表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひよっこ錬金術師はくじけないっ! ~ニーナのドタバタ奮闘記~  作者: ニシノヤショーゴ
13章 マボロシキノコ争奪戦
208/262

ニーナに秘策あり?

 狙うべき食材を決めたニーナたちはさっそく行動を開始する。まずはテーブルに並べられた食材のチェックから。島から採ってこなくてはいけない食材はなにか、もう既に用意されている食材はどんなものがあるのか、それらを一つ一つ確認しながら、シャンテが頭の中でメニューを組み立てる。オーブンを使うかもしれないとのことで、早めに申請もしておく。


 次に食堂を出て、自室に置いてきた魔法の品物を取りに戻る。ニーナたちが望むメイン食材は歩いて採りに行ける場所にはないから、どうしてもそれが必要なのだ。


「あ、レオナルドさんたちだ」


 食堂から通路に出てすぐのところでレオナルドが三人の女性に囲まれている。

 その三人とは、ロブがプールでナンパしようとしていた美しき女性たちだ。早くも共同戦線を組もうとしているのだろうか。島に点在する食材を集めるのなら、二手に別れた方が効率がいいのは間違いない。


 ニーナはすれ違いざまにそれとなく聞き耳を立ててみる。


「──ふんっ、そんなもの君たちに教えられるわけがないだろう!」


「そこをなんとか教えてよ。ね、良いこと、してあげるからさ」


 甘い囁きにロブが耳ざとく反応する。

 良いことってなんだ、俺もその会話に混ぜてくれよ、とでも言いたげに期待の目を向けているが、残念ながら三人の美女はこちらにお尻を向けているので気が付かない。


 さらにそこへシャンテが兄の尻を蹴り上げるものだから、泣く泣く素通りするしかなかった。


「ねえ、いまの話なんだったのかな? あまり良い関係には見えなかったけど」


「さあ、興味無いからわかんないけど、どうせウサギ狩りゲームのときみたいに男をたぶらかして有利に事を進めようとしたんでしょ」


 フラウから訊いた話によれば、あの女性たちはウサギ狩りゲームのときに、自分たちの力で首輪を集めることは一切せずに、代わりに集め終わった男性たちを誘惑することで首輪を手に入れたらしい。


 今回のゲームではレオナルドが早くも勝利宣言をしていた。ルチルの好みを把握している僕が絶対に有利だと、負けるはずがないと、自信満々のご様子だった。つまり先ほどのあれは、女性たちがレオナルドを誘惑してルチルの好みを訊きだそうとしていたのだろう。当のレオナルドは女性たちに一切興味が無いようだったが。


 自室に戻って魔法の品物をリュックに詰めて、準備ができたニーナたちはホテルの外へと出る。まだ日は高く、暑いぐらいの陽光が三人を照らし出す。吹き抜ける潮風すらも生暖かい。こういうときはのんびりと冷たい海の中を泳ぎたい。


 島の南部に向かって歩くと、初日に船で上陸した地点に戻ってきた。そこからさらに少しだけ移動して、切り立った岩場まで。そこでニーナたちはリュックを置いて、そして上着を脱ぎ始める。


「下に水着を着てるとはいえ、ここで着替えるのはちょっと恥ずかしいね」


「同感よ。どこで誰が見てるかわかんないものねぇ」


 切れ長の瞳がロブへと向けられる。ロブは妹の言いつけを守ってこちらを見ないように後ろを向いているが、その後姿はしょげているようにも見える。ごめんね、ロブさん。やっぱり着替えを見られるのは恥ずかしくって。ニーナとシャンテはそそくさと着替えを済ませる。二人ともセオドア島へ旅行の際に購入した水着で、ニーナは水玉模様のフリルが付いた水着を、シャンテは黒い三角ビキニだ。


「やっぱりこれ、ちょっと攻めすぎたわよね」


「ううん、とっても似合ってるよ」


 すらりと長い手足が太陽の下に惜しみなくさらされる。小柄とはいえニーナよりは背が高く、それでいて引き締まった体つきのシャンテはビキニを着たって様になる。胸もやっぱり自分より大きい。こうして隣に並ぶといかに自分が幼く見えるか思い知らされるようで、ちょっぴり悩ましかったりする。


「ふふ、ありがと。ニーナも可愛いわよ」


「可愛いかぁ。そろそろ私もシャンテちゃんみたいに綺麗って言われたいお年頃なんだけどなぁ」


 なあなあ、もう振り向いてもいいよな、と鼻息荒くするロブに、仕方ないわね、とシャンテが許可を出す。


「うっひょー! やっぱ夏といえば水着だよな! ニーナもめちゃくちゃ綺麗だぜ!」


「……褒められたのになんかムカつく。一発<どごぉ>してもいいかな?」


「ええー、そりゃないぜぇ」


 冗談はさておき。

 これより狙う食材は海底に潜む極上素材のアワビだ。セオドア島で虜となって以来もう一度食べたいと思い続けていたアワビを、今回はルチルに食べてもらおうと思う。


 ニーナは水着の上から<人魚姫のパレオ>を腰に巻き付け、目に<おめめぱっちり潜水目薬>を、そして口に<しゅわしゅわエアドロップ>を含んだ。<暗視のポーション>はホテルの自室にて服用済みだ。


 天気は良好。波はほどほど。海は太陽の光を反射してキラキラと輝いて見える。


 それほど深く潜るつもりはないため<暗視のポーション>は必要なかったかもしれないが、備えあれば憂いなし。荷物を運んでくれたフラウにも感謝しなくては。いくらリュックが<拡縮自在>の特性を備えた特別製であっても、その容量には限りがある。何でもかんでも持ち運ぶわけにはいかないので、本来であれば<人魚姫のパレオ>のような使いどころが限られる道具は島に持ってくるか迷うところ。フラウがいてくれたからこそ、あれこれ考えずに持ってくることができたのである。


 さて、準備も一通り終わった。ニーナとシャンテは<アワビ起こし>と呼ばれる細長い鉄の棒を手にする。アワビは海底の岩と岩の隙間にへばりついており、素手では絶対に採れないため、こういった道具で掻き出してやる必要がある。<人魚姫のパレオ>を持っていくならこの道具も、と念のために用意していたものがまさか役に立つなんて。


 それじゃあ行ってくるよ、とニーナとシャンテは腕時計をロブに預ける。海に潜るときに身につけたままのほうがいいのか、ルチルには事前に質問してあった。


「おー、気を付けてな」


「ええ。兄さんも一応周りを警戒しておいて。またアイツらに襲われないとも限らないから」


「だな。油断せずに行くぜ」


「あと、アタシが見てないところでナンパしないように」


「き、気を付けまーす」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