再生巫女看護師は有給中1
久しぶりですみません。
うーん、オヤルル騎士の実家って小さいけど立派だなぁ…。
あ、皇宮と比べちゃダメか?
皇宮に…エウリール大神殿に小さい時からいるから…私、感覚おかしいかもしれない。
帝都に帰る前にオヤルル騎士の両親と会うことになった。
扉まで案内してくれた門番にガン見されたよ。
ふ、太ってて悪かったですね。
「セリカ、なに見上げてるんだ?」
オヤルル騎士が笑った。
「竜が飛んでるなぁと思いまして…。」
建物に入る前に空を見上げた。
「さっき一緒にのって来ただろう?」
オヤルル騎士が手を握った。
腕輪がキラリと光って聖言の一部を浮かび上がらせた。
ドキッとした…生と死は流れ止まらない永久に愛せ命尽きたとしてもそは運命。
確かオーラダー神の結びの聖言はそんな感じだった。
私は本当にこの人が好きなのだろうか?
最近おかしい…なにか大事なことを忘れている気がする。
部屋まで案内した使用人にもチラ見された。
どうせ太ってますよ。
最近不安感で間食増えたし…。
わーん、叱られる…っだれにだっけ?
小綺麗な居間にこの間あったオヤルル騎士の母親がまっていた。
父親はまだ来てないらしい。
華奢なデザインのソファーに座ると少しミシっといって身を縮めるおもいがした。
エウリール大神殿のソファーはもっとがっしりしてるもん。
お兄ちゃんたちが乱暴に座るからと…私ために…誰かと選んだ覚えが…誰だっけ?
優しくて…厳しい…。
「母上、オレの婚約者、セリカ…いえエウリール神最高位の巫女ファリシア紹介いたします。」
オヤルル騎士の声で意識がそちらに戻った。
オヤルル騎士の母親が優雅にソファーに座っている。
当然ミシっなんて言わないくらい細い。
「よろしく、ファリシア巫女…いいえ未来の娘ファリシア。」
オヤルル夫人はどこか含んだ笑いを浮かべた。
「よろしくお願いいたします。」
私は惰性的に頭を下げた。
あら、元気がないわねとオヤルル騎士の母親が呟いてるのが聞こえた。
たしかに最近どこかおかしい。
風邪…なのかな?
でも…症状はでてないし…。
「すまん、遅れた。」
バタバタとがたいのいい中年男性が入ってきた。
「まあ、貴方、お行儀が悪いわよ。」
オヤルル夫人が顔をしかめた。
「仕方あるまい、高位の方が訪問されたのだ、未来の義娘は逃げないだろう?」
オヤルル騎士に似てる中年男性がニヤリとした。
「お偉方?なぜ私に教えてくださらなかったの?接待の準備をしないとだわ。」
オヤルル夫人そういって一礼もせず足早に去っていった。
「……まあ、好きにさせておくか。」
中年男性…オヤルル騎士の父親がそういいながらどかっと腰かけた。
「父上、わざとですね、高位の方とは誰ですか?」
オヤルル騎士が聞いた。
「あいつがいるとうるさい、高位の方とはエウリール大神殿の…。」
オヤルル騎士の父親がいいかけたところで廊下が騒がしくなった。
エウリール大神殿…なんかドキドキする。
扉が勢いよくひらいた。
「セリカ!帰りますよ!」
見覚えある銀の髪の中性的な人が入ってきた。
「アミリアーナさん…アミリアーナさんだ…なんでここに?」
しばらくあってない聖なる槍の化身がたっていた。
「あなたは…エウリール神の最高位の巫女でしょう、ここは貴方の居場所ではありません。」
アミリアーナさんが私の前まで移動した。
オヤルル騎士が立ち上がった。
「セリカとは腕輪を取り交わしました。」
腕輪を身体の前にかかげる。
「ルークス・オヤルル、お前ごときが最高位の巫女の伴侶になれると思っているのですか?」
アミリアーナさんがそうに高圧的に言った。
オヤルル騎士がたじろいだ。
「聖槍アミリアーナ様?我が家の息子をよくも低く評価したもんだな。」
低い声でオヤルル騎士の父親が言った。
「ブライアン・オヤルル…お前、何が言いたいのですか。」
アミリアーナさんの声に危険な響きが混じる。
「うちの息子の件はエウリール大神殿に報告ずみだと思ったが?」
オヤルル騎士の父親が低い声で続けた。
「それがどうしたのですか?高々そのくらいでセリカをくれてやる理由にはなりません。」
アミリアーナさんは冷たい声でいった。
部屋が氷点下になった気がした。
「世界が壊れてもよいと聖槍様はおっしゃるようだ。」
オヤルル騎士の父親が笑った。
目が全く笑ってない。
「世界はまだ滓に負けてはいない!わが君がまだ愛しきものを喪っていないのですから。」
アミリアーナさんがわけのわからないことを言った。
滓?わが君は喪っていない?
