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再生巫女看護師は帰省中(すぐ、近くです。)3

シューお兄ちゃんに呼び出された…なんか怖いよ~。


神殿に帰るときは少し気が重い。

お兄ちゃんたちはやさしいけど…。


信者さんの一部にあんなデブが最高位の巫女だなんてという目でみられてる気がするんだよね。

だったら痩せろって話だけど…。


「どうしても痩せられないんだよね…。」

クスンと思いながら神殿の天井の高い廊下を歩く…壁面に描かれているのは創世神話におけるエウリール神の戦いの記憶だ…と言われている。


子供がみると泣くらしい。

かくゆう私も大泣きしてエウリール神とシューお兄ちゃんに慰められた口だ。


あの血みどろ壁画…今でも嫌なシーンだよ。


でも破壊と再生は表裏一体だし…再生シーンの巫女様が華奢でさ…よりにもよって私と同じ赤茶色の髪と赤紫の瞳なんで比べられることこの上ないんだよね…。


エウリール神の最愛の神妃っていう人間から神族に上がったひとらしいけど…天界にめしあげられたら会えるかな?


きっと太ってるんでびっくりされちゃうよね…。

魂は違うのかな?


「セリカ、きていたのですか?」

イリュギス神官お兄ちゃんが眼鏡のつるを持ち上げながら言った、聖典を抱えてるから神事を行ってきたのかな?

「シューお兄ちゃんに呼び出されたんだよね。」

私はため息をついた。

「……ルークス・ハザラ・オヤルルのせいですね。」

イリュギスお兄ちゃんがズバリと眼鏡を光らせて言った。


まあ、そうなんだけどさ。

いったいどっから情報が来るのさ。


そういや…情報提供誰もしてない。

オヤルル騎士に…私が許嫁持ちって。


わー、帰ったらすぐ言わないとね。


「オヤルル騎士はまあ、いいとしてシューお兄ちゃんの呼び出しについてなんか知ってる?」

ここで対策たてられれば…一番いいんだけどね。

「もちろん、オヤルル騎士との一件でしょうね…喰われる前にオレと逃げましょうか?セリカ。」

イリュギス神官お兄ちゃんがそう言って私の手を握った。


く、喰われる?脂肪だらけだから美味しくないよ~。


「そう言えば他のお兄ちゃんたちは?」

いつもどこからともなく現れるのに…。

「出張です、私は根性で残りましたが。」

イリュギス神官お兄ちゃんがそう言って手をひいてあるきだした。

「そっちシューお兄ちゃんの部屋じゃないよ。」

神官長の部屋はもっと奧だ。

「うん、だから逃げましょうセリカ、きちんと三色昼寝付きで面倒みますよ。」

妙に色っぽい顔でイリュギス神官お兄ちゃんがささやいた。


三色昼寝…三食昼寝の間違えだよね…まさか…。

いやいや、イリュギス神官お兄ちゃんモテるし私なんか相手にしないって。


「抱きしめて翻弄したらどれだけ可愛い反応をしてくれるのですかね…セリカは。」

ますます色っぽい顔でイリュギス神官お兄ちゃんが呟いた。


ほ、翻弄?抱きしめるのなんか子供のときの延長だとおもってたんだけど…まさか?


「イリュギス神官、おふざけが過ぎますよ。」

アルリーア副神官長がセルシア神官お姉ちゃんとウームア聖騎士をつれて現れた。


ウームア聖騎士がさりげなく槍を構えた。

セルシア神官お姉ちゃんもいつでも動ける体勢らしい。


「……まったく予想通りの行動をとるよね。」

セルシア神官お姉ちゃんがため息をついた。


予想通りってどんな予想なんだろう?


「イリュギス神官、ファリシア巫女はこれからシュースル神官長と面会いたします、すぐにこちらにかえしていただきます。」

アルリーア副神官長が厳しい眼差しで睨み付けた。

イリュギス神官お兄ちゃんもかまえてるのがわかる。

「セリカが神官長に喰われるのをみすみす見のがすとでも思ってるのですか?」

イリュギス神官お兄ちゃんがアルリーア副神官長を睨み付けた。


二人がにらみあって緊張感が神殿の廊下に満たされる。


嫌なもんが満たされてるよ…どうせなら唐揚げの匂いのほうがいいよ。


「ファリシア巫女は神官長の婚約者ですから当然の権利かと…むしろ遅すぎです。」

アルリーア副神官長がそう言って合図をした。


ウームア聖騎士が槍を降り下ろす。

イリュギス神官お兄ちゃんが私を後ろにかくまって手甲で受けた。


相変わらず全身武器って感じだな~お兄ちゃんたち。

頭脳派って自称してるイリュギス神官お兄ちゃんですらこれだよ。


「セリカ!逃げなさい!」

イリュギス神官お兄ちゃんがなぜか悲壮感を漂わせて槍の柄をつかんで言った。


………ごめん…イリュギス神官お兄ちゃん…そののりにのれない私を許して?


