不良(元?)な巫子は今日も荒れる。
うちの可愛い丸だるまが騎士団の連中とかえってこないってどういうこと?
場合によっては絞めにいかないとかな?
神殿の廊下を足音も荒くあるいていく。
いつもての届く範囲にいた。
オレが先代神官長に絞められにここにつれてこられたときから。
オレは下町でいきがってたまあ、不良だな。
父親は不明で母親は常に恋人がいた。
母親は美人女優ってやつで相手の男に依存していきている、そんな女だった。
おれはぐれた。
母親が男に入れあげてオレをばあちゃんにあずっけっぱなしにしてるのがいまがんがえると気に入らなかったんだよな。
『美人女優はこんな大きい子供はいないんだよな!』
その日、一緒に暮らそうと知らない男と来た母親に捨て台詞をはいてオレは家を飛び出した。
ムカムカして飛び出すと不良仲間がきてオレたちのテリトリーを荒らす連中がいるとききむしゃくしゃして暴れた。
親玉は母親に似て女顔のオレをからかうガストンだ。
『オレの女になってもいいだぜ、ティー。』
手下どもを従えていつも通り下卑た笑いを浮かべるガストン。
『ティー。』
仲間が心配そうに見上げた。
『オレは男だ~こんちきしょ~!』
力を足にこめるとおもいっきり蹴りあげた。
ミコ、アラブリスギルナ。
力を使うと聞こえるかすかな声。
『余裕だな、ティー!』
ガストンが殴りかかった。
それをかわし力を込めて腹をなぐる。
オレの数倍のガストンが地面に叩きつけられた。
『このくそがきよくも!』
ガストンが腹をおさえて立ち上がった。
『ふん、そのくそがきに色目使ってんじゃないよ。』
オレはそういって力を拳に込めた。
ヤメヨ、ワタシニ力ヲ…。
ガストンが襲い掛かってきた。
ついでにやつの手下も襲いかかる。
『卑怯だぞ。』
誰かが叫んでオレの仲間も乱入した。
闘いの興奮が高まっていく…。
昔からそうだ。
『このやろ~。』
誰かがナイフでさしてきてガードした腕に刺さる視界が赤く染まった。
なにかが…キレた。
ミコ…ダメだ。
妙にはっきり声が聞こえた。
言葉にならない叫びを上げてオレは力を放った。
衝撃があたりを襲う…前に誰かに後頭部を殴られた。
『だれだ、こんなあぶねー、くそがきを見落としたのはよ。』
赤い服のがたいのいいじじい。
先代神官長がオレを首にヘッドロックをかけながらいった。
『師匠、それはこの地域の神官の怠慢だろう?』
オレより年上の少年がいった。
『あとは頼んだ、ケイオス。』
じじいがニヤリとすると年上の少年がうなづいてオレの仲間とガストン一味をいっしょくたに扱い出した。
よく見ると神殿の連中も来ているみたいだ。
『じいちゃん、そいつすごいな。』
オレと同じくらいの男がそういいながら腕をさすった。
『ジァイオス、よくやったな。』
じじいが片手オレをヘッドロックかけながら片手でその少年の頭をガシガシ撫でた。
へへと嬉しそうに少年がわらった。
あれだけ溢れていた力を消された?
ガストン、その他の連中も茫然自失でケイオスとか言うやつと神殿の連中に補導されてた。
『紅顔の美少年ってやつか…。』
じじいがオレの顔をのぞきこんだ。
『離せよ~。』
オレははっときがついて暴れた。
『ふむ、とんだ跳ねっ返りの訳か?』
ニヤリとしてじじいがオレを荷物担ぎをした。
跳ねっ返りは女に言う言葉だぜ、じいちゃんとジァイオスとかいう少年が呆れたように呟いた。
『オレ男だよ!』
オレは生命の危険を感じた。
『お前は戦闘の方の巫子のようだな、ジァイオス面倒見てやれ。』
じじいが同じくらいの少年にいった。
『オレはどこもいかないよ!』
じじいの腹を蹴ろうとしてつかまれる。
巫子、そのじじいは不味い。
いつも以上にはっきり例の声が聞こえた。
それがエウリール神の声だと後々知った。
結局大神殿に連れ込まれてじじいに…。
あんときのことは語りたくないぜ。
『お兄ちゃん、怪我してるの?』
修練場でぐったり横たわってると可愛い声がして期待して目を開けると丸い少女がいた。
なんで、バサバサのまつ毛もちのくせに…丸いんだ。
『丸熊だよ…。』
オレが呟くと綺麗な顔の高級そうな服を着たオレより年上の少年が少女を後ろから引き戻した。
『セリカ、その不良に近づくな、最高位の戦闘面の巫子候補だが危険だ。』
高級男が丸熊の耳元でやさしくささやいた。
『シューお兄ちゃん、大丈夫だよ、お兄ちゃん、治すね。』
丸い少女がオレにてをかざした。
暖かい光が身体中を駆け巡った。
ゆっくりとてをあげてみる…いたくない。
『おい、お前はいったいだれだよ。』
オレが起き上がるとあの高級男が丸い少女を抱えあげた。
すげぇ力だな。
『再生面の最高位の巫女に治療してもらうとは運が良かったな、戦闘巫子ティオラ。』
高級男が冷たい目でいった。
『オレはティーアスだよ。』
ティオラってなんだって思ったね。
『巫子名が授けられた、ティオラだ…頑張るがよい。』
高級男がそのままいきそうになって丸い少女があわてて痛くなったらまた…とかいってたな。
それがセリカとの出会いだよ…。
高級男はシュースル現神官長だった。
オレは完璧にエウリール大神殿に引き取られた。
あのとき来た男はじつは映画会社の社長でオレの父ちゃんだったんだそうだ。
エウリール大神殿の…帝国の権力に負けてすまないと父ちゃんがないてたよ。
母ちゃんはじじいをみてあら渋くていい男ねといってたな、せっそうがないよ、まったく。
『寂しいの?』
二人を見送ってると丸熊がそっとうしろから声をかけた。
『寂しく何てないよ。』
あわてて涙をぬぐっていった。
『強がっちゃダメ』
小首をかしげた姿がかわいくてついでにその直後転びかけたのが気になった。
「セリカは大切ないもうと。」
オレは呟いた。
そう…だから…近くにいないと心配事なんだ。
まってて、丸だるま、迎えにいくからね。
「あ~、神官長がいったぞ。」
ジァイオス師匠がのんきにいった。
全く、何でいつもいつもじゃまするんだろう?
オレは妙に腹がたって儀式用の槍を持ち直した。
このあと戦闘巫子としての儀式があるんだよね。
まあ、いってもいいが仕事に支障がないようにな。
ジァイオス師匠がぽりぽり頬をかきながらいった。
そう言うジァイオス師匠も儀式用の槍を持っている。
巫子…急げ。
エウリール神があわててる。
うん、行くよ。
戦闘面最高位の巫子としての業務が終わったらね。
とりあえず誰かをしごいてうさを晴らそうかな?
そのあとになんとか抜け出そうっと。