アミリアーナさんのわが君…それは…。
この間あった人…恐ろしい…でも…この国はあの人が作った愛しい…あのか弱そうな人?のために…。
小さい時に挨拶にいったとき無表情に対応されて大泣きして…それから…一緒についてきてくれたあの…うん抱き締めて背中を撫でてもらったんだ。
そう…あの人に。
「こちらですわ。」
オヤルル騎士の母親がニコニコと満面の笑みで長身の男性を案内してきた。
「ありがとうございます…アミリアーナ、セリカと話はついたのか?」
長身の男…シューお兄ちゃんが静かに言った。
「いいえ、セリカとは話せてません。」
アミリアーナさんが冷ややかに答えた。
「ファリシア…しばらくここで世話になるがいい。」
シューお兄ちゃんが妙に冷静に言った。
何か怖い…私、どうしたら。
「シュースル!どういうつもりですか!」
アミリアーナさんが叫んだ。
「私と聖槍アミリアーナもしばらく滞在させてもらいたい。」
シューお兄ちゃんが私からめをそらしていった。
「それは…かまいませんが聖槍様は気に入らないのでは?」
オヤルル騎士の父親…ブライアン領主が皮肉っぽくアミリアーナさんを見た。
「いいえ…滞在いたします。」
アミリアーナさんが複雑な顔でいった。
ブライアン領主がオヤルル夫人に部屋を用意させる指示出すように言った。
「未来の義娘はルークスと一緒部屋にしろ。」
ブライアン領主がニヤリとした。
「まだ、早いのではありませんの?」
オヤルル夫人が不満そうにいった。
「セリカは婚姻前の乙女ですよ!」
アミリアーナさんがかみついた。
「…べつに婚約してるんだからいいだろう?」
ブライアン領主がみみ穴をポリポリかいた。
「最高位の巫女に個室を与えられないほどとはな。」
シューお兄ちゃんが冷ややかに言った。
「………しかたない、個室を準備してやれ。」
ブライアン領主がぶつぶつ言った。
「ご案内なさい。」
オヤルル夫人が使用人に指示した。
シューお兄ちゃんが冷たく私を見て踵を返した。
なんか悲しい…どうしてこんなに悲しいんだろう?
『やはり…滓が少し…。』
エウリール神が呟いた。
滓ってなんですか?
『私の巫女…まだ言えぬ。』
エウリール神がそうにいいよどんで早々に去っていった。
「大丈夫か?セリカ?」
オヤルル騎士がのぞきこんでいる。
「大丈夫です。」
私は頭をふった。
……ん?なんでこんなに近くにオヤルル騎士が…。
だ、だきしめられてる?
「セリカ…。」
シューお兄ちゃんが氷点下の声でいった。
「大丈夫だよ。」
私は慌ててオヤルル騎士からぬけでようとした。
「疲れてるようだ。」
オヤルル騎士が私を立たせて肩を抱いて手を握った。
温度がまた下がった気がする。
「大丈夫です、本当に。」
私の必死の表情に何か感じたのか。
オヤルル騎士が離した。
急いで歩き出した。
どうしよう…なにか忘れてる気がする。
シューお兄ちゃんが怖い。
なにが起こってるんだろう?
なんか…空気がよどんでるように見えるのは…気のせいだよね?
私…何を忘れたんだろう?
怖い…怖いよ…。
なんか寒気がするよ…。
本当に風邪ってことはないよね?
駄文を読んでいただきありがとうございます♪




