第342話 解き放たれた真実
作者\( 'ω')/「いよいよ明日から4月! いやまて4月?」
ヘルニー Σ(๑ °꒳° ๑)「1年の1/3が終わった!?」
ヘイフィー ╮(´-ω-`)╭「はははっ、ご冗談を。まだ冬の気温ですよ?……マ?」
令和(*´ー`*)ノ 「マ」
いつも応援、誤字脱字のご指摘を頂きありがとうございます!
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「あの巨大要塞、ヴァーミリオングレイルは破壊できない」
「「「「「ええっっっ!?」」」」」
魔人が古神要塞と呼んだ巨大な飛行要塞ヴァーミリオングレイルは、かつての僕が作った最強兵器だった。
「ま、待ってくれよ兄貴。確かにかなりのデカブツだったけどよ、兄貴なら他の飛んでた奴をぶった切ったみたいにぶっ壊せるんじゃねーの?」
ジャイロ君の言葉に僕は無言で首を横に振る。
「いや、無理なんだ。ヴァーミリオングレイルは最高の素材と最高の技術と最高の設備で作られた文字通り最強の兵器なんだよ。僕が有している全ての武具と魔法を使ったとしても、単純に性能の面で勝てないんだ」
そこらへんで拾った石をその場で叩いて割って作った剣と、設備の整った鍛冶場で鍛えたミスリルの剣を比べてどちらが優れているかと言う問題だ。
「何よりヴァーミリオングレイルには転移妨害があるから内部に入り込んでの破壊工作も難しい。だから、アレを破壊するには同じだけの技術力と素材で作られた装備が必要なんだ」
「そんな、レクスですら勝てないなんて……」
「嘘でしょう……」
買いかぶりだよ皆。僕はどこにでもいる普通の冒険者なんだ。
ちょっと前世の記憶があったり、たまたま魔法設備が整っていない国に転生したから凄そうに見えているだけなんだ。
それに今の僕は国とは何のかかわりもないから、前世のように戦う義務もないんだ。
だから……
「だから装備を整えに行こうと思う」
「「「「「……え?」」」」」
「ヴァーミリオングレイルを破壊する為には素材の質が足りないんだ。だからアレに対抗できるだけの素材を採取しに行く」
うん、確かに今世の僕は前世と違って国との関りを可能な限り断った事で前世や前々世のように国や貴族に目を付けられずに済んでいる。
でもそれは平穏な生活を送る為にしていた事だ。
前世と前々世でも因縁のあった魔人の再侵攻なんて、僕が平和に生きる上で迷惑以外のなにものでもない。
なら僕がやるべき事は、世の中の平和を乱す魔人達を正体がバレないようにこっそりぶっ飛ばす事。
そして数百年はこっちの世界にちょっかいかけられないように痛い目を見せないとね。
幸い、これまで謎とされてきた敵の首魁が姿を見せたんだ。このチャンスを活かさない手はない!
