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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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ロシア バルト艦隊みゆ

 1904年12月、ダンマークは日露戦争など知ったことではないという状態のまま年越しを迎えようとしている。

 イギリス、ドイツとフランス、ロシアの仲は険悪となっているが、こと中立国であるデンマークではその影響は少ない。


 ダンマーク航空は通常運航しており、コペンハーゲン空港をハブとして現在はロシアはサンクトペテルブルクへも飛んでいる。

 こないだロシア太后妃であるダウナー叔母様が飛行機を使って訪問されたりして、料金が高いながらも飛行機の有用性は広まっている。


 面白いのは他国の都市同士を結ぶ路線はまだないことです。

 全てコペンハーゲン空港に集まり、そこで乗り継ぎが必要となっています。

 別にハブ空港としてそのような動きをダンマーク自体が取ったわけではなく、他国に作られた航空会社がどの路線を使おうが良いと思っているのですが、”中立国を経由する”というのが外交上一番角が立たないということのよう。

 まぁ後は航続距離の関係もあるのでしょうが…我が国は遠くはグリーンランドまで行かないといけませんからね。他国はまだそこまでの航続力が無いようです。

 イギリスやフランスは海外領土がありますから航続距離は必要だと思いますが、そうすると今度はエンジンスペックの関係で長距離を移動するには乗客を減らすしかなく、また高高度を飛ぶには防寒設備が必要など課題も多くあるのです。


 内は飛ぶのが平野部と海の上ですからね。

 そんな中、軍部からの情報として、ロシア海軍のバルト艦隊…俗にいうバルチック艦隊の作戦行動開始が示唆されております。

「やっぱり動きますか」

「マリーナやレーナが言うように史実通りに事が進んでいるのでしょう?そうならざるを得ないわよね?」

 コペンハーゲン発、サンクトペテルブルグ行の航空機のコックピットから取られた写真は、軍港で出港準備と思われる物資の大量搬入を写していた。

「まさか民間機に偵察されているとは思わないでしょうね」

 私の発言にマリーナがあきれ顔だ。

「いくらなんでも危険ではないですか?」

「バレなきゃいいのよ。それにパイロットがカメラを持っていても誰も咎められていないのよ?

 そもそも航空法と国際条約で他国に着いた航空機から降りても飛行場から外には一切出ないのだから、スパイだなんて言えるわけがないんだもの」

 実際は結構グレーだと思うけれどもね。

 情報局の連中は”中立国”というダンマークの立場を最大限有利に使い始めているようで、こうして上空からの撮影を行って他国の動向を見ているのよ。

 とはいえ、これは管制レーダーが無く、あくまでも目視による飛行しかできない今だからできる事ね。

 軍港や基地の上を飛んでも「そこに基地があったんですか?」とすっとぼけられる。

 それに、家の航空会社のパイロットは女性が多いからか、相手側も紳士的な対応をすることが多いし、はなから「軍事などわからんだろう」という舐めた対応をされているから、やりたい放題なわけだ。


「見つかったら国際問題になりますよ?」

「見つからなければいいだけだとは、家の情報局のはなしよ」

 マリーナが顔をしかめる。

 気持ちはわかるけどね、中立を維持するために情報は必要、ならその取得方法についてえり好みはしていられないと私は思うわ。

「ですが、そうなってくると自国の防諜も大変ですね」

「いくらか方策はとられているわ」

「…それ、私が聞いてて大丈夫な奴です?」

「知っているんじゃない?陸軍基地が地下に作られてるの」

「あぁ」

 マリーナは納得したらしい。

 自国防衛のために20年ぐらい前までは要塞を作ろうと盛んに言っていた保守派は方向性を変え、自国を防衛するための方策としての地下施設の建設を始めた。

 これは秘密裏に行った空爆実験によるところが大きい。

 ”地上の構造物は根こそぎ消し飛ぶ可能性がある”

 その結論から陸軍は地下に基地を作り始めた。

 海軍もバンカーについて構想しているが、船はさすがに大きすぎるため検討だけで終わっている。

 ダンマーク軍全体の総意としてはコペンハーゲンのあるシェラン島などの”島”を浮沈艦とすること。

 きっとその構想は”不沈空母”まで行くだろうと予測している。

「そういえば、マークス社ができました。港湾関係者とも調整をつけて、いよいよコンテナ輸送について実現できそうなところに来ましたよ」

「マリーナは、アレあきらめてなかったのね」

「我が国の労働力は限りがありますから、なるべく人手をかけないほうが良いというのが港湾側、ただし労働者が仕事を失いかねないので、そこは他の仕事への手厚い斡旋を計画していますよ」

 マリーナから一枚の紙を渡される。

 そこには、コンテナ輸送による利点と問題点に対する対応内容が書かれていた。

 なるほど、オーデンセを起点として各港でコンテナを積み込みイギリスをメインとした海運を開始するわけね…

 で、イギリスからは手始めとしてブリストルからの部品をコンテナ輸送するという訳か…

 そして、コンテナは道路幅と線路幅から統一規格とすると…積み替えも楽そうね。

「これは例のマークスが行うのよね?」

「そうです。ですがTHIにも頑張ってもらいますよ?コンテナ輸送用のトレーラーにそのままショートサイズを積めるトラックの開発、進んでいますよね?」

「もううちの手は離れたわよ、それはTHI自動車がやってるわ。でも順調だと聞いてる」

「そういえばそうでしたね」

 内も事業内容によって会社をばらしたのよね。

 本社は飛行機関連だけとして、自動車会社が別にできたのよ。

 面白いことにボルボより先にできてしまったわね。

 なんならロールスロイスより先よ。

 といっても、民間向けの”トラックばっかり”作っている会社ですけどね。

 乗用車は他国から買うわ。

 そこにコスト的優位性を持たせることができないんだもの。

 それこそ、ドイツから買ったほうが安いのよ。関税も下げているからね。

 その代わりバイクの関税は高いわよ。

 一般庶民向けの我が国の乗り物は自転車かオートバイって状態ね。


「しかし、バルチック艦隊は動きますかね?」

「動くでしょう、ロシア極東艦隊が大損害を被ったそうじゃない」

「無理やりの飛行機による偵察で海軍は捕まえたそうですね」

「二人乗りの飛行機を一人乗りにしてその分すら燃料を積んで何の目標物もない海の上を飛ぶ…日本人って恐ろしいわね」

 私の発言にマリーナは何も言わなかったが、微妙な顔をしていた。

 まともな無線通信が無いので、普通は飛んだら戻ってこないといけないのだ。

 しかし海の上で居るかもわからない艦隊を探し続けるのは恐怖でしょうね。

 燃料計とにらめっこしながら地図を片手に飛び続けるなんて怖くて仕方がないと思うわ…

 そう考えると、今やベテランパイロットで教官として第一人者になっているシャーロットには大西洋横断なんて恐ろしいことをさせたわね…今度謝っておきましょう。

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