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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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終戦と領土問題

 1918年11月11日、中央同盟で最後まで戦闘を行っていたドイツと連合国の休戦協定が締結した。

「ようやく、この重苦しい戦争が終わるわね…」

「すぐにでも生活が良くなればいいけれど、あれだけ荒らされた各国の領土の状況がすぐに回復することはないだろうね」

 そうね、特に塹壕戦が起こった場所で農業はちょっと難しいでしょう…

 それでも、すべてを破壊し尽くすことになったこの戦いが終わったことで、局所的大量消費がなくなれば物流は徐々に正常に戻り、戦争参加国の配給制度も徐々に解除されてくるでしょう。

 娘のクリスはすでに15歳になり、航空学校に通っている。

 王族だからと贔屓しないでくれと学校には伝えており、彼女もそれが心地よいと行っている。

 今は寮生活をしているので長期休みの時しか合うことがないけれど、順調に勉強を進めているようで安心している。

 いま彼女が取得しようとしているライセンスは旅客機のもの、仮に戦争が起こりダンマークが巻き込まれることとなっても、”すぐに”戦場に赴くことにはならないであろう免許です。

 ちなみに、リックスも順調に小学校で学び友達もできたようです。

 たまに我が家に連れてくることがあります。

 当事国ではないもののどんよりとした雰囲気の合った街はだいぶ雰囲気が明るくなってきました。

 この戦争の間で国交を閉じなかったドイツ・フランス・オーストリア=ハンガリー、革命前のロシアからの亡命希望者は100万人を超えるほどでした。

 ダンマークにとどまる人はまれというより、許可をしたことはなく、第三国へそのまま空路ないし海路をつかっての移動としました。

 自国に難民を受け入れられるキャパシティーはありませんでしたからね。


 *****

「テューラ、領土問題について討議したい」

 戦争が終わりしばらくたったある日、わたくしに兄クリスチャンから電話がありました。

 前々から話しておりましたが、何かの折領土回復の機会が訪れたとしても、無理な併合や民意を無視したやり方はやめてくださいと言い続けていたので、わざわざ相談に来てくれるようです。

 久々に、兄とのお茶なので、念のため王妃様の分もお茶菓子を用意しておきます。

 たまにお忍びで遊びに来られるのですよねアレクサンドリーネ様は…


「すまないな、時間を作ってもらって」

「お邪魔しますわねテューラ姫さま」

「いえ、お兄様の頼みであればいつでも、リーネ様もようこそいらっしゃいました」

「そういってもらって助かる…リーネはしょっちゅう来ているようだがな。さて、早速なのだが…」

 現在連合国側で検討されているドイツとの講和条約の中に、旧ダンマーク領であるシュレースヴィヒの帰属について住民投票が盛り込まれるというものだ。

 想定通りの規定が盛り込まれることになったと私は胸をなでおろす。

 ただ、これがお兄様が国王としての一番の失敗となる原因でもあるのだが。

「住民投票の結果は素直に受け入れるべきです。王が国民の意思を尊重していると示す絶好の機会ですから」

「だが、もともとはダンマークの領地だったのだ、この住民投票にかかわらず我々に帰属すると権利を主張できるのではないか?」

「無駄な争いは避けるべきです。南ユラン半島はもともとプロイセン…ドイツ系の住民が多いのですから、無理に主張するのは現地住民の反感を招きます。何より、元は公国でしたからその意識も強いかもしれません」

「そうか、国土が増えることは国力の強化につながると考えるのだが…」

「逆に考えてください、守らねばならぬ土地が増えることは自国防衛において、今後は不利に働きます。此度の大戦において長い国境の防衛がどれだけ国庫に影響を及ぼすかはご存じでしょう?」

「うーむ…」

「あなた、ダンマークへの帰化に納得しない住民が領土にいることは、国として問題となりますでしょう?無理な併合は統治を脅かすと思いませんか?」

 おっと、ここでリーネ様からも援護射撃をもらえた。

 そうよ、今のタイミングで領土野心をむき出しにしてはダメなのよ。

 あくまでも”民衆の支持を得たうえでの帰属”でなくては!

「とはいえ、現在国民ではない方々へ訴えることもできます。幸いダンマークは此度の戦争においてほかの周辺諸国と比較して被害が少なく、経済的にも安定しています。

 失業率もほかの国より低く推移しており、産業も順調です。

 これらの魅力をもって希望者は暖かく迎え入れるといったほうが良いと思います」

「例えばであるが、領土とは別にダンマークへの帰化を望む者たちはどうする?」

「外相と相談とはなりますが、身辺調査は行ったうえで受け入れるべきでしょう。人は国力であることも今大戦で分かったことかと」

 私の答えにお兄様が腕を組み目をつぶります。

 自分の考えと折り合いをつけているのでしょう。

 しばらく動かないお兄様を横目にお茶をすすると、ようやく目が開きました。

「わかった、その方向で準備を進めよう。官僚たちの意見も聞くことにする」

「そうしてくださいませ。この時代においての賢王としてふるまってくださいませ」

「わかった、テューラだけでなく、民に失望されない行動をとることを誓おう」

 こうして領土問題についての方針が決まっていきました。

 史実ではほとんど領土を回復しませんでしたが、果たしてどうなることでしょう?

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