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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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24/69

でも王族って忙しいんですよ

 奇跡ともいえる再会を果たしたものの、私の日々は変わらず忙しい状態でして、本日はTHIで会議です。

 議題はドイツ帝国が作ったヒンデンブルク号による民間旅客開始のニュースに対する対応です。

「かのツェッペリン伯爵は、ついに大陸間を”旅客”を積んでの商業航路の設定を行いました。

 速度はT-08Cと同スペック、向こうは20人の乗客と大量の貨物を積載して、大西洋どころか太平洋まで越えます」

 レーナの説明に一同難しい顔になる。

 分かってはいたことだ。

 ドイツ帝国の技術力をなめてはいけないことは。

 そもそも、飛行機より先に飛行船で大西洋を横断しており、太平洋横断も時間の問題だったことは誰でもわかっていることだった。

 問題は、その飛行船に使われているのは我が国特許を多分に取り入れていること。

 その分、使用料は入ってきているが明らかに技術を進めてしまったことには変わらない。

 本来、ヒンデンブルグ号が世界一周をするのは1920年代のことだ。

 本来の商用飛行(ドイツ国内の飛行)だって、1910年代。それを20年は先取りしていることになる。

 まぁ飛行機関連技術を30年前倒しているダンマーク王国が言えることではないのが。

「現行の飛行機で太平洋横断は不可能です。まったくスペックが足りません。」

 レーナの報告に私が質問する

「素人考えですが、エンジンをたくさんつけるというのはダメなのですか?T-08Cは2発ですが、今研究中の4発機の進捗はいかがです?」

「進捗は良好です、来月には試験飛行ができると思います。

 150馬力のエンジン4発の同期が難しかったですが何とかなりそうです。

 問題は航続距離、胴体積載を全部燃料にすると離陸できません。

 かといって燃料を減らしては太平洋を越えるような距離は飛べません。

 せいぜい使えるのはヨーロッパ圏内がいいところですね。

 エンジン馬力が何とかなればどうとでもできますが、そうすると少なくとも1000馬力は欲しいところです」

「とても今現在では現実的ではない数値ですね…」

 ブリストルからはようやく200馬力超級のエンジンが出来そうだと連絡が来ているが信頼性が全くないとのことだ。

 そんなもの飛行機には付けられない。

 複数エンジンをつけておけば冗長性は確保できるとはいえ、今の故障率では同時にトチることも考えられるとのことなのです。

「やはりヨーロッパ圏内での商用飛行を実現するほうが良いかと思います。

 飛行船の速度はせいぜい100km/h、積載量を制限すれば4発機なら200km/hは出せます」

 それの採算がとれるようになったのはたしかアメリカのDC-3が出てからだったと記憶しています。

 飛行機は人数が乗らないと燃料費と維持費がかさんで投資分の回収ができないので、金持ちの道楽などとそれまではいわれていました。

 今現在、国内からの海外郵便についてT-08Cを使い始めていますが、採算はとれていません。

 とーっても真っ赤です。

 5tトラックとバイクの売り上げが無かったらとうの昔に倒産していますね。

「4発機は試験機に留め、採算が取れるサイズでの飛行機設計を進めることを提案いたします」

「テューラ姫の提案に賛成です」

 すかさずレーナが賛成してくれ、他の役員たちも賛成をしてくれる。

 とはいえ、そのためにはエンジン出力が向上しないとどうにもならない。

 ブリストルには早めにジュピター層とのエンジンを作ってもらわねばならないのですが、レーナもさすがにエンジン関係には詳しくなくブレイクスルーが出来そうにないのですよね…

 せめて500馬力エンジンが出来れば、4発積んでDC-3もどきを作れると思うのですが…


 *****

 会議の翌日、今度は国内の社交に出向きます。

 貴族の夜会ではなく、政治家との歓談です。

 ダンマーク重工業をけん引するTHIの代表ということになっていますから、私は引っ張りだこなのです。

「テューラ殿下の提案したフェロー諸島の資源再調査、実に先見の明がおありだと感心いたしました」

「しかし、採掘の方法はおありですか?」

「イギリスとも協力して海底から油をとる方法を模索中ですよ」

 本日の会談相手はロベルト・ノーベル氏。

 かの有名なダイナマイトを作ったアルフレッド・ノーベル氏のお兄さんにあたります。

 彼らはスウェーデン人としてロシア産出の石油をヨーロッパ各地への供給を商いとしており、今回の資源再開発に対して協力を要請した経緯があります。

 大きな石油関連企業がないダンマークが独力で今からどうこうできるわけもないので、ここは親類縁者を頼ってスウェーデンとイギリスを味方につけた形で北海油田の開発を前倒ししようという計画です。

 私もそんなところから石油が出るなんてマリーナたちから聞くまで知りませんでしたからね。

 そして、石油精製所はダンマーク国内に建てるものの、資本はスウェーデンはノーベル石油と我が国で半々というダンマーク石油という子会社ができて、現在国内向けのガソリンなどはここで製油されている状態。

 フェロー諸島で順調に石油が取れるようになれば、ロシアから輸入すること無く自国だけで石油を確保できるという算段でいます。

「今後ともより良いお付き合いをよろしくお願いいたしますノーベル様」

「もちろんでございます。お声掛けいただいたこと大変名誉なことと思っておりますので」

 実は、マリーナとレーナはアメリカのスタンダード石油に声をかけようとしていたのです。

 後の時代でノーベル石油なんて聞いたことが無いと。

 ですが、スウェーデンとダンマークは家族関係にありますからそういうわけにはいきません。

 未だに北欧通貨同盟は継続中ですからね。

 互に利が無ければ分裂してしまいます。

 仲間をわざわざ減らす必要はないというやつです。


 と、こんな日々を過ごすため、私はニールスに全く会えない日々が続いてしまっているのです…

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