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3-9 悪役令嬢アナスタシアちゃん

いよいよ学園に入って悪役令嬢としての活動が開始、されるかも?回

「アナスタシア=フォン=バーンシュタイン!、私はあなたにどうしても確認しておかねばならぬことがあるのです!!」


(((ピンク髪ヒロイン来たーっ!!!)))




「膝が見えただけではしたないと言われてしまうのに、学校の制服がこれはどうなのかしらね」

アナスタシアは膝よりもだいぶ上までしかないスカートを履いていた。

真っ黒なストッキングを履いているので肌色は見せないが、周りには膝上までの靴下を履き、太腿を見せている生徒も見受けられた。


 膝? 膝を隠せば後は見えていても構わないと言う価値観の世界なの?


そんなわけはないが。


「全くです。なぜお嬢様がこんなハレンチな格好をしなければいけないのか…」

アナスタシアの代わりにカバンを持ったアーニャが苦言を吐く。

「あら、私は可愛いとは思っているのよ? 一応」

「お嬢様が可愛いのは当然です」


アナスタシアは12歳になっていた。この国は15歳が成人であり、王侯貴族のほとんど、特に女子は15歳で結婚することもあり、学園に通うのは12から3年間になっている。


アナスタシアは頭ふたつ分程身長が伸びていたがアーニャは然程変わっていないため、だいぶ身長差が縮まった。並んで立つとまだアーニャの方が大きいことが分かる程度の差だ。



「ごきげんよう、アナスタシア様」

「ごきげんよう、アナスタシア様」

「ごきげんよう、マーガレット、ラダ」


校門を過ぎると、従者を従えた2人の令嬢が待ち構えていた。

心配症の父親が同じ学校に通う様に手配した同い年の令嬢2人である。

ラダはもともと通う予定であったが、マーガレットはこのために自分の親の領地から王都まで来ていた。マーガレット自身がその事を喜んでいる様なのでその点には特に文句はない。


ちなみに校門の外が学園外と言うわけではなく、学園は全寮制なので、学生と従者数人が滞在できる寮などがあり、全てひっくるめた敷地を囲う塀があるため、校門のすぐ外に部外者が、などと言うことは基本的には無い。


皆従者を連れてきているが、アナスタシアに至ってはもともとアーニャと二人暮らしの様な感じだったので、生活自体は特に変わらない。


アナスタシアは学園の入試を他の生徒とは別で受けていた。もちろん心配症の父親が手を回したからだが、どのみち学園に通えば全員から見られると言うのに心配症にも程が有る。


そして、教室内までは従者を連れて歩けないので格下の家の娘を同行させる。

これではむしろ入学早々悪い噂を立ててくださいと言っている様な物である。


実際アナスタシアら3人が通ると他の生徒が道を開け、ヒソヒソと何か話をしている。


「これではまるで悪役令嬢ね」


マーガレットとラダがその言葉に反応する。

鋭い視線がアナスタシアを刺す。


「でも、この世界には光魔法も聖女も存在しないのよね…」

「アナスタシア様、それはもしかして…」



その時である。淡い桃色の髪に垂れ目がちのクリクリした瞳のわりにキリッとした勝気な表情の少女が声をかけてきたのは。


「申し訳ないのだけれど、どなた?」

なんとなく悪役令嬢ムーブで冷たく言い放つ。

実際問題名乗りもせずに話しかけてきたのは相手だし、社交の場に出ていないアナスタシアが相手の名前など分かるわけもないのだが。


「っ! …し、失礼。私、エミリア マイトロベルと申します。以後お見知り置きを…」

アナスタシアたちと同じ制服、白いブラウスに黒基調のミニスカートにベスト、ボレロ風の長袖の上着、腰にはレイピアの様な細い剣を(はい)たわりとプロポーションの良い少女が優雅に挨拶をした。


ちなみにアナスタシアたちは剣ではなく短剣を所持している。これは本来は戦うためではなく万が一の際に自害するためのものである。彼女たちにその覚悟があるかは置いておいて伝統的に所持する様になっているのだ。


エミリアの挨拶が終わると、話をする間を与えずに数人の生徒を従えた金髪に碧眼の少年が現れた。


「ご機嫌様、お嬢さん方。私はエドワード=フォン=カールシュタイナー。この国の第1王子だ」

突然の王子の登場に空気が凍る。


王子そのもののせいではなく、アナスタシアが豹変したからだ。

目を細め、口角を上げただけの作り物の笑顔で、膝だけで挨拶を返す。


貴族の王族への反応としては完璧だが、今までの雰囲気とは変わりすぎていて何が起こったのかと思うほどだった。まあ、第1王子が現れると言う事件があったわけだが。


「なるほど、君がアナスタシア嬢だね。噂通りだ」

ちょっと気持ち悪いが、おくびにも出さず、膝だけで返事をする。

基本的に王族に対してヘラヘラ話しかけてはならないのでそうなるのだが、12歳の娘が咄嗟にできる対応ではない。


「出来ればもう少し普通に話をして欲しいのだが」

と言う王子に、そうは行くか、用があるなら書面で、そもそも親を通してくれ、と言う様な事を遠回しで言って追い払った。


「…」

唖然とするエミリア


「あら、そろそろ教室に向かいませんと、間に合いませんよみなさん」

何事もなかったかの様に優雅に歩き出すアナスタシアの顔は12歳の少女のものだった。



いちおう、私の中ではアナスタシアは悪役令嬢と言うか魔王なんだけど、読者に伝わっているか分からんわけで(

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