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第19話:雷牙流の宗家
騎馬隊の中で、戦いを目の当たりにした新人隊員が驚きの声を上げた。
「クラリッサ様も団長と同じ剣技使えるんすね!」
隣の古参隊員がニヤリと笑い、低く答える。
「そうか、お前は初めて見るか……実は団長よりも剣技は上なんだぜ」
「え、マジすか!」新人は目を丸くする。
古参は誇らしげに続けた。
「ああ、クラリッサ様のお祖父様がカイル様なのは知ってるだろ?」
「はい、あの伝説の剣士……!」
「そうだ。カイル様の流派――雷牙流。その宗家当主がクラリッサ様なんだ」
新人は息を呑む。
「アーサー様を差し置いて……そんな立場に……」
古参は頷き、真剣な眼差しで言葉を締めた。
「それだけの逸材ってこった。血筋も才能も、すべてが揃ってる。だからこそ、俺たちは命を懸けてでも守るんだ」
夜の疾走の中、クラリッサの背に雷牙刀が輝き、彼女の存在が騎馬隊に勇気を与えていた。




