第13話:黒幕の影
王「……いや、元魔導団長と言うべきか……」
その言葉に応えるように、黒いフードの男――グレゴールがゆっくりと手をかざした。
次の瞬間、強烈な魔力の奔流が王を襲い、身体は宙を舞って壁に叩きつけられる。
「ぐぁぁぁ!」
王は苦悶の声を上げ、壁に貼り付けられたまま動けない。
アメリア「ノルディア王!」
アメリアが叫び、駆け寄ろうとする。
その横で、拘束されていたレオニードが狂気じみた笑みを浮かべた。
「いいぞ、グレゴール! 俺の拘束を解け!」
グレゴールが再び手をかざすと、クラリッサの魔法――エアバインドが音もなく消え去った。
レオニードは自由を取り戻し、立ち上がる。
アメリア「……クラリッサのエアバインドが、いとも簡単に……」
驚愕の声を漏らしながら、アメリアはグレゴールを睨みつける。
クラリッサも鋭い眼差しで黒いフードの男を見据えた。
その視線に、グレゴールは冷笑を浮かべる。
グレゴール「ノルディア王……私を追放したこと、必ず後悔させてやる」
王は苦しげに声を絞り出す。
「……お前が黒幕か……レオニードを……そそのかしたのか……」
グレゴールの瞳が妖しく光り、場の空気はさらに重く沈んでいった。




