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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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兄のノルウェー国王就任と日露戦争終決による影響

 1905年11月18日、兄カールがノルウェー国王となった。

 これは、ノルウェーがスウェーデンとの同君連合を解消して、独立したことによる。

 ノルウェー独立の流れはスウェーデンだけでなくもともとダンマークの領地でありナポレオン戦争で敗れたことでノルウェーを分割した関係から、こちらも把握していた内容ではある。


 そして、ノルウェーにおける国民投票の結果、独立を宣言し、また同時に王政を選択したのである。

 そこで、同君連合の国王であった叔父様…お母様のお兄様に当たるオスカル2世の要請によってカールお兄様はノルウェーに渡ることとなったのです。

 これは前世でも同じ流れですわね。

 違いというほどのことでもありませんが、カール兄様は本来海軍の人間ではありましたが、即位に際し、船ではなく飛行機でオスロへ向かったというのが史実と違うところでしょうか?


 さて、そんなカールお兄様の即位の2カ月前、ポーツマス条約の締結によって日本とロシアの戦争は終結しました。

 なんでもマリーナが暗躍していたらしく、史実とは違う講和条約となったようで、満州の利権よりも樺太を優先させたようです。

 どういう暗躍の仕方をすればあの困難だったと言われた交渉をこんな方向に着陸させられたのか謎でしかありませんわね。

 ある意味で、日本を大陸に入れないようにしたとも取れますが、アメリカが中国にのさばる結果となったように思います。

 まぁあの国は始めからそのつもりだったようですが、20世紀に入って植民地なんて何の意味もなさなくなってきますわよ?

 ただ、このアメリカに対しての働きかけが出来たのは先に売却した西インド諸島の影響が多分にあったようです。

 一応マリーナの御爺様は元外務大臣ですからね、伝を使ってだいぶ暗躍したらしいです。


 *****

 ある日のこと、珍しく陸軍将校達が我が家を訪ねてきました。

 なんでも、戦略について意見を聞きたいとのこと、私に何が分かるんでしょうかねぇ?

 仕方がないのでニールスにも同席してもらいます。

「テューラ殿下、お時間を取っていただきありがとうございます」

「お気遣いなく中将、しかし私に何か意見できるようなこと等ございますか?」

 私の質問に客間で向かい合う中将が頷きます。

「すでに殿下は航空機についての戦術論をお持ちだと聞いております。事実、THIの出資で軍と共に研究している戦略論について私達は把握しています」

「それは重畳、今日はその戦略に至る為の戦術についてのお話ですか?」

 まぁそれしかないだろうと思っていたけれど、そっちの話がしたいのね?

 とはいえ、私を呼びつけるわけにもいかないから向こうから来たという訳で…でもそういった実務的な話は研究室に任せているのだけれど、何かあったのかしら?

「その先見の明をもって、この度日本とロシアで起こった戦いについてのご意見をいただきたいのです」

「それは国防に関することでございましょうね?」

「もちろんでございます」

 なるほど、私とマリーナで騒ぎ立てた日露戦争における要塞戦について、ないがしろにせずしっかり分析してほしいと懇願してたのが生きたわけね。

「この度、要塞という設備の強靭さと共に、もろさも明らかになりました」

 こうして話し始めた中将の言葉は、完全に”現代戦”と呼べるものだったことがうかがえました。

 要塞に立てこもる敵兵は砲撃すら無効化し、無意味に突撃をすれば機銃座によって薙ぎ払われる。

 そこに航空機まで入ってきたので戦いは複雑化、航空偵察により銃座を的確に把握し、砲兵による精密射撃で要塞線に穴をあけ、そこを一点突破する。

 逆に、防衛側も敵兵の配置や拠点を航空偵察によって確認し、砲撃を加えて物資不足を狙う。

 日本は戦死よりも病死の方が多かったと言われているようです。

「なるほど、航空偵察の重要性と共に、その防御について陸軍で困っていると」

「はい、もともと鳥の目線で戦場が見られればというのは軍人ならだれでも考える事でした、それが実現可能となった。空を飛ぶ飛行機を地上から撃ち落とすことはまず不可能です。

 日本もロシアも航空機には航空機でということで、戦争後半は翼の中に機銃を入れ無理やり敵機を射撃するようなことをしておったのです」

「爆撃もあったとか」

「ありましたが限定的です。どちらの陣営も一人か二人乗りの航空機を運用しておりましたから」

「中将は、我が国で行われた戦術爆撃は御覧になりまして?」

「みております、もしこの度の日露戦争において我が国のような爆撃機があった場合、より早期に日本軍は要塞線を突破していたことでしょう」

 まぁそれもピンポイントできっちり爆撃できたらでしょうけれどね。

「要塞のもろさ、お判りでしょう?我が国が大金を要塞につぎ込まず良かったですわね」

「まったくです。軍としては当初要塞に予算が付かないことに憤りを覚えておりましたが、今となってはその分の予算を航空機開発に回されたのは英断であったと思います」

 そう思っていただけるなら、我が国の軍隊はWW1の段階で鉄壁の防衛ができますわね。

「私、陸については詳しくないのだけれど、この度の戦争において、どのようにするのがより防御に優れるのか、今一度研究されるのがよろしいのではないかしら?たしか塹壕とかおっしゃったかしら?」

「堀のようなものですね。本来要塞であれば上に伸ばすものを下に人一人が入れる幅で掘ることで、敵の銃砲撃から身を守るものです。ご存じでしたか」

「言葉だけは、であればより空爆にも強く、かつ敵が浸透できないような塹壕というものを研究したらいかがかしら?今THIでは防空のために”迎撃機”を研究中です。近いうちにお披露目できると思いますよ」

 私の発言に他の将校たちが目を見開いている。

 どうせ女だからと少々舐めていたのでしょうけれど、これでもこちらは王族、しかも先の未来も知っている身ですもの。

 日露戦争は極東の猿が起こした”騎士の何たるかもわからぬ蛮族の戦争”ではないのよ。

 しかも日本だって”航空機”がつかえるんだから、その戦術は今のヨーロッパ各国より20年は進んだことでしょう。

 しっかり研究して、我が国を守れるようになってほしいですわね。


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