108/130
第10話:晩餐会の幕開け
ノルディア城の大広間。
煌めくシャンデリアが光を放ち、豪奢な晩餐会が始まろうとしていた。
扉が開かれると――
長身の青年が姿を現す。
レオニード・ノルディア王子。
端正な顔立ちに整った黒髪、まるで絵画から抜け出したような超絶イケメン。
その瞬間、会場はどよめきと歓声に包まれた。
「レオニード様……!」
「なんて麗しい……!」
会場前。
アーサーが低い声でクラリッサに告げる。
「ここからは我々は入れない。クラリッサ、頼むぞ」
クラリッサは真剣な眼差しで頷く。
「了解です、兵団長。命にかえても王女を守ります」
そして――アメリアとクラリッサが並んで会場へと足を踏み入れる。
アメリアの可愛らしさとクラリッサの凛とした雰囲気が重なり、場の空気はさらに華やぎ、歓声が再び沸き起こった。
その中心で、レオニードがゆっくりと歩み寄る。
「……アメリア。久しいな。いつ見ても美しい」
アメリアは一瞬、視線を逸らしながらも微笑みを返す。
晩餐会の幕は、華やかさと緊張を孕みながら静かに上がった。




