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婚約破棄された令嬢、辺境でドラゴンを育てる  作者: 木挽
アメリア・エルミナール
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第1話:暁の討伐祭 ― 王女の剛力と神域



エルミナ魔法学園の闘技場。

全校生徒が集い、巨大な魔導モニタには課外討伐祭の様子が映し出されていた。


暁の討伐祭


空気は熱気に包まれ、誰もが固唾を呑んで画面を見つめている。


「それでは最終組!一年生にして学園最高レベル!アメリア王女様と、その親友クラリッサの登場だ!」


歓声が爆発する。

金髪ロングの巻き髪アメリアが可憐に笑みを浮かべ、黒髪ポニーテールのクラリッサが長身の姿で隣に立つ。


森からオーク二十体が現れ、牙を剥き咆哮を上げながら突進してくる。

観客席がざわめく。

「一年生であの数を…!」

「無理だろう、普通なら!」


しかし、アメリアは一歩前に出る。

その瞳に宿るのは恐れではなく、誇り。


「――ユニークスキル、《神域》!」


瞬間、彼女の姿が掻き消える。

次に見えた時には、オークの群れの背後に立っていた。

圧倒的な速度――まるで空間を支配するかのような移動。

オークたちは反応すらできず、混乱に陥る。


「そして――《剛力》!」


アメリアが拳を振るうと、衝撃波のような力が爆発し、オークたちは一瞬で吹き飛び地面に叩きつけられる。

「あはははは!楽勝だわ!」


観客席がどよめき、驚きと歓喜が入り混じる。

「すごい…なんだあの魔法!」

「お前知らないのか?魔法じゃないんだよ」

「え?」

「アメリア王女は魔力が無いんだ」

「え、じゃああれは…」

「ユニークスキルだよ。魔力を消費しない」

「マジか…すごいな…」

「でも本人は魔力が無いのを気にしてるらしい」


クラリッサが肩をすくめる。

「わたしの出番ないな…」


その時、地響きが鳴り響く。森の奥から、山のように巨大な影が姿を現す。

キングオーク――最高位モンスター。


現地の教師たちが青ざめる。

「な、なんでこんなところにキングオークが…!」

「我々ではどうにもならん!すぐに王兵を!」


そこへ王都兵団長アーサーが駆けつける。

「アメリア様、クラリッサ!後ろに下がれ!」

クラリッサが驚いたように声を上げる。

「兄上!」


しかしアメリアは一歩も退かない。

「クラリッサ、このまま行くよ!」

「アメリア様!いけません!最高位モンスターです!」とアーサーが叫ぶ。


クラリッサは苦笑する。

「あーなったらきかないんだよな…わかった!《エア・ステップ》!」


空中に魔法陣が展開され、透明な足場が次々と現れる。

アメリアは《神域》で加速しながらそのステップを駆け上がり、跳躍を繰り返しながらキングオークの頭上へ。

その速さは人の目では追えず、残像だけが空に刻まれる。


「これで終わりよ!」


最後のステップで大きくジャンプし、空中で回転。

ユニークスキル《剛力》を全身に込め、踵落としを放つ。


轟音と共にキングオークの巨体が真っ二つに裂け、地面に崩れ落ちた。


闘技場は一瞬静まり返り――次の瞬間、歓声が爆発する。

「すごい…一年生でキングオークを…!」

「王女様、やっぱり桁違いだ!」

「クラリッサも支援魔法で完璧に連携してた!」


教師たちは呆然とし、兵団長アーサーは剣を握りしめたまま言葉を失う。

「……これが、ユニークスキル《神域》と《剛力》の力……」


アメリアは勝ち誇ったように笑い、クラリッサはため息をつきながらも誇らしげに隣に立つ。

二人の姿は、魔導モニタ越しに全校生徒の心を焼き付けた。

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