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再生巫女看護師は業務中3

最近、良いことないな…。

オピアーノン令嬢が今度はシューお兄ちゃんにモーションをかけたって聞いたけど…婚約者もちだよ、仮にも。

それに、例のあの人の聖剣の姫君なんて助けられないよ。


この間の皇帝陛下の依頼…命令は細胞再生術…細胞活性術を定期的に使ってほしいと言うことだった。


ウエルサ騎士の事故があった日の夕方皇帝陛下の私室に呼ばれて再生術をかけた患者様(セイケンさま)の調い子がいいらしい。


例のあの人に嫌われるのは得策じゃないとしても、エウリール神の再生面の巫女は私だけじゃないし…オヤルル騎士の出身地方の神殿の巫女『華やかなライティーア』というアダ名のライティーア巫女もそうなはずだしさ。


今日も騎士たちは元気にトレーニング中だ。

アイルパーン竜騎国とチエアイス武王国が一触即発状態という噂があるため余計に力がこもるらしい。


「おい!大丈夫か?」

少しボーッとしてたら修練していた騎士が騒ぎだした。

よく見るとオヤルル騎士が利き手からだらだらと血を流してる。

「セリカちゃん。」

オリビシア先輩が立ち上がって処置台のほうに行った。

「はい。」

私はすぐにオヤルル騎士の方へ走る。



「どんな感じですか?」

オヤルル騎士の手を見るとざっくり切れてた。

「大したことは…。」

オヤルル騎士が強がりを言った。

オリビシア先輩が処置台を押して走ってきた。

滅菌ガーゼを摂子(セッシ)(大型ピンセット)でガーゼカスト(ガーゼ容器、滅菌できる。)から取り出して傷口において上から圧迫して止血をする。

「縫合テープで固定しておこうか、消毒して。」

ゼゼルハス医師がはしってきて傷口を見ていった。

「はい。」

オリビシア先輩が傷口を消毒薬を浸した綿球で消毒していく。

「うっ。」

オヤルル騎士がうめいた。


まあ、これだけ深いのによく我慢してるよ。

摂子でゼゼルハス医師が皮膚をよせてはっていく。



「オヤルル…いったい何を考えていた?」

チリアエシ騎士団長が処置が終わったオヤルル騎士に聞いた。

「すみません。」

オヤルル騎士が小さく頭を下げる。

利き手の包帯が痛々しい。

「…少しの油断が大ケガにつながる、なにを考えていた。」

チリアエシ騎士団長がするどい眼差しでいった。


オヤルル騎士が少し遠い目をした。

言おうかどうしようか考えてる目だよね。


「申し訳ございません。」

オヤルル騎士はそういって頭を下げた。

「それがお前の答えか?」

チリアエシ騎士団長がオヤルル騎士を睨み付けた。

「油断しただけです。」

オヤルル騎士がそういって負傷した聞き手を見た。

「そうか、ゼゼルハス医師、こいつはどのくらいですか?」

チリアエシ騎士団長が聞いた。

「まあ、一週間後抜糸で大丈夫だよ、二週間くらいかな?」

ゼゼルハス医師が処方箋を書きながら言った。


内容は化膿止めの抗生剤、痛み止の鎮痛剤、胃薬みたいだ。


「では、しばらく医務隊の手伝いをしろ、休ませてる間はないからな。」

チリアエシ騎士団長が腕組みしていったよ。


ええ?素人の手伝いなんかいらないよ。


「うん、いいよ、セリカちゃん面倒見てやって。」

ゼゼルハス医師がありがたくもない指名をしてくれた。

「そうしてくれるか、ファリシア看護師。」

チリアエシ騎士団長がそう言って診療室の窓からのぞく騎士たちに向き直った。


「おまえら、訓練はどうした!走り込みを増やすぞ!」

チリアエシ騎士団長が怒鳴るとクモの子をちらすように去って行った。


「ファリシア看護師、世話になります。」

オヤルル騎士が頭を下げた。

「は、はい。」

あれ?返事しちゃったよ、いいのかな?私。

「じゃ、一緒に医療院の薬学課に処方箋だしに行ってよ。」

ゼゼルハス医師がニコニコと処方箋の束を差し出した。

「あの~。」

いつもは看護助手さんがいくんだけどな…。

「ダイエットだよ、荷物もちもいることだし。」

ゼゼルハス医師がニコニコ言った。


荷物もちは負傷者ですよね…。



医療院の薬学課は皇宮を一度出ないといけない。

医療院自体が皇宮と別の建物だからね。


医療院の高い建物を見ながら黙々と歩くオヤルル騎士に追い付かない。


「ま、待ってください。」

負傷者よりトロイってなんなんだろうね。

「すまん、ファリシア看護師。」

何か考え込んでいたらしいオヤルル騎士がこっちを向いた。

「いいんですけど、何か悩み事ですか?」

私は歩調をあわせてくれたオヤルル騎士に並んだ。

「………ファリシア看護師はあまり巫女っぽくないな。」

オヤルル騎士が呟いた。

また、そのはなしかい。

「すみませんね、太ってて。」

私は横を向いた。

「そう言う意味じゃない。」

オヤルル騎士が慌てていった。

「どういう意味何ですか?」

どういう意味が聞いてみないとね。

「あなたは巫女と言うことにこだわっていない気がする。」

オヤルル騎士が遠い目をした。

「こだわるも何も、なんでこだわらなければならないんですか?」

エウリール様の声が聞こえるのが巫女っぽいって言えば巫女っぽいけど。


「あの女性は…いや、なんでもない。」

オヤルル騎士は黙りこんだ。


なんなんだろう?

私はオヤルル騎士の精悍な真面目そうな横顔を見つめた。


『私の巫女、他の男を見つめるな。』

エウリール様が面白いことをいった。


でも気になるんです。

あの女性って誰なんだろう?

関係ないかもしれないけど気になるよ。

駄文を読んでいただきありがとうございます♪

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