再生巫女看護師は業務中2
シューお兄ちゃんにはら肉つかまれた。
『これ以上肥たらオダーウエ聖騎士団は休職させる、二度とこの神殿から出さないから覚悟しろ。』
シューお兄ちゃんが冷ややかに言われたよ。
騎士たちは元気だな。
イストアート騎士は右肩やってるみたいだ。
微妙に肩をかばいながら走ってるのがみえた。
「先生、イストアート騎士、右肩の動きがおかしくないですか?」
私はイストアート騎士のカルテを通信機の画面に呼び出しながら言った。
既往歴を確認すると一年前の実戦訓練で転倒して骨折と書いてある。
「イストアート君は前に右肩骨折してるからね、後遺症がでたのかも訓練終わったら湿布貼ろうか。」
ゼゼルハス医師が薬棚をみながら言った。
すごいな…カルテ確認しなくてもすぐにその人の既往歴がわかるなんて…さすが帝立医療院が手放したがらなかったという伝説の医師だよ…なんである意味こんな閑職にいるのかな?
王族の主治医にだってなれそうなのに…。
「はい。」
まあ、人の詮索はいいや。
生命力活性術使えば治るかもだけど。
湿布で治るもんはそれでいいもんね。
オダーウエ聖騎士団の所属は皇帝陛下とかつてこの世界を救ったという勇者、オーレウス帝国の祖、神聖皇帝オダーウエ陛下に属している。
まあ、基本的に神聖皇帝陛下はなにも言ってこないから皇帝陛下所属が正しいのかな?
もちろん、専用の修練場も騎士団詰所もあって100人前後の騎士どもを少人数の医療隊が見てるから大変なんですよ。
どこの騎士団も同じみたいでこの間みたいな出張があったりするんだよね…人員増やして下さい。
もちろん、オダーウエ聖騎士団が遠征の時も実戦訓練の時も付いていきますよ。
詰め所の一角は診療所になっていて騎士たちの姿が見えるようになっている。
一応医療資材もそろってるよ、ベッドに酸素に吸引器、点滴セット等だ。
重症の時は応急処置程度してから病室に運ぶんだけどね。
オダーウエ聖騎士団の医務隊は
イオニーア・ゼゼルハス医師(男)を筆頭に。
ユリアス・ピアーサル看護師(男)
オリビシア・イファステーヌ看護師(女)
パウサウル・キイルシア看護師(男)
ウラファス・ヤイアス看護助手(男)
ダルテア・イセルト看護助手(男)
ピーノ・ギザルシス事務員(男)
それに私、セリカ・ファリシア看護師と言うことになる。
つねに全員居るわけじゃないから…ローティーション勤務だしせいぜい4~5人、へたすりゃ3~4人しかいない時があってけっこうきつい仕事です。
夜勤はないけど…夜間の呼び出しはあるんだよね…ごくたまに…。
ああ、ここでも男だらけ…マッチョじゃないだけましかな…。
ちなみに私のファリシアは姓じゃなくて巫女名です。
俗世から一応離れてるので、姓がないんだよね。
エウリール大神殿が実家なので
本当の実家の姓…忘れぎみです。
だから兄弟だよ詐欺出来ますよ。
お金、神殿管理だから無いですが。
小遣い程度しか持ってません。
衣食住保証されてるしね。
正確には私の衣服は神殿から保証されてるんだけどね。
再生巫女ファリシアにボロい格好はさせておくなと言うことらしいです。
…フリフリヒラヒラが多くてかえって太って見えます…今度抗議しようかな。
あのフリフリぜったいに兄ちゃんズの趣味に決まってる…趣味じゃないんだよ…。
まあ…オダーウエ聖騎士団の医療隊の制服をほとんど一日着てるんだけどね…。
「ファリシア看護師、ダイエットしたいっていってだけど、一緒に走ったらどう?」
ゼゼルハス医師が湿布を薬品棚からだしながら冗談半分に言った。
