「え? でも、これって…」


そう言いつつ引き抜くと、鞘の長さからはあり得ない1m近い刃が出てくるのだった。


「な、なんだそれは?!」

喧嘩を売って来た少年が驚いて後退りする。


「これ、金属じゃない?」

「魔法の剣です。あ、この刃は剣をすり抜けるので死にたくない人は受けずに躱してくださいね」


「な、なんだそりゃー!!」

なんやかんや色々あってちょっかい出してる方も出されている方も正確なことは分かってないのですが、最後まで良く分からないまま終わるので、あまり気にしなくて良いです(オ

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