第2話:血塗られた勝利と揺らぐ婚約
返り血にまみれたアメリアが、勝利のガッツポーズを取る。
その姿は凛々しくも恐ろしく、闘技場に集う全校生徒たちは歓声を上げた。
「アメリア様!すごい!」
「一年生でキングオークを倒すなんて!」
「やっぱり王女様は別格だ!」
熱狂の渦に包まれる学園。だが、その中でただ一人、震える男がいた。
――隣国ノルディア。
魔導モニタに映る血まみれのアメリアを凝視し、王子レオニード・ノルディアは唇を噛みしめる。
その瞳には恐怖と嫌悪が浮かんでいた。
「……化け物じゃないか」
その言葉に、隣で見ていたノルディア国王が眉をひそめる。
「そうか?……可愛らしいじゃないか」
レオニードは声を荒げる。
「どこがですか父上!婚約者がこんな化け物だなんて!」
血に染まったアメリアの笑顔は、ノルディア王子にとっては恐怖そのものだった。
だが、王は冷静にその姿を見つめ続ける。
「力を持つ者は時に恐ろしく見えるものだ。だが、それは王族に必要な資質でもある」
レオニードは震えながらも叫ぶ。
「そんなもの、僕はいらない!僕は……あんな女を妻にするつもりはない!」
魔導モニタに映るアメリアの姿は、国境を越えて波紋を広げ始めていた。
歓声に包まれる学園と、恐怖に震える隣国の王子。
その対比が、やがて大きな物語の火種となる――。




