第3.5話:エルミナ魔法学園の朝
王都にそびえる エルミナ魔法学園。
王国随一の魔導士養成機関であり、暁の討伐祭や王国選抜試験など、未来の英雄を育てる場として知られている。
朝の校門前。
「アメリア様、おはようございます!」
「クラリッサ様、おはようございます!」
「暁の討伐祭優勝、おめでとうございます!」
生徒たちの声が次々と響き渡り、尊敬と憧れの眼差しが二人に注がれる。
学園の制服は白を基調とした可愛らしいデザイン。
胸元には紺のリボン、裾には金糸の刺繍が施され、清楚さと華やかさを兼ね備えている。
アメリアはその制服を身にまとい、長い金髪を揺らしながら微笑みを返す。
クラリッサは同じ制服を着こなしつつ、腰まで届く黒髪を軽く結び、凛とした雰囲気を漂わせていた。
アメリアは少し俯き、ため息をつく。
「……気が進まないな。晩餐会なんて、私には向いてない」
クラリッサは周囲を見回し、優しく声をかける。
「大丈夫。私がそばにいるから頑張れ」
アメリアは思わずクラリッサの袖を掴み、甘えるように寄りかかる。
「クラリッサ〜……」
クラリッサは苦笑しながら、妹のように頭を撫でる。
「よしよし」
アメリアは少し照れながらも、その温もりに安心したように微笑んだ。
「昨日はごめんね……私のせいで怒られて」
クラリッサは真剣な眼差しで答える。
「……あんたは悪くないよ、アメリア。キングオークなんて、私と兄でも難しいんだから」
そして、軽く肩を叩いて続ける。
「それより――明日ノルディアの晩餐会に行くんだから、準備してね」
制服のリボンが風に揺れ、二人の姿は学園の朝を彩る花のように輝いていた。




