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ある魔法使いの旅路 〜儚げな公爵令嬢だと思っていたら、ただのチート主人公でした〜  作者: 大貞ハル
異世界から召喚されし勇者アナスタシアちゃん14歳さん
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2-13 旅の薬師

アナスタシアはほのぼの一人旅です。

「この世界ではこの容姿は目立つのかしら」


アナスタシアは気づいていないが元の世界でも大変目立つ。

100m離れた距離からでもはっきり分かるくらい目立つ。

100人居る中にいてもすぐに分かるくらい目立つ。

直接見えていなくてもその存在が分かってしまう程度には目立つ。


「一応、認識疎外をかけておこうかしら」

認識疎外の魔法とは、言葉の通り相手の認識能力を阻害する魔法だ。

相手から見えなくさせるレベルから、ちょっと目立たなくする、まで効果を変えられるし、例えば汚い物を綺麗に思わせたり逆にしたりと言ったことも出来る。


自分が騙される側になった時のことを考えるととても怖い魔法である。


「掛け方によって相手にされなかったり、やたら絡まれたりするから、人と接する前提で使うのは難しいのよね。完全に気が付かれない様にするのは簡単なんだけども」

認識疎外の魔法をかける。別に自分では変化が分からない。

髪の色が変わるわけでも顔に違和感があるわけでもなく、相手から見た印象が変わるだけだからだ。


「いざとなったら、携帯食料でしばらく生きてく事は可能だし、一か八か行ってみますか」


初めて見えてきた街に向かって歩き出した。



「すみません、私は薬師をしている者なのですが、採集でちょっと遠出しすぎてしまって、どこかで薬を売って路銀にしたいのですが、教えてもらえないでしょうか」

街の門番に聞いてみる。

街は盗賊や魔物から住人を守るために石壁で囲まれている。


「あー? じゃあ、入市税も払えない感じか?」

門のところに立っていた人に促されて、脇にある受付みたいな窓口のおじさんと交渉することになった。


「そうですね。もう一文無しでして。えへへ」

「えへへ、じゃないよ。困ったやつだな。で、売り物は何があるんだ?」

「もしかして、物でも良い感じですか?」

「場合による」

「ですよねー」


「上級ポーション、どん」

「ちょ、お前、逆に釣りが出ねえよ」

「えー」

窓口のカウンター的な台の上に置かれた小瓶は相当な価値の物らしい。

暇つぶしの探索で入手した素材と王女様に用意して貰った物で作ったので元手はただと言うか、予算は王家持ちだったりするのだが。


釣りは払える分だけで良い、とかも言ってみたけど、結局、門番の人が1人休憩に出ると言うので、上級ポーションを換金してきてもらうこととなった。


「ほいよ、嬢ちゃん。これが売り上げな」

受付の裏の部屋で待たせて貰っていたら1時間ほどで戻ってきた。

ちゃんと休憩は取れたのだろうか。


渡されたのは硬貨がたくさん入った袋だった。中にはかなりの枚数が入っている。これだけで半年一年は暮らしていけるんじゃないだろうか。こちらの世界の正確な物価は分からないが。


とりあえず門番の人たちがネコババとかする様な人じゃなくて良かった。


「はい、じゃあ、入市税と、これは手数料で」

税とは別に小銭を渡そうと差し出す。

「いや、ちょっとそう言うのは受け取れない決まりなんだわ」

困り顔で固辞する。


「そうなんですか? じゃあこれを」

カバンからポーションと同じ様な小瓶を取り出して机の上に置く。


「これは?」

「栄養剤です。疲れた時とかにどうぞ」

「ふーん、ま、これくらいなら貰っても大丈夫かな?」

キョロキョロしているところを見ると、本当はダメっぽい。


「それにしても、凄い高品質だって鑑定したおっちゃんが驚いてたぞ。あんた見た目に反して凄腕の薬師なんだな」

「見た目に反してってなんですか」

ぶっちゃけ今どんな風に見られているか、と言うか見えているか分からないし、ちょっと興味ある。

「あ、すまん、いや、なんかそうは見えないってだけだよ」

うんわかんない。


「いや、実はたまたま良い素材が手に入っただけなんですけどね」

「なんだよ」

「でも、買取でこの額だと、怪我したからっておいそれとは使えないですね」

ずっしりと重い袋を持ち上げてみる。


「まあ、そうだな。でもな、この辺じゃ魔物が出るから、なんだかんだで毎年何人かは上級ポーションが有れば助かったのに、みたいな怪我をするやつはいるんだ。そいつらが金を払えるかどうかは別として、在庫がなければそれまでだ」

「…」

「だから、嬢ちゃんが一文無しでたどり着いてくれた事は、この街の人間にとっちゃ幸運だったのかもしれねえ」

「そうですかね」

「そのまま売れないでギルドの大損って線も捨てがたいがな」

「えー。今のちょっと良い話の流れじゃなかったんですかー」

「わはは、すまんすまん」


「今夜泊まって明日には帰るのかい?」

「いえ、せっかくなのでこの辺も見て回ろうかと思ってます。懐も潤いましたし」

ダミーの薬草とお金が入った袋を入れた、振りをしたカバンをぱんぱん叩く。

アナスタシアに敵意を向けた人間はもれなく死ぬので、強盗とかの心配はないが、(きん)が基準の世界のお金はとにかく重いのである。即謎収納行きだ。


「気を付けろよ」

「ええ。お世話になりました」


街に入ると門の前は広場になっていて、その先に宿屋や屋台が集まっているのが見える。


「もう暗くなってきたし、食事は宿屋でするかな」

適当に小綺麗な宿を選んで泊まる事にした。

よくよく考えたら、入市税を他のアイテムで支払えば良かったのでは? とか思ったけど後の祭り(オ

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