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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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講和条約後の世界と新型旅客機

 世界大戦と呼ばれることになったオーストリア=ハンガリー帝国の宣戦布告に端を発した戦争は、連合軍と呼ばれるイギリス・フランス側の勢力が勝利した…という事になった。

 その被害はすさまじく、双方合計で1000万人近い戦死者数をだし成人男性の人口がいびつな形となる結果になりました。

 さらには、流感がおきており、ダンマーク衛生当局が感染症対策に躍起になっています。

 これを指揮するのは我らがマリーナ。

 彼女曰く、後の時代においても同じようなことが起こったとのこと。

 その際の対策は、この風邪にも有効であり、せっけんを使った手洗い、うがいの徹底、マスクの着用だそうです。

 が、マスクに関しては非常に抵抗があります。

 顔が隠れては会話ができないではないですか…

 そういった私の考えに対して人ごみに行くとき着けずに感染してもしりませんよ?と脅されやむなく外出時は着用することにしました。

 王族が率先しなくてどうするんですかとマリーナに諭され、私もお兄様を一緒に説得することになったりなど…別の大変さがありました。


 ですが、おかげでダンマークにおける流感の死亡率は他国を下回り、なにより栄養状況の維持により体力を低下させないよう、貧困層への支援も行ったことが功を奏したと思われます。


 そして、来る1920年4月、領土回復のためのシュレースヴィヒ地域における国民投票の結果は、前世とさほど変わらない結果となりました。

 やはりドイツ系住民の多くはドイツ国民であるという誇りをもってドイツを選択、ダンマーク人であると思っていたのは国境周辺の地域だけとなりました。

 結果、北シュレースヴィヒ地域のみがダンマークに帰属することとなります。

 が、その地区の経済的支援は限定的になる予定です。

 というのも、大戦中に作った塹壕はそのまま要塞線となっており、いざというときダンマーク国内を守ることになった為、帰属した地域の住民は有事の際避難することとなります。

 更なる戦線の南下は今の時点ではムダ金となるからという判断でした。



 *****

 さて、戦後連合国は、ドイツの技術を得ようといろいろな兵器を買いたたきます。

 そこに私たちTHIもこっそり参加し、兵器そのものではなく、基礎技術の特許などを買いあさりました。

 特に必要としたのはタービン系の技術。

 何せ今作っているエンジンには絶対に必要ですし、ドイツは戦後賠償の関係で外貨が欲しい状態ですからいい買い物をさせてもらいました。

 ただ、他国は兵器そのものに興味があったようです。

 戦争末期に登場したドイツの全金属戦闘機などはアメリカとイギリスが我先にと購入していましたので。

 そんなさなか、ようやくダンマークで決定打となる旅客・輸送機の開発が完了します。


「これが、TC-5ですか」

「大きく分けて2つの種類があります。双発機版と4発機版です。

 ともに、最高高度は8000m、最高速度は時速400㎞、双発機の乗員は最大40名、4発機は最大90名となります。最大積載重量は5tと11t、双発機で飛行距離は3000㎞、4発機で6800㎞です。最大飛距離の為には最大積載量が犠牲になりますけどね」

「つまり、4発機ならば、大西洋を横断できるという事よね?」

「そうなります。今までは無着陸でグリーンランドまでいけませんでしたが、これからは直行することができますよ」

 レーナに質問すれば明確に答えが返ってくる。

「より身近になるわね」

「可能な限り密閉性も上げました。残念ながらどうしても与圧室が実現できなかったので…ただ、4発機は座席数に余裕がありますから、いよいよファーストクラスを作れます」

「乗客を減らす代わりに座席幅を大きくとって座席もいいものにするというやつね?」

「そうです、長時間乗ることになりますから、お金持ってる人はこっちに乗ってねというやつです。これで航空会社の採算はより安定しますよ」

「このローンチはダンマーク航空に納品なのよね?」

「すでにそれぞれ20機を初期ロットとして納品予定です。これからはダンマーク航空がヨーロッパ各国への直行便だけでなく、コペンハーゲン-ニューヨーク直行便だとかを運航できますよ!」

 そうなってくるといろいろ世界が変わるわね。

 外務大臣を狙っているマリーナはしょっちゅう乗ることになるでしょう。

「国からも政府専用機と王族専用機がそれぞれ2機ずつ発注がありました」

「外国からの発注は?」

「まだこれからでしょう。月産100機は持っていって見せますよ」

「…そんなに売れるかしら?」

「世界の旅客/輸送機の9割取ってやれる性能だと思ってます。数がそろえば割引もできますからね」

 レーナの話によると、同じころに出てきたDC-3よりよほどハイスペックながら、コストは同等以下に抑えられているとのこと。

 他国の一人乗り軍用機並みのコストで旅客機が買えるという状態だそうです。

「よくそこまでコストを抑えましたね」

「部品の共通化、規格統一、パーツ数の削減、工数低減のための適切な治工具の配置、リベット数の低減、etc、コスト削減を徹底しましたからね。当然ファーストクラスの座席だとかのオプションをつければその分割高になりますが、もともとが高い買い物ですからね、誤差ですよ誤差」

 まぁいくら安いと言っても1機当たり、おおよそ15万クローネもするんですがね…

 とはいえ、戦前、他国の作る旅客機が1機当たり30万~45万クローネであったことを考えれば破格でしょう。

「これ、ライセンス生産したいって国が出てきそうね」

「出るでしょうね。ぼった食ってやりますよ」

「…ほどほどにね」

 外貨が入ってくるのは経済を回すうえでもよいことですが…そこまでうまくいけばいいのだけれどどうなるかしらね?

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