第7話:ノルディア城正門
ノルディア城の正門。
荘厳な城壁の前で、門番が一行を迎えた。
「ならわしにより、ステータス確認を行う。ステータ・オラクルを腕に」
一行は腕輪を掲げる。
ステータス・オラクル――今では全ての人民が持つ身分証明の腕輪。
身分証明だけでなく、ステータス確認、報酬の入出金などにも使われる、王国の基盤を支える魔導具だ。
まずアーサー様――兵団長、21歳。
腕輪が光り、数値が浮かび上がる。
(……レベル600!? うちの兵団長レベル500だぞ……それより上!? 21歳でこれは化け物か!?
HP300、MP100、AP200……若すぎるだろ!)
次にクラリッサ様――プリンセスガード、16歳。
(レベル400!? 学生だよな!? ありえねぇ……!
HP200、MP80、AP120……16歳でこの数値、プリンセスガード抜擢も当然か……!)
そして――アメリア王女様、16歳。
腕輪が眩い光を放ち、数値が現れる。
(……レベル1150!? はぁ!? なんだこの桁違い……!
HP150、MP0……え、MP無し!? そんなことあるのか!?
AP1000!? 1000なんて見たことねえ! 高位魔神クラスだぞ……!
アメリア王女、攻撃特化が過ぎるだろう……!)
場の空気が一瞬凍りつく。
アーサーが一歩前に出て、低い声で告げた。
「……王女様のステータスに関しては、他言無用の取決めになっている。理解したか?」
門番は慌てて深く頭を下げる。
「は、はい! 承知いたしました!」
緊張の中、一行は貴賓室へと通される。
アメリアは腕輪を見つめ、心の奥で小さく呟いた。
「……私のステータス、どうしてこんなに……」
クラリッサが横で肩をすくめ、茶目っ気たっぷりに笑う。
「一国の兵団長より強いプリンセスなんていないよね〜」
アメリアは顔を赤らめ、慌てて言い返した。
「笑うな!」




