第15話:神域の一撃
レオニードは拘束を解かれた直後、勝ち誇ったように叫んだ。
「でかしたぞグレゴール! 約束通り貴様を公爵にしてやる! さあ王を殺すのだ!」
だが、グレゴールは冷たい笑みを浮かべ、低く呟いた。
「……勘違いするな。お前はただの駒だ」
「な、何を……」
レオニードが言葉を詰まらせた瞬間、闇の魔力が迸る。
〈デモニック・リフォージ〉!
黒炎がレオニードを包み込み、その肉体は膨張し、筋肉と骨が歪み、巨大な魔獣へと変貌していく。
「グオォォォォ!」
その咆哮は大広間を震わせ、王と王妃を震え上がらせた。
クラリッサはアメリアに伝心する。
〈まずい! 今すぐ逃げるよ!〉
〈わかった!〉
だが次の瞬間――アメリアの体は勝手に動いていた。
神域、剛力発動
彼女はモンスター化したレオニードへと突進し、拳を連打する。
「おらおらおらぁ!!」
怒涛のラッシュの後、アメリアは渾身の蹴りを放ち、レオニードをグレゴールごと壁まで吹き飛ばした。
クラリッサが絶叫する。
「あんた何やってんのよ〜!」
アメリアはやってしまったという表情で。
「体が勝手に動いたの〜」
その隙に、拘束が解かれたユリウスが王と王妃を抱え、近衛騎士のもとへ走る。
「アメリア! ありがとう、早く逃げてくれ!」
アメリアは頷き、一瞬でクラリッサを抱きかかえる。
「行くよ! 絶対に生き延びて、必ず取り戻す!」
二人はバルコニーへと駆け抜け、夜の風を切って脱出を試みた。




