第23話:雷氷双斬
アーサーは息を荒げながらも、雷牙流の剣技を次々と繰り出していた。
「雷牙閃! 雷牙連斬! 雷牙轟破!」
剣から迸る雷光が夜空を裂き、レオニードの触手を次々と切り裂いていく。
「グオォォォォォ!」
レオニードは絶叫しながらも、切断された触手を瞬時に再生させる。
まるで不死の怪物のように、攻撃を受けても止まらず、じりじりとアーサーへと距離を詰めてきた。
その巨体は地面を揺らし、周囲の騎馬隊を恐怖で震え上がらせる。
アーサーは歯を食いしばり、剣を構え直す。
「……くそ、切っても切っても再生する……!」
その時、頭上に暗雲が渦巻き、グレゴールの声が響いた。
「……ここはまかせたぞ。王を始末せねば……」
冷笑を残し、グレゴールの姿は闇に溶けて消えた。
「逃げたか……!」アーサーは舌打ちする。
だが今はレオニードを止めることが最優先だった。
振り返り、アーサーは声を張り上げる。
「クラリッサ! いけるか!」
クラリッサは雷牙刀を握りしめ、瞳に決意を宿す。
「……よし!」
彼女は左手の手のひらを上に向ける。
瞬間、青白い氷が発生し、冷気が周囲を包み込む。
右手の剣には雷光が走り、氷と雷が融合していく。
「――雷氷双斬!」
剣が振り下ろされると、雷鳴と氷結が同時に爆ぜた。
斬撃の軌跡に氷の刃が走り、その内部を雷が貫く。
青白い閃光が戦場を支配し、レオニードの巨体を直撃した。
「グオォォォォォォ!」
雷と氷の二重の力に貫かれたレオニードは絶叫し、巨体を大きく揺らす。
触手は凍りつき、雷撃に焼かれて砕け散った。
騎馬隊の兵士たちはその光景に息を呑む。
「……す、すげえ……」
「クラリッサ様が……雷と氷を同時に……!」
アーサーは剣を構え直し、妹の背に声を投げる。
「クラリッサ! 今だ、畳みかけるぞ!」
クラリッサは頷き、雷牙刀を再び構えた。
夜の戦場は、二人の兄妹の力によって新たな局面を迎えようとしていた。