「アルリーア副神官長~、シューお兄ちゃんに喰われるの怖いけどいくよ。」

私はてが離れたのを幸いにホテホテとアルリーア副神官長のところに逃げた。

「セリカ、どうしてわからないのですか?」

イリュギス神官お兄ちゃんがウームア聖騎士と力比べしながら言った。

「余裕があるね、イリュギス神官。」

嬉しそうにウームア聖騎士が槍をねじ込む。

それをイリュギス神官お兄ちゃんが押し返す。


へんな綱引き状態だよ。


「あんたたち、何してるのよ!」

セルシア神官お姉ちゃんが二人を止めにはいった。


「セリカちゃん、行きますよ。」

アルリーア副神官長が慈愛の笑みらしきものを浮かべた。


でも…シューお兄ちゃんに渡すんだよね。

まあ、良いけどさ。



神官長室ではシューお兄ちゃんが腕組みして仁王立ちしてる 。

逃げようとまわれみぎした。


「セリカ…逃げるな。」

低い美声が室内に響く。

「大丈夫ですよ、セリカちゃん。」

アルリーア副神官長が私をくるりと回して室内にほうりこんで自分は入らず扉を閉めた。


試しにノブをまわすと鍵がかかっている。


「往生際が悪い。」

シューお兄ちゃんが大股で近づいてくる。

「な、なんのようなの?」

私は後ずさりして扉に張り付いた。


生命の危険を感じるのは気のせいかな?


『私の巫女、安心しろ死んだらすぐにめしあげてやる。』

エウリール神が言った。


わーん、助けるなら生きてるときにしてください。


「また、エウリール神か!どいつもこいつも邪魔を!」

シューお兄ちゃんが苛立たしげに言う顔がすぐ目の前にあった。


鍛え抜かれた肉体になぜか抱き込まれてる。

ほ、捕獲?


「シューお兄ちゃん、オヤルル騎士とはなんともなってないよ。」

私はじたばたできないくらい抱き締められてた。

「…その名前は聞きたくない、オダーウエ聖騎士団はやめさせる。」

シューお兄ちゃんが耳元でささやくように言った。


そのまま、私の顔に顔を近づける。


「誰をやめさせるのさ!」

え?オヤルル騎士?私?

「もちろん、お前だ。」

シューお兄ちゃんがそう言って強引にキスした。


いや、なんでそんなことするの?


「私!やめないから!」

私はシューお兄ちゃんの腕のなかで身をよじった。


……外れたよ…豊満な身体バンザーイ…なんかダメージが…。


「痩せろ…今すぐに!」

シューお兄ちゃんが少し飛ばされてにらんだ。

「む、無理!それに仕事やめないから!」

私はますます扉に張り付いて言った。


ところで後ろに倒れこんだ。

扉が勢いよく開いたからだ。


「シュースル()()殿()()ご乱心だそうだな、大丈夫かセリカ。」

ヤサゼシス神官お兄ちゃんが後ろからささえてるよ。

「神官長、負けてしまいました。」

アルリーア副神官長が悔しそうに言った。


よくみるとジャイオス巫子お兄ちゃんをはじめとする。

皇帝護衛神官戦士が何人かいて武器で威嚇しているみたい…どうしてここに?


「間に合いましたか。」

イリュギス神官お兄ちゃんが駆けてきた。

「抜け駆けしようとするからこうなるのだぞ。」

ジャイオス巫子お兄ちゃんが美声で言った。

「…こうでもしないとセリカを独占できませんから。」

イリュギス神官お兄ちゃんが悪びれずに言った。


「シュースル()()殿()()、セリカは回収させてもらう、オヤルル地方の領主から息子ルークスと婚約したのだからオヤルル地方にセリカを寄越せと要請されたそうだな。」

ヤサゼシス神官お兄ちゃんが私を後ろから抱きしめながら言った。

「その情報は皇帝陛下(アニウエ)からか?」

シューお兄ちゃんが不機嫌そうに私を見ながら言った。


「オヤルル地方の巫女がその代わりに大神殿にきたいと言ったとか…皇帝陛下が興味を持たれているようだ。」

ヤサゼシス神官お兄ちゃんがそのまま私を部屋から出した。

「あの巫女が破壊と再生の両方の力を持っているからと言うことだからだな…セリカには再生は遠く及ばないが…普通なら最高位の巫女レベルではある。」

シューお兄ちゃんが近づいてくる。


私は怖くてヤサゼシス神官お兄ちゃんの腕にしがみついた。


「私はオヤルル地方にセリカをやるために身を引いたわけじゃないぞ。」

ヤサゼシス神官お兄ちゃんが優しく私のお腹を撫でた。


うーん、ポンポコリンだよ。


「だから、既成事実を作り肥え巫女を出さない算段をしている、損失だからな。」

シューお兄ちゃんが冷たくいい放った。


ああ、やっぱり国の利益のためだよね。


「セリカ、冷血漢は放置して私の私邸に行こう、ジァイアスいくぞ。」

ヤサゼシス神官お兄ちゃんがそう言って私を抱き上げた。


「まて、許さない。」

シューお兄ちゃんが言ったけど皇帝護衛神官戦士に威嚇された。


通いなれた壁画のある道のりが私が歩くより早く歩いているらしく後ろに流れていく。


どうしよう、オダーウエ聖騎士団やめたくないよ。


それに…シューお兄ちゃん…本当に義務であんなことしてるのなら…解放して…ああ、なんか胸がいたい。


いったいどうなっちゃうのか?

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