「……ねぇ」
と、ちょっとだけやる気になっていた僕に、リリエラさんが不安そうな様子で僕に話しかけてくる。
「何ですかリリエラさん?」
「何でそんなに詳しいの?」
「え?」
「確かにレクスさんは前々から色んな不思議な事を知っていたし、不思議だけどまぁレクスさんだからって無理やり納得してきたけど流石に今回はおかしいわ。何でアレが破壊出来ないような素材で作られている事が分かったの? 何でそんな異常なモノを破壊出来る武具の作り方を知っているの?」
「それは……」
困ったな、前世の事なんてどう答えたもんか。
「いやそりゃ兄貴の師匠が凄かったからじゃねぇの?」
「ううん、レクスさんのご両親は言っていたわ。レクスさんは小さな頃から色々な凄い事を出来たって。師匠が居るって話だけど村の誰も見たことがないって言うじゃない。そもそもレクスさん自身が幼い頃から村の皆に色んな技術を教えていたとも聞いたわ。そんな事が教わったばかりの子供に出来る?」
「あ、それ私達も聞いた。あっという間に村の子供達に凄い魔法を教えて回ったもんだから驚いたって村のお爺ちゃん達が言ってた」
「あとどこからか物凄い魔物を狩ってきたり、貴重な素材を採取してきてあっさり村の畑で育てられるように栽培ノウハウを確立したとも言ってましたね」
「そんなにいろんな分野で専門家以上の知識と技術を学ぶだけでなく実践と村での先生役まで出来るかしら? 幾らレクスさんでも一人じゃ無理だと思うのよ」
「いやぁ、僕の師匠達ならそれくらいできると思いますよ」
「だとしてもどこでそんな人達と出会って、何故そんな凄い技術を学ぶことが出来たの? それだけの力を持つ人達なら絶対世界中で有名になっている筈だわ。しかも師匠達ってことは、一人や二人じゃないんでしょ? そんな集団が誰にも知られず目立たずレクスさんを育てられる? 弟子がレクスさんなのよ!」
「「「「それは確かに」」」」
「キュウ」
「何でそこで皆して同意するの!?」
しかもモフモフまで!?
「別にレクスさんが実は魔人と何か関わりがあるんじゃないかって疑っている訳じゃないの。でもあんな恐ろしい兵器の事まで詳しすぎるのは流石に気になるのよ」
「うーん、言われてみれば確かにねぇ」
「寧ろ今まで誰も詳細を聞こうとしなかった事が不思議ですよねぇ」
「だいたいジャイロの能天気な勢いでなぁなぁになってた」
「俺の所為かよ!?」
そう考えるとジャイロ君には色々と世話になってたんだなぁ。ありがとねジャイロ君。
「レクスから受ける恩恵が大きすぎたから、皆聞くのも野暮って空気になってたのよね」
「ねぇレクスさん、今更だけど私達はレクスさんの事を何も知らないわ。貴方の故郷に行っても寧ろ知らない事が増えたくらい」
そ、そうかな? 結構色々教えたと思うんだけど。
「私達はそんなに信用できない? レクスさんにとって、私達はどこまでいっても足手まといの弟子でしかないの?」
うっ、そう言われると心が痛い。
別に皆の事を疑っている訳じゃないんだけどね。
ただ、前世の事を言って皆に信じて貰えるかどうか、そしてその事が何かのはずみで外に漏れて騒ぎにならないかが心配だったんだけど……
「……でも、うん」
そうだね、そろそろ覚悟を決めよう。
皆と出会ってそれなりの月日が経った。確かに初めて会った頃はまだ皆がどういう人間か分からなかったし、ここまで長く行動を共にすることになるとは思っていなかった。
けどもう随分一緒に行動してきた。
これまでの時間は皆が信用に値する人間であると分かるには十分な時間だ。
「キュイ!」
まぁモフモフはちょっと信用できないかな。事あるごとにつまみ食いしてダイエットさせる羽目になるし。
「キュ!?」
皆は人の秘密を言いふらすような人じゃないし、もしそんな事になったのだとしたら、それは僕の人を見る目がなかったってだけの話だ。
大剣士ライガードも言っていた。「いざと言う時に仲間を信用できなきゃピンチは越えられねぇ! それで裏切られたら笑ってぶん殴ればいい!」って。
いや、流石にぶん殴るのはアレだけど。
「分かった。皆には教えるよ。僕の秘密を」
「「「「「……ごくり」」」」」
そして僕は語った。自分に前世、そして前々世の記憶がある事を。
それがあるから今までいろんな事が出来たのだと。
「レクスさんに前世の記憶が……!?」
「マジかよ」
皆が信じられないようなものを見る目で僕を見つめてくる。
一つ一つの眼差しが僕を突き刺そうとしているかのような気持ちになる。
でもこれは僕が今まで皆に隠し事をしていた事への後ろめたさがからくる錯覚だ。
ただ、この事実を聞いて皆が今後僕にどう接する様になるのかが、少しだけ不安になる。
「「「「……なーんだぁ、そういう事かぁ」」」」
「へ?」
けれど、意外にも皆は揃って安堵の溜息を吐いていた。
「成る程ねぇ、前世の記憶かぁ。そりゃあ色々知ってるし出来る訳よねぇ」
「すっげぇなぁ兄貴は! まさか生まれる前の記憶があるなんてよ!」
「前世ねぇ、どんな理由でそんなものを覚えたまま生まれ変わる事が出来たのかしら?」
「うーん、普通ならありえないけどレクスなら納得」
「神の教え的にレクスさんの体験は、宗教家として、こう……でもレクスさんだし……」
皆は成る程と納得の声をあげるばかりで、僕に対して特別壁が出来た様子は見えない。
唯一ノルブさんだけは何やら神官としての常識と葛藤しているみたいだけど。
「皆思ったより驚かないね」
「いや驚いてるわよ物凄く?」
とてもそんな風には見えないんだけど?
