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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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思わぬ形での急接近

 1897年12月、寒暖の差が激しく私は珍しく体調を崩してしまった。

「38.5度ですね…消化の良いものを食べ安静になさってください」

 侍女に付き添われての形だけれど、私を見てくれたのはニールスだった。

 アルベルト先生はお爺様についており、王太子家の医者はニールスが担当することになったのだ。

「お顔も赤いようですし…定期的に氷嚢を取り換えてください」

「わかりました」

 侍女に指示を出すニールス先生は診断用の器具をカバンにしまっていく。

 顔が赤いのは熱のせいもあると思うけれど、目の前に貴方がいるからよニールス…


 前世でもこのように看病してもらったこともあったが、私達の恋はもっと情熱的だった。

 人に見つからないように宮殿内で逢引したり、診察してもらうという理由をつけては会ったりしていた。

 でもそういえば、どうして私とニールスってそういう関係になったのかしら?

 あまりに恋い焦がれた期間が長すぎたせいで、出会いの記憶があいまいだ。

 初めて挨拶されたときに一目ぼれしたのかもしれないし、宮殿の図書室で偶然会って本の話で盛り上がったのかもしれない。

 少なくとも前世21歳で離ればなれになるまで、私達が一線を越えることのない清らかな恋愛を続けていた。

「…ニールスさん…」

 私はベッドに寝たままでニールスの方を向く。

「どうしました姫殿下」

「もうすこし、私の様子を見ていてもらうことは出来ませんでしょうか?」

「何かまだお体のことでご心配が?」

 私は小さく首を横に振る。

「不安なのです、侍女もおりますがお医者様がおられれば安心できます」

 ニールスはしばらく考えるようなそぶりを見せ、私のベッドサイドに椅子をもってきて座った。

「では、お休みになられるまで、こうしておそばにおりますので安心してお眠りください」

「ありがとう…ございます…」

 当然部屋には侍女も数名いる。

 未婚の男女が二人だけという空間ではない。

 それでも、私のそばにニールスがいてくれるだけで、なんだか心が温かくなるように感じ、私はゆっくりと眠りに着くことができた。


 *****

「成人したとはいえ姫殿下はまだ子供です」

「そのようですね」

 ようやく眠りについたテューラ姫についていた侍女からの言葉はその通りだと感じた。

 熱を出して弱っている彼女は歳相応の女性でしかない。

 ダンマーク王国の歴史一の才女などと呼ばれ、近代化をまい進する”鋼鉄の少女”などとも呼ばれるが…それは彼女の外面でしかないことはわかる。

 部屋においてある小説のタイトルを見れば、歳相応に恋愛小説などを好むことが分かる。

 その傍らに科学雑誌の山があるのは仕事の影響だろう。

 年の離れた兄姉は既に結婚し、一番上であるクリスチャン殿下も婚約者がいる状態。

 とはいえ、テューラ姫を”国外”には嫁がせづらく、かといって下手な貴族に嫁入りさせるわけにもいかなくなっているのが今の現状だろう。

 さらに、大人の世界で早くから活躍している彼女の胃が大変心配だ。

 ストレスによって内臓が弱くなり衰弱するというのは良く起こることだ。


 とはいえ、一介の医者である私が殿下を支えることなどできるわけではない。

 体調面でのサポートは出来るだろうが、それ以上何ができるわけではないが、弱っている彼女を見ていると支えてあげたいとも思ってしまう自分がいる。

 何か、私ができることはないだろうか…そう思わされる出来事だった。


 *****

 3日後、体調は万全に回復しましたが、ベッドから出ることができません。

 こっぱずかしい…何をしたの私。

 ベッドの傍らにいてほしいなんて弱っていたとはいえなんという…

 とはいえ、3日も業務をしていないなんて、いったいどれほどの事柄が滞っていることか。

 侍女を呼んで溜まっている書類について確認すると意外な答えが返ってきた。

「第一王子殿下が代わりに決裁をしておりましたのでテューラ姫の業務はありませんよ」

「まぁ…そうですの?」

 確かにTHIの決裁権はお兄様も持っておりますが、まさか肩代わりしてくださるなんて。

 びっくりしていると、クリスお兄様が部屋にやって来てくれました。

「お兄様、お手数をおかけいたしました」

「なに、皆テューラに頼りすぎていたと再認識した。すまなかったな」

 まぁ確かに協力してもらってはいても決裁などは私が基本的に行っていましたから、そう思われるのも分かりますが…

「主治医のニールスが私のところに来てテューラの状況を教えてくれた。

 風邪ではあるが、過労の影響も大きいだろうと。一介の医者にすぎぬがテューラの為に声を上げてくれた」

「そう…だったの、ですか」

 まさかニールスがお兄様に働きかけてくださるなんて!

 確かに医者ですから王子や王太子と直接話すことは可能ですが、わざわざそんな忠言をしてくださるとは思いませんでした。

 何でしょう…彼にも前世の記憶があるとか?

 でもそんな素振りはありませんでしたもの…どうしたんでしょうか

 これは何かある?

 私はどうすれば?

 あれ?恋ってどうするんでしたっけ?

 混乱している私をまだ体調が悪いと判断したお兄様によってまたベッドに寝かされてしまいました。

 結局その日は一日ベッドでモダモダすることになったのでした。

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