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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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63年越しの成就

 まさか親友に手ほどきを受けるとは…


 クリスお兄様との会話の後、家族会議の結果、私の結婚に関しては自由意思に任せるということになりました。

 何よりお父様が「これだけ国に貢献しているのだから、褒美としてそれぐらい認めてもいいのではないか?」と言ってくれたことが効きましたわね。

 私もすでに19歳、王族として婚約者がいてもいい時期ですしタイミングとしてはぎりぎりですわね。


「というわけで、どうやってニールスに近づけばいいか分からなくなっているのよ」

「前世ではどうやって仲良くなられたんです?」

 本日は久々にレーナとお茶をしております。

 もはやどうやってニールスと恋に落ちたか記憶があいまいで、21歳~65歳まで初恋をこじらせ続けた影響か恋愛ってどうやってするんだっけ?がいまだに抜けないわけです。

「えーと…彼は医者ですからよく会って近況報告をしあって、お茶を飲んでという感じで…」

「それ、今もカウンセリングとか言いながらやってますよね?」

 全くその通りね…やっているわ。

「もういっそのことテューラ様から告白したほうが良いのでは?」

「そ、そんなはしたないことできないわよ!」

「そうです?まぁ今の時代ならそうなんでしょうけれど…未来の世界には”肉食女子”なんてものもいますから」

 肉食女子?貴族なんて大体肉がメインじゃない。

 どういう意味かしら?

「恋人を求めてガツガツ行く女性を指す言葉です。

 優柔不断な男ならむしろこっちがリードしてやらないとってことですね」

 なるほど、未来にはそういう考え方もあるのね。

 普通は奥ゆかしい方が好まれると思うのだけど…

「そもそもテューラ様が奥ゆかしいかといわれると、今更そんなモノ…と思うのですのよ」

「どういう意味よ」

「THIの取締役、世界で初めて空を飛んだ姫様、ダンマーク重工業の牽引者、どれをとっても男勝りかと」

 …そういわれるとそうね。

 今更乙女ぶっても意味がない気もします。

 じゃあいっそ突撃するのもありかしら。

 でもフラれるのは怖いわね…それに今のニールスに彼女がいないかどうかも分からないわ。

 そういうお話はしないもの。

 私のせいで歴史が大きく変わっている部分があるのに、そのまんまってことはないわよね…

「テューラ様、悩むぐらいなら当たって砕けましょうよ」

「砕けちゃダメでしょう」


 *****

 来月には結婚しやがるレーナに背中を押された形ではありますが、私はニールスに告白することにしました。

 それこそ陳腐に「前世からお慕いしておりました」とでも言ってしまおうと思っております。

「今日のお加減はどうですかテューラ姫殿下」

「つい先日、友人とのお茶会で悩みが軽くなりましたの」

「それはよかった」

 一応心のカウンセリングということでニールスに見てもらっていますからね。

 実際悩み事というのは貴方のことでしてよニールス!

「あのね、ニールス先生…」

「どうされましたかテューラ殿下」

 ここで勇気を振り絞らなくてどうするっ!

 私はニールスと結ばれたいってこれだけ強く思っていたじゃない!!


「…わたくしと、お付き合いしてもらえませんか」


 いった、言ってやった!!

 思わずうつむいてしまっていた私がゆっくりと顔を上げると、彼は目をまん丸にしていた。

 そ、それはどういう感情?

 そうだわ、レーナから言われたのよ

 その場で答えられないからと先延ばしにするのは最悪の結果しか生まない。

 絶対にその場で答えを聞けと!


「お返事を、頂いてもよろしいですか?」

「ま、まってくださいテューラ殿下、少し考えさえていただけませんか」

「か、考えるのは構いませんが、今ここでお答え願います」

 もう顔がほてりきっている。

 きっと真っ赤だろう。

 でもここで引くわけにはいかない。

 王族だとは言え男女の仲になりたいと言っているの、愛のない結婚をしたいわけではない。

 でも前世ではあれだけ愛し合えたの、またやり直せるはずよ。


「…私は平民の出です。殿下とは釣り合わないのではと…」

「そこは気にしないでください。私は貴方のことを前世から好いておりました。

 この気持ちを受け止めていただけませんか?」


 ある種当然ともいえる答えに私はすぐに切り返した。

 そんな理由、今やどうでもいいの。

 カウンセリングとはいえ私を温かい目で見てくれていた今世のニールスだって、私の事を好いているはず。

 何処からともなくやってくる自信をもって、私は彼の目を強く見つめる。

 彼も何か覚悟を決めたように強く見つめ返してくれた。


「私は、姫殿下が幼少期よりこのダンマークの為に働いてきたことを知っています。そんな立派な女性が私の事を好きだと言ってくださるのです。私は、そのお気持ちに向き合いたいと思います」


 ふっと私の方から力が抜ける。

 よっぽど緊張していたのね。

 私の気持ちを受け入れてくれるか分からなかったもの。


「ありがとうございます。ニールス」

「これからよろしくお願いいたしますテューラ姫殿下」

「いいえ、ニールス。私の事はテューラとお呼びください」

「で、ですが!」

「大丈夫です。すでに両親も、祖父母も私の婚姻についてとやかく言わないと言質を取っておりますから…」

「そ、そうなのですか!?」


 まぁびっくりするよね。

 王家の人間が平民と結ばれるだなんて今の時代では異常でしょう。

 でも20年もたたないうちにそれは普通のことになります。

 飛行機を30年早く飛ばした女が、王侯貴族の婚姻の時代を2~30年先取りして何の罪がありましょうや。


 この日、私の前世からの願いの一つがようやくかなったのです。

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