本当に腰が軽い人だよね。
訓練場に目を向けると騎士たちが走り込んでるのが見えた。
シューお兄ちゃんに休職宣言されたから走りに行こうか。
うん、倒れるまで走れ、私…まあそこそこ。
「いってきます。」
私は予防着(医療用割烹着型エプロン)のボタンをといて椅子の背にかけた。
予防着なんか着てたら邪魔だもんね。
下はオダーウエ聖騎士団医務隊の制服で紺色にオダーウエ聖騎士団のシンボルマークの竜と盾のマークが右腕と背中についてる五分袖の医療用スクラブだ。
そして走る騎士たちを追ってゆっくり走り出した。
騎士たちは今日は訓練用の紺色の半袖とズボンでやっぱりオダーウエ聖騎士団のシンボルマークが右腕と背中についてる。
さすがに騎士たちは鍛えてるだけあって早いよ…息が切れてきた。
「ファリシア看護師なんかようか?」
メイーセント・キリヌア・チリアエシ騎士団長がわざわざ隣まで下がってきて言った。
若き新団長は実は気が使える若者だと老いも若きも大人気なんだけど…婚約者がいるらしいしね。
そんな心配そうな目で見なくても大丈夫ですよ。
「う、ん、ど、う、で、す。」
ああ、ちょっと走っただけなのにしんどい。
不味いかもしれない。
「…走ってたのか?歩いているとばかり。」
メイーセント騎士団長が顔をしかめた。
「は、し…。」
どうせ、カメの歩みですよ…なんかお腹が…。
「オヤルル、サポートしろ倒れられると厄介だ。」
心配そうに言ってメイーセント騎士団長は前に戻った。
オヤルル騎士ってこの間の失礼な騎士だよね。
ええ?いいよなんで私の体見てるのさ?
太ってるから?地元の巫女と違うから?
「ファリシア看護師、走るときは最初にストレッチが必要だ、いったん止まらないか?」
オヤルル騎士がすぐ隣に来て言った。
い、以外とまともだよ。
「そ、う、で、す、か?」
足がいたくて止まったとたん倒れこんだ。
「…今日はやめたほうがいい。」
オヤルル騎士が受け止めてくれた。
あー、意外といい人だよ…誤解してた?
あしいたい…動けない…不味い、エウリール神の巫女が再生面の巫女とはいえこんだけ体力ないとシューお兄ちゃんに特訓させられる。
「オヤルル騎士、ストレッチ教えてください。」
私は真剣に言った。
うん、例え失礼でも騎士は騎士だもんね。
走ってるもんは騎士でも使えって言うもんね。
え?言わない?おかしいな…。
こんなに動けないと肥巫女街道まっしぐらだよ。
『愛しい巫女、無理するでない。』
エウリール様が憂いの感情を伝えてきた。
そうですね…無理しすぎたかも…。
椅子に座ってピキピキ言う足の筋肉を撫でながら答えた。
明日は筋肉痛かな?
『お前はそのままでよい、早く我がものにしたいが…姉上がな…しばし待つがよい。』
エウリール様はやっぱり私に甘い。
エウリール様の姉上って双子の地母神オーラダー様のことだよね。
オーラダー神殿の巫女友達がかつての最高ランクの巫女が高神官で帰ってきたって聞いたけど…まあ、いいか。
「セリカ君にイストアート君の残りの湿布はってあげて?」
ゼゼルハス医師がキイルハスさんに湿布を渡して言った。
な、撫でてるの気がついてたんですか?
「はい、ファリシアさん、足だして。」
キイルハスさんが淡々と言った。
ええ、はってもらいましたとも。
看護師なんて業務時は本当に気にしないです。
無感動ですみませんね。
さて、どうにダイエットしようかな?
騎士たちにはついていけないしね。
駄文を読んでいただきありがとうございます♪




