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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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世界初の女性首相誕生

 ダンマーク製品の輸出量が全盛期の6割まで落ち込んでいます。

 国内における減税対策や公共事業によって失業率は一桁台で推移しており、お隣のドイツよりよっぽどましな感じなのですが、それでも不景気といって問題ない状態です。

 そんな中、安い移動手段としてバイクが見直されていたりします。

 THIモーターズにおいては、低燃費を意識したバイクの開発がここにきてハマった感じでして、計測値で1L当たり100kmほど走れるバイクの売上は堅調です。

 しかし、酪農製品や航空機の輸出については明らかに減ってしまっておりまして、苦戦を強いられています。


『農業補助金制度の実施と、国内インフラ再整備による内需の拡大に力を入れ…』

 ラジオからマリーナの演説が流れてきます。

 1930年9月、総選挙中の現在、51歳という若さで、ダンマーク社会民主党の党首となったマリーナは首相となるべく選挙活動に力を入れています。

 他にも、ダンマーク共産党やダンマーク社会労働党など後々やらかす主義の政党もありますが、それらを国として弾圧したり取り締まったりといったことを今はしていません。

 言論・思想の自由といえば聞こえがいいですが、下手に弾圧すると地下に潜って何するかわからないのでまだ表に出ているうちに監視しておこうという考えです。

 それと、国民がみな将来を考えどこへ向かおうかという議論が活発であるダンマークにおいて、過激思想というのは生まれにくいという土壌もあると思います。

 当然議論が白熱することはありますが、もともと大国に囲まれる我が国において、いずれかの国の思想に染まるというのは起こりえますが、逆に日ごろから様々な情報に触れていることで考えが凝り固まっていないともいえるでしょう。


 翌10月、総選挙の結果、ダンマーク社会民主党が過半数を獲得、マリーナはクリスお兄様から首相に任命されます。

 世界初の女性首相ですわね…このニュースには各国度肝を抜かれたようです。

 さっそく公約としていた農業補助の拡大と、輸出促進のため政策金利の更なる引き下げを行います。

 さらに内需拡大の一つとして防衛費の増加が可決され、護衛戦闘機と近接迎撃機の追加生産が決まりました。

 当然それによるパイロット需要も増加、失業者対策に一役買い始めました。

 その影響もあり、特にドイツからダンマークに労働者として入ってこようとする人間もいますが、現状移民は断っている状態です。

 特にドイツからというのは危なく感じます。

 すでにナチ党はドイツ国内で人気を博している状態。

 三男で兄のハーラルの妻であるヘレーネは過去にナチ党員になってしまった影響で家庭が崩壊した悲しい過去があるので、国内では注意を払っている状態です。

 現時点で、ヘレーネ様がナチ党にはまるような気配はなく、マリーナを支持してくれています。


 *****

「最近、マリーナと会えないのです」

「さすがに無理ではないかしら?一企業の代表取締役が会いに行くとなると、問題になると思うわよ」

 久しぶりに我が家に来たレーナですが、開口一番の愚痴がこれでした。

 彼女は今や首相ですからね。

 そう簡単に会いに行ける相手ではないでしょう。

 何より私も会えていませんし。

「でも、マリーナのおかげで、THIは人員をカットせずに済んでいるからこれ以上何かを望むわけにはいかないわよね」

「求人もかけているのでしょう?」

「新型エンジン側も人を増やしたいんですけど、機密の関係がありますからね…製造が始めれば、雇い入れるのは可能なんですけれど」

 ジェットエンジンの開発はまだ道半ばという感じのようです。

 話によれば、エンジンの高温を制御しきれず、数分で焼き付いてしまうという事だそうで、苦戦しているとのこと。

 私もこのあたりの知識があれば手伝えるのでしょうけれど、さすがにもう専門的過ぎて何もわかりません。

「耐熱合金だけではだめなのはわかっているんですけどね…ファンブレードの冷却方法については何となくは頭にあるんですけれど、細かく覚えてないんですよ。なので実験の積み重ね中です」

「あと8年、なんとかなるの?」

「して見せます。そもそも飛行機の歴史を30年前倒しているんですよ?世の戦闘機はすでに600km/h台で飛び始めています。次の壁は900km/h、何としても突破して見せますよ」

「機体開発も進んでいると聞くけれど?」

「模型ですがね。排熱温度を下げれば稼働は可能ですから、推力が弱くても飛ぶ模型飛行機で実験を重ねてます。エンジンさえ何とかなれば初飛行から十分な機体になりますよ」

「そう願っているわ」

「頑張ります」

 本当にこればっかりは頑張ってもらいたいのよ。

 ダンマークを防衛する上で飛行距離が短くてもいいから上昇能力と打撃力を兼ね備えた本土を守るためだけの戦闘機の開発。

 それが我が国の命運を分けると言ってもいいと考えているもの。

 どんなに地上戦で持ちこたえようとしても、空を取られたらおしまいなのが次の戦争よ。

 前大戦でも、それは各国理解していると思うわ。

 だからこそ、1939年8月までにはある程度のジェットエンジン搭載迎撃機がそろっている必要がある。

 私はレーナに「がんばって」としか言えないけれど…あとお金も少しは出しているわね。


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