「だって前世で英雄で更にその前は賢者なんでしょ!? どの人生でもとんでもない人物だったことの方がおかしいでしょ!」
「そっち!?」
「2回もそうならそりゃあ今回の人生でもとんでもない人間なのは納得だわ。寧ろ今回だけ普通の人間だったらそっちの方がおかしいわよ」
「いや、今回の人生は面倒事に巻き込まれないように地味で普通に生きて来たんだけど?」
「「「「「どこが!?」」」」」
あれぇー、おかしいな。なんか皆の反応する所がおかしい気がするんだけど。
「でもまぁそれなら色々納得できるわよね」
「「「「「一番おかしいのは性格だったって」」」」」
「キュウ!」
皆酷くない!?
「はー、やっとすっきりした! ということで皆、この事は絶対内緒よ! と言っても人に言ったところで誰にも信じて貰えないだろうし、逆におかしな人扱いされるだけだろうけどね」
「ですね。教会関係者としてもまともに信じて貰えないでしょうから」
と、皆は和気あいあいとした様子でこの話は僕達だけの秘密にしようと約束してくれた。
なんだかちょっとだけ釈然としないけど……でも良かった。やっぱり皆には明かして良かったよ。
誰にでも教えるつもりはないけど、それでも信頼できる仲間にだけは隠し事をしたくなかったからね。
大剣士ライガードの冒険でも言っていたからね。
「秘密を分かち合った仲間の絆は何よりも硬くて強い武器になる」ってさ。
「それじゃ話を戻すけど、本当にあの空飛ぶ城を破壊出来る武器を作れるのね?」
「うん、素材さえあればね」
幸い設備に関してはガンエイさんの設備を借りれば何とかなるだろう。
だから重要なのは純粋に高品質な素材だ。
「ヴァーミリオングレイルを破壊するのに最低限必須なのは4大魔獣ボルカニックタイガー、タイダルフィシュー、バングウイング、ヴェノムビートの素材、それにオリハルコン、ヒヒイロカネ、天空樹の樹皮……」
「なんか伝説でしか聞いたことのない名前やそもそも聞いたことのない名前がポンポン出てくる」
「でも前世の記憶があるレクスさんが言うって事は、これ全部実在するって事なのよね」
魔人皇帝の侵攻を考えると、ヴァーミリオングレイルを一撃で破壊出来る性能の武具を作る時間的余裕はない。
だから最低限外壁を破壊して内部に入るだけのダメージを与える事の出来る装備を作る。
それでも絶対必要なのが4大魔獣の素材だ。
「僕は4大魔獣の素材を採取しに世界中を巡る必要がある。でもその間も魔人達は僕らを滅ぼそうと襲ってくるだろう。だから皆には……」
「皆まで言うな兄貴」
と、ジャイロ君が僕の言葉を遮る。
「アニキが敵をぶっ飛ばす武器を作るまで、俺達がこの世界を守ればいいんだろ!」
「うん、頼めるかい?」
「任せてくれ! 今こそ兄貴に鍛えられた力を発揮する時だぜ!」
ドンと自分の胸を叩いて任せろと言うジャイロ君。
皆も力強い眼差しで頷く。
皆、本当に頼もしくなったよね。
「でもそうなると流石に手が足りないわね。相手が魔人の軍勢だと、Sランク冒険者でも手が足りないだろうし……」
「それなんだけど、皆に渡したい物があるんだ」
