第24話:オラクルの付与
クラリッサの自室。
窓から差し込む月明かりが、静かな空間を青白く照らしていた。
その中で、ミーナ・エルダーン――エルミナ国筆頭魔導士にして領主カイルの妻が、孫娘クラリッサをじっと見つめていた。
「……まだ2年早いが、特例だ。クラリッサ、お前にオラクルを付けるよ」
「えっ……ほんとに!?」
クラリッサの瞳が輝き、喜びを隠せずに身を乗り出す。
ミーナは静かに頷き、クラリッサの手を取った。
「これは……なるほど……。MPが低くても、あんなことができるわけだ」
クラリッサは首を傾げる。
「おばあちゃん?」
ミーナは深く息を吐き、言葉を続けた。
「スキルに……ウィザードリーとマナブーストが付いている。クラリッサ、お前は百年……いや、千年に一人の逸材だよ」
クラリッサは目を丸くし、頬を赤らめる。
「わ、私が……そんな……」
ミーナは微笑みながらも真剣な眼差しを向ける。
「謙遜はいらない。お前の力は、国を変えるほどのものだ。だからこそ、今から鍛えなければならない」
クラリッサは胸に手を当て、強く頷いた。
「……はい!」
その瞬間、ミーナの掌から淡い光が溢れ、クラリッサの額に刻印が浮かび上がる。
それは「オラクル」――選ばれし者にのみ与えられる特別な加護。
部屋の空気が震え、雷と氷の気配が同時に広がった。
クラリッサの体から放たれる魔力は、これまでとは比べ物にならないほど澄み渡っていた。
「……これで、お前は真の修練を始められる」
ミーナの声は厳しくも温かい。
クラリッサは拳を握りしめ、未来への決意を胸に刻んだ。
「必ず……この力を役立てます!」




