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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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護衛戦闘機と子供

 1903年10月3日、私は無事に第一子を産みました。

 前世では成せなかった愛する人との愛の結晶は、小さくもしっかりとした重さをもって私の腕にだかれ、ニールスの腕にも抱かれ、ふにゃふにゃとした可愛らしい顔で私の心を癒してくれた。

 妊娠期間はものすごく大変でしたけどね…

 マリーナに言われた通り、一時的にT H Iの仕事をお休みさせてもらい、出産に注力させてもらったのはありがたかった。

 ちなみに、私の妊娠を機に会社の規定の一部を変更し、育児休暇の導入に踏み切った。

 これもマリーナの提案。

 レーナと違い、ちゃんと女性目線で提案をしてくれるので助かっている。


 そして娘、クリスティーナがだいぶ落ち着いた1904年2月、日露戦争が勃発した。

「やはり始まってしまいましたか…」

「極東の島国と大国ロシアの戦争…その極東の島国はあまりに無謀ではないかい?」

 朝食の時間、ニールスと一緒にとる間に私はいつも朝刊を確認する。

 一人で新聞を読んでももちろん良いのだけれど、あまり政治に関わらない別の目線を持つニールスとお話しすることで、新たなひらめきを得たりもするので、大切な時間になっている。

「そうとも言い切れないと思っているわ。日本はイギリスが同盟国となっているので裏で手引きしているのよ。さらにアメリカも日本に金を貸している。どういう意味かわかる?」

「日英同盟があるとはいえ、なぜアメリカが?」

「ロシアにこれ以上土地を与えないためと、アメリカもイギリスももっと中国が欲しいのよ。

 ここで日本に恩を売っておけばその利権に食い込めるという腹ね」

 とはいえ、その思惑は日本の暴走によってうまくいかなくなることを私は知っている。

 だからと言って、イギリスに働きかけをするだとかはするつもりはない。

 あまり大きく世界の歴史が変われば何がどうなるか全く読めなくなる。

 マリーナは何か一人でこそこそしていたけれど、私はこの件に関しては無関係よ。

「父から我が国からも観戦武官を送ると聞いたわ。イギリスから日本に提供した飛行機が戦争でどう使われるか確認するとのことよ」

「そうなのか…しかし極東の人間が飛行機など使えるのか?」

「使えるわよ少なくとも日本は、だからイギリスがついていると言ってもいいわね」

 どうしても今のヨーロッパの人間からすると、日本なんて黄色い猿が住んでいる国程度にしか思わないわよね。

 というよりも、中国と日本の差もよくわかっていない人がいるぐらいだもの。

 しかし、問題はロシアの出方ね。

 史実通りであれば今年の10月、バルト海から東へ回航される。

 その間も色々な事件は起こるが、ダンマークに最も関わるのはこの部分だ。

 我が国としてエーレン海峡を通過するのは各国に発布した公海規定により不干渉であるといっているけれど、敵対しているイギリスからいちゃもんつけられる可能性はある。

 どう立ち回るかが、この先も中立だと言い続けるためにも立ち回りが重要になるわね。


 *****

 朝食後、娘を乳母に任せ、私はT H Iに出社する。

 そろそろ本格的に始動しなくてはいけない飛行機の企画があるからだ。

「護衛戦闘機の開発ですか?」

 レーナと事前会議する上で、私から提案したのは護衛戦闘機の必要性。

 現在、イギリス、ドイツ、フランス、ロシアにそれぞれ国際線を飛ばしている状況であるが、ダンマークが誇るTHI−101の発展型、THI−103の就航により実現できたところがある。

 ブリストルから提供された1機あたり300馬力を誇るエンジンのおかげで、30人乗りの飛行機としてようやく役に立つレベルになったことで、貨物専用機も採算が取れるようになってきたからだ。

 そこで次に重要になるのは、この輸送機の護衛。

 T H Iは平和な開発を続けており、俗にいう民間機しか実は作ってきていない。

 偵察機はあるが"攻撃をするための飛行機"というものを開発していなかったのだ。

 他国においても開発される飛行機は"偵察"がメインであり、空において戦闘を行うという発想はまだない。

 だが、日露戦争の勃発によって、航空機からの攻撃というものが発生するだろう。

 何せ、飛行船も飛行機も両国ともに保有しており空を駆け回ることになる。

 偵察されることがわかっていて、それらを黙って見ているわけがない。

 となれば、その偵察機を撃破する飛行機が現れるのは時間の問題。

 それは民間機も戦争になれば攻撃されるようになる可能性があるわけです。

 前から護衛戦闘機については企画していましたが、まだ実現していなかったのです。

 四発機に追従できる護衛機を作る。

 それが今の課題です。

「必要性は理解していますよ。今研究もしています。問題は機銃の搭載位置です」

「俗にいう、同軸機銃というやつ?」

「はい、その開発に手間取っています。翼に乗っける分には問題ないのですが、できれば同軸機銃を盛り込みたいのです」

 試作機として作られたXF−03は翼に機銃を搭載していたものね。

「今すぐに必要というわけではないですが、再来年以降には実戦配備できる機体が必要ですから、よろしくお願いいたしますねレーナ」

「わかりました。あと、この機構は特許出願しませんからね?」

「もちろん、ダンマーク国内で秘匿しましょう」

 少なくとも、鹵獲されるまでバレてはいけない技術ですからね。

 特許出願は絶対してはいけません。

 とりあえず直近としては日露戦争の推移ですわね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 特許について詳しく解説してた回ありましたっけ? それがないと、機銃同調装置の特許を出願しない意味が、素人にはわからない気がします。
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