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第16話:追撃の影
アメリアはクラリッサを抱え、神域の力で高速移動する。
風を切りながら、彼女は叫んだ。
「そこ吹っ飛ばして!」
クラリッサが即座に詠唱する。
〈大氷爆〉!
轟音とともに氷の爆発が広がり、バルコニーへ続く壁と手すりを粉砕した。
クラリッサが声を張り上げる。
「――エアステップ!」
透明な足場が空中に展開し、バルコニーから階段状に伸びていく。
アメリアは振り返り、仲間たちへ叫んだ。
「みんな! ここから逃げて!」
近衛騎士や王族たちは次々とエアステップを駆け下り、夜の闇へと脱出を始める。
クラリッサが伝心で告げる。
〈アーサー達は馬で逃げてる! 私達も合流するよ!〉
その時――。
崩れた壁の奥で、グレゴールがゆっくりと立ち上がった。
黒いフードの下から、冷たい瞳が光る。
「……レオニード! あいつらを追え」
モンスターと化したレオニードが咆哮を上げ、逃げる者たちへと迫ろうとする。
夜の王城は、さらなる混乱へと飲み込まれていった。




