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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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西部戦線前進

 1939年10月、西部戦線はドイツの首都に向けて前進を続けていた。

 ポーランド進行に失敗したドイツは、体制を立て直し低地諸国に喧嘩を売ったのだ。

 だが、それは逆進攻の開始となった。

 オランダ国境には30師団が配置され、ドイツ側の師団数を上回った。

 イギリスも体制が整い、この低地諸国に上陸、師団数は一気に膨れ上がった。

 それは雪崩のようにドイツ国内に侵入した。

 イギリスの誇るチャーチル戦車に、低地諸国で標準装備されているユーディー戦車は破竹の勢いでドイツ戦車を撃破。

 さらにはダンマークより近接航空支援と制空権の確保を手伝っており、イギリス陸軍航空隊と共同で戦線を支えている。


 さらには、ダンマークが持つ旧式のレシプロ護衛戦闘機や商船護衛についていた護衛空母の艦載機による航空偵察によってドイツ海軍を発見したことで北海海戦が勃発。

 イギリス側の戦艦5隻が就役したばかりのビスマルクに殺到。

 我が軍の航空支援爆撃によりビスマルクの上部構造物は早々に役目を果たさなくなり、イギリス海軍によって海の藻屑となった。

 前世と違い、ドイツは早々に敗戦間近のような状態になったのだ。

 おかげで、イギリスやダンマークに避難していたポーランド人たちが帰国を決めたほどである。

 さらに、ソ連がどうにも動けなくなってしまっていた。

 もし仮に例の密約によってポーランドは国としての体を成していないなどと言って侵攻すれば、それは連合国側に喧嘩を売ることになる。

 奴らにそれをする利点はない。

 相反する思想であるはずのドイツとソ連が手をとって仲良くなどできないと言うやつだ。


「連合側が順調に進軍しているけれど、その分死傷者も多いようだよ」

「ニールス、マリーは大変なようよ。前線にはいないそうだけれど、戦場から運ばれてくる兵士の施術がいつまでも終わらないと」

「私もようやく帰ってこられたぐらいだからね。連日の空襲警報も堪える」

 近隣のドイツ飛行場に打撃を与えたものの、流石はドイツというところか…復旧した空軍基地から仕返しとばかりに空爆が相次いでいる。

 コペンハーゲンの街も一部被害が出始め、ニールスも手術の手伝いに駆り出されるようになっていた。

「こんな戦争はやくおわってほしいものだわ…」

 何せTF−6の稼働率も徐々に落ちてきているのだ。

 やはりエンジンに問題があり安定した性能を出すための数が足らなくなっているらしい。

 飛行時間毎のメンテナンス中はメンテが終わったエンジンをつける予定であったが、予想よりも飛行時間が来るのが早いそうだ。

 何せスクランブルがかかればその都度迎撃に向かっている。

 瞬く間に規定時間になってしまうそうだ。

 パイロットたちの疲労も馬鹿にならない。

「国民の生活は制限されるも、我が国は独立を保っている。それだけが救いかしら…?」


 *****

 1939年12月、いよいよダンマーク側からもドイツ本国への押し込みが始まった。

 防衛隊と睨み合っていたドイツ側がこちらに発砲したのもあるが、低地諸国とイギリス合同軍が、ついにルール工業地帯を制圧したのだ。

 我が国陸軍とは目と鼻の先、こちらも動くよう要請があったこともあり、ついにドイツ国内に逆侵攻した。

 ここにきて、ついに旧領土回復の機運が高まったのである。

 兄の「ダンマーク国籍の人々をナチから護る!」

 という演説によって士気が上がっていたダンマーク軍は、わずか10日でユラン半島を掌握。

 最も激戦となったのはキール軍港、その後ハンブルグにて連合軍と握手をすることになったのだった。


「目に見えて空爆が減ったねテューラ」

「まったくね。ニールスもようやく一息つけるわね」

「あぁ、急に呼び出されることもしばらくないだろう」

「連合軍はドイツの工業地帯を完全に抑えたもの、こちらに目を向けている場合ではないのでしょう」

 この作戦の成功によって、いよいよフランスも本腰をいれて進軍を開始した。

 マジノ線を超えてドイツ側に雪崩れ込んだ。

 もしかすると、この度の戦争は第二次世界大戦と呼ばれることは無くなるかもしれない。

 早く平和が訪れれば良いのだが…ソ連は黙って見ていてくれるだろうか?

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