第26話:ウィザードリーとマナブースト
クラリッサは自室の机に座り、魔導書をめくりながら首を傾げた。
「ねえ、おばあちゃん……ウィザードリーって何?」
ミーナは椅子に腰掛け、穏やかな笑みを浮かべる。
「ウィザードリーはね、全ての魔法を“見ただけで使える”スキルだよ」
クラリッサは目を丸くし、思わず声を上げた。
「全て!? すごくない!」
ミーナは頷き、少し誇らしげに微笑む。
「すごいよ。私も数年前に得たスキルなんだ。ただね……MPが足りないと、使えない魔法もある」
クラリッサは唇を尖らせる。
「……じゃあ、MPが低い私には使えないじゃん」
ミーナは指を立て、静かに言葉を重ねた。
「それを補うのが――マナブースト」
クラリッサは首を傾げる。
「……マナ、ブースト?」
ミーナは真剣な眼差しで説明を続ける。
「MPを一時的に増やすスキルだよ。短い時間だけど、訓練次第では……おばあちゃんの魔法だって使えるようになる」
クラリッサの瞳が輝き、胸の奥から熱いものが込み上げてきた。
「……私も、おばあちゃんみたいに……!」
ミーナはその姿を見て、静かに頷いた。
「そうだよ、クラリッサ。お前ならできる。千年に一人の逸材なんだから」
クラリッサは拳を握りしめ、未来への決意を胸に刻んだ。
「必ず……訓練して、使いこなしてみせる!」




