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第5話 俺はこのパンツを誇りをもって、穿く。

「で、あなたのパンツが赤じゃないのはなんで……?」


 尚も方を震わせながら言う鬼灯。


 何故そんな話になったのか。まぁ彼女と少しでも打ち解けれるなら良いか、と、俺は自分の一張羅の話をはじめた。


「赤い革って言うと牛になるからな。牛なんざ子供でも倒せるだろう?

 鬼の真価は強さ! 俺はパンツに関しては色じゃなく、強さで選んだんだよ」


 そもそも、長が神獣の白虎を狩ってしまったため、規制が厳しくなったのだ。そのせいで、狩りにも出づらくなってしまったのだからしょうがない。


「まぁ、確かに白虎と比べたら劣る事は否定できないが……。このパンツは俺と死闘を繰り広げた虎のもの。俺はこのパンツを、誇りを持って穿……く……」


 一張羅の話を力説しているというのに、しゃがみ込んでまで笑い続ける鬼灯。その様子を見て、流石に俺は少々傷ついた。


「何がそんなに可笑しいんだよ……銃弾すらも跳ね返す優れものなんだぞ…………?」

 

「可笑しいんじゃないわ……! ちょっと笑いのツボにハマっただけ…………!」


 笑いのツボにハマった、って。それは可笑しいのとは違うのか? と疑問に思うものの、笑ってる顔がどことなく愛しく思えて、自分がふわりと笑顔になるのを感じる。


「素敵だと思うわ……。好きよ、そのパンツを穿いてる理由……!」


 立ち上がり、笑い涙を拭きながらそう言う鬼灯。そして、俺の胸は柄にもなく高鳴った。


「…………で、あんたの名前は?」


 もう知ってはいるが、テーブルに頬杖をついて落ち着いたフリして問うと、鬼灯は両手を腰に当て、不敵とも言えるような笑顔でこちらを見て言った。


「子供達から聞かなかった? あたしの名前は鬼灯、よろしくね!」


 そして、鬼灯は色々な説明とやらをはじめた。

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