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婚約破棄された令嬢、辺境でドラゴンを育てる  作者: 木挽
アメリア・エルミナール
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第11話:不穏な影



晩餐会の華やかな音楽が流れる中、レオニードがアメリアに歩み寄る。

「……アメリア、王と王妃に挨拶に行こう」

その声は柔らかくも、どこか冷たい響きを含んでいた。


クラリッサは一歩下がり、護衛として周囲を警戒する位置へ移る。

アメリアは少し戸惑いながらも、レオニードの差し出した手を取った。

長身の王子にエスコートされ、二人はゆっくりと王と王妃のもとへ歩みを進める。


その時――会場の扉からもう一人の王子が現れた。

派手な衣装を纏い、鮮やかな笑みを浮かべる長身の青年。

彼の名は ユリウス・ノルディア王子。レオニードの弟であり、社交界でも名を馳せる華やかな存在だった。


レオニードの目が鋭く細められる。

「……お前、何しに来た」


ユリウスは余裕の笑みを浮かべ、軽やかに答える。

「将来の美しい王妃にご挨拶だよ、兄上」


アメリアは少し驚き、頬を赤らめながらもそっぽを向く。

「べ、別に……そんなこと言われても嬉しくないんだから……」


ユリウスは微笑みを浮かべながら、こっそりと小さなメモをアメリアに渡した。

アメリアは目を通し、そこに記された文字を見て息を呑む。


『兄に気を付けて、最近おかしい』


アメリアはすぐにクラリッサへメモを渡す。


クラリッサは眉をひそめ、真剣な眼差しで王女を見つめ返した。


ユリウスは軽く会釈し、去り際にクラリッサへ視線を向ける。

そして――意味深にウインクを残して歩み去った。

クラリッサは思わず頬を赤らめ、視線を逸らす。

アメリアはその様子を見て、口元を少し尖らせる。

「な、何赤くなってるのよ……」


やがて、アメリアとレオニードは王と王妃のもとへ到着した。

クラリッサは後方で警戒を続ける。

「アメリア王女、よくぞ参られた」


王と王妃が微笑みを浮かべ、アメリアは深く礼をした。


――その瞬間。


パッ……!


会場の照明が突然消え、ざわめきが広がった。

闇に包まれた晩餐会。

ユリウスの警告が現実となるかのように、不穏な気配が静かに幕を開けようとしていた。


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