僕はリビングの壁に隠されたスイッチを押すと、壁が開いて地下への階段が姿を見せる。
「何これ!? こんなものがあったの!?」
「いざと言う時の為にね」
そして皆を地下に連れて行くと、皆が息を飲む声が聞こえる。
「有事の際の為に用意していたマジックアイテムの武具と飛行アイテム、そして各種ポーション類だよ。これを冒険者ギルドに頼んで冒険者達に配ってほしいんだ」
「これ全部マジックアイテム!?」
「大したものじゃないけどね」
地下倉庫には、これまでの冒険で練習を兼ねて作った幾つもの装備が貯蔵されている。
正直新しい装備をどんどん作っていたから型遅れになって使う機会が無かったんだけどね。
「いやいやいや十分大したものだから絶対」
「それと上級エリクサーも数は少ないけどあるから、これなら死んだ直後までならギリギリ復活できるよ」
「エリクサーに上級とかあるの!? っていうか死んだ直後!? 死んだのに復活できるの!?」
「それと皆これを装備して」
僕は皆にリングを手渡す。
「今度は何?」
「転移補助装置だよ。以前攻略したグランドゲートの施設を解析して、今まで行き来した事のある場所なら自由に転移できる簡易ゲートを開発したんだ」
「「「「「何それ!?」」」」」
「えええ、これがあれば俺にも転移魔法が使えるって事かよ!?」
「ど、どこに驚けばいいの? 普段暮らしていた屋敷の地下にこんな大量のマジックアイテム倉庫があって、死んでも復活できるエリクサーにどこにでも行ける転移アイテム!? いや、レクスさんが凄い理由は分かったけどだからって驚きを立て続けに増やしていい訳じゃないのよ!?」
うん、まだちょっと心配だけど、これらの装備があれば駆け出しの冒険者達でも熟練の冒険者とまではいかないまでも十分な戦力になれるだろうしね。
あとはSランク冒険者のロディさん達に指揮を執ってもらえば、普通の飛行要塞程度なら互角以上に渡り合える筈!
「でもそうね、これなら遠くの町へも救援にも行けるわ!」
「なら全員別れて行動した方が良いな! このマジックアイテムがあれば他の連中も戦力になるだろうしよ。俺はトーガイの町に行くぜ!」
「そうね。じゃあ私は……」
「なら僕は……」
皆は自分達が何処の町の援護に行くかを話し合う。
「それじゃあ皆、魔人から世界を守る為にがんばろう!」
「「「「「おおーっ!!」」」」」
「キュウ!」
こうして、絆の深まった僕達は魔人軍討伐の為の戦いに向かうのだった。
モフモフ_Σ(:3」∠)_「遂に明かされたご主人の真実! それはそれとしてこの屋敷の地下を役人に見られたら国家転覆を目論んでいると勘違いされない?」
リリ/ドラ ʅ(๑ ᷄ω ᷅ )ʃ「それ本当にそう。あと真実を知って納得しかない。むしろ他の理由だったら納得できたか疑わしい」
レクス⊂( ⊂ _ω_)⊃.「でも前世と前々世の師匠達の事は本当だよ」
リリ/ドラ/モフ((((;゜Д゜))))「それ本当に人間!?」
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