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風雲あかし城  作者: Master of Reality☆黒い安息日
三番目物【鬘能】
55/60

どこか私を連れていって、遠く高く放り投げて、くれ


 信濃守千代丸は空腹だった


 南木景樹は、魚のような顔をした男と密談をしている

 真面目な話らしい

 そこに割り込んで飯をくれと言うのもいかがなものか


 仕方なく台所で冷蔵庫を開ける

 ラインナップが寂しい

 だが、千代丸は知っていた

 南木景樹の部屋には隠し冷蔵庫があることを


 その冷蔵庫は非常に小型で

 隠れ家を移動する度に持ち運んでいる

 よほど美味いものが入っているに違いないと

 千代丸は前々から目を付けていた


 千代丸が南木景樹に部屋に入る

 たしかこの辺に……あった、これだ

 小型冷蔵庫

 取り出して中を開けると

 銀のボールに

 銀の匙 (さじ)


 ヨーグルトソース?


 信濃守千代丸、指ですくってペロリとなめる



 乳酸のわずかな酸味が口内から鼻腔を抜け爽やかな香気が

                          ふ

                          ん

                          わ

                          り

                          と

                          体

                          を

                          包

                          み

                          込

                          む

は時たい付気といしかおか何し達とへ脳てがやが覚感なうよ 


            あ

            

          これはマズい


            ど

            こ

            か

            へ

                 

          飛ばされる


          飛ばされる


          飛 


       飛  

 

                     飛

      ば



        さ

          


                          れ


             る

























 月の裏側にいた

 そこは生い茂る森林で

 満天の夜空


 パチパチと火の粉を飛ばし

 焚火が燃える

 信濃守千代丸の前で

 老婆が薪をくべている



「……おばあさん、ここは何処なのかしら♡」


「善悪の彼岸だよ」


「……おばあさん、あなたは誰なのかしら♡」


「成れの果てだよ」


「……成れの果て? 誰の? もしかして、私のかしら♡」


「ふふふ……」



 ユラユラと炎が踊り

 焚火は燃える

 信濃守千代丸の前で

 老婆が静かに問う



  目指すのは、真理かい?

  到達すれば、地獄だよ?



「……真理とか悟りとか、クソくらえよ♡」


「ふふふ……」


「……そんなもん挫折を美化する言葉遊びよ♡」


「ひひひ……」


「……地獄もクソもないわ、あるのは現実、それだけよ♡」

 

「うきききき……」


「……だから私は妄想に沈めるの、世界を♡」




──── 現世は夢 夜の夢こそ真 (まこと) ────




 風景が変わった

 白銀の世界

 雪が降りしきる

 (Snowblind)



 老婆が素足で焚火に入り

 立ったまま燃やされていく

 黒い炎が立ちあがる

 (Sabbath Bloody Sabbath)



 老婆の哄笑が響き渡る


 愉快だ

 愉快だ


 諸人の成れの果て、魔人

 魔人の成れの果て、神


 神の成れの果ては、【 読者 】即ち【 観測者 】



 【 創造主 】など【 観測者 】無くして存在しえず



 【 神 】など所詮【 人 】の観測無くして存在できない

 


 神話の神秘性とは、読者数に比例する



 これが真理だ悟りだ、あーはっはっはっはっはっはっは!



 急速に「覚め」ていく感覚

 信濃守千代丸は目覚める前に

 老婆へ問うた



「……おばあさん、最後にお名前を聞かせて♡」



 哄笑する老婆

 黒い炎に焼かれ

 白い灰になる

 それはもはや

 雪と区別がつかない


 だが笑わせてもらった褒美として

 一言、名を明かして白銀に散った





「黒い安息日……」









◇◇◇



 バシッ!

 バシッ!



「おい、千代丸、しっかりしろ」



 南木景樹は

 自室で泡を吹き白目で倒れている千代丸を介抱していた

 とはいえBL的耽美な光景ではなく

 平手で頬をぶちまくる地獄絵図

 田亀源五郎的世界観としてはアリなのかもしれないが……



「痛ッ! ちょ! 何すんのよ♡」



 千代丸、反撃のアッパーカット

 それはクロスカウンターで南木景樹の顎に入り

 彼はもんどりうって吹っ飛んだ

 それは廬山昇龍覇を放つドラゴン紫龍のようであり

 JETの文字が浮かんでいれば河井武士のようでもあった



「千代丸、お前これを口にして無事だったのか」



 景樹が手にするのは

 銀のボールに入った白いヨーグルトソース

 千代丸が無事かどうかは弱冠の疑問も残るが

 ひとまず彼はアーカシ市に帰ることが出来たようだ



「ん~、とりあえずソレは Sweet Leaf ではないわね♡」


「何を言ってるんだ千代丸?」


「危うく Heaven and Hell の彼岸に飛ばされたわ♡」


「とりあえず休め、千代丸」


「でも、Die Young するのはまだ早いわね♡」





【付録】


https://drive.google.com/file/d/1sCKYXGKao4_VblJqFKwI5LocLOqLdiRB/view


「Heaven and Hell」+「Paranoid」のカバー

2016年頃のライブ

ベース・筆者 (黒い安息日)

内容の詳細というか備忘録↓

https://book1.adouzi.eu.org/n2751jm/33

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