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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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再会

 1896年9月1日、この日新しい従医見習いが入ったと連絡がきた。

 入ってきたのはニールス・クラウゼン・イルソー…私の思い人。

 65年と16年たった今でもその思いは変わっていない。

 前世で彼と出会い、愛が深まったのはもう少し後になってからだ。

 彼が正式に王家の侍医となってからだけど、私はどうしても彼を見に行きたくなった。

 今彼は28歳、大学を出て町医者をして頭角を現したことで新規の侍医試験を受けて合格したはずだ。

 私が結構歴史を変えてしまったので、本当に彼が町医者から侍医になってくれるか分からなかったけれど、安心した。

 カールお兄様とルイーセお姉様が結婚したことが発端で、国王であるクリスチャン9世を主に見る現在の侍医のほかにも医師が必要となったために採用されたという流れだ。

 お父様もすでに50歳を超えているし、お母様も6年前である39歳で妹に当たるダウナーを出産してからは平穏に過ごしているけれども、いろいろおつらそうだ。

 そういう意味では若い医者が必要だったというのが今のダンマーク王家である。

 クリスお兄様とも歳が近いので、本来であればクリスお兄様の主治医となる予定だったのだと思う。

 前世では、私との恋愛関係がばれた影響で、彼の道を閉ざしてしまったと思うと心苦しい。


「姫様も、子供らしいところがあって私安心しております」

「…そうね」

 こっそりと医務室へ向かおうと思ていたのだが、私が”一人”で移動することは、今や”ほぼ”できない状態である。

 必ず最低限メイドがつくし、何なら護衛も付く。

 宮殿内でもである。

 で、お付きのメイドに温かい目で見られてしまっている。

 16歳にもなって子供らしいも何もないのだが、わずか3歳のころから異常な行動を見せ、妹のダウナーが生まれたときすら一番落ち着いていたといわれた私が、新しい医者が気になると言ってそわそわしていればそういう感想にもなるかもしれない。

「ちょっとどうしても気になったのよ。若いお医者様なんてしばらく会ったことが無いのだもの」

「そうでございましょうねぇ、姫様はお仕事ばかりで年寄以外はいつものお二方としか仲良くされておりませんもの」

「家族とも仲良くしているし、他の貴族とも交流しているわよ!」

「相手は皆さま大人ではございませんか」

 まぁそうだけれども…よく考えたらマリーナやレーナ以外の同い年の子供たちと話したことってほとんどないわね…

 コペンハーゲンにある学校での講演会みたいなことでなら接したことはある程度だ。

 いや、まったく会っていないわけではないのよ?

 王家主催の茶会だとか夜会はあるので、そういった社交の場で出会うことはままある。

 とはいえ、私も来年には正式に社交デビューとなり、一成人王女としての立場ができる。

 今はまだ私に対する婚約の話はないが、あまりに表立って活動しているうえに、THIの代表でもあるため、ヘタに国外にも出せないという両陛下の判断もある。

 私は前世で独身を貫いたけれど、意図せず国外に嫁ぐ道を自分で潰していたことには気が付かなかった。


 ちなみにレーナは付き合っている男性がいるという。

 解せぬ。

 彼女、前世は男性だったという話をこないだ暴露されたが、にもかかわらず恋愛対象が男性だというのには驚かされた。

 レーナ曰く「魂が性別に引っ張られたんでしょう」とのこと。

 多分そうなのだろうと思う。


 そうこうしているうちに医務室に着いた。

 中にはいつものおじいちゃん先生とは別に若い男性が数名いる。

 そこで私は意中の人を見つけた。

 スラッとした長身でこげ茶の髪を撫でつけた灰色の瞳の彼は私が最後に見たニールスと何も変わらなかった。

 目頭が熱くなるのを感じる。

「姫様、姫様!」

「どうされましたテューラ姫様」

 おじいちゃん先生が気が付いてずっと声をかけてきていたのに気が付かないでいたらしい。

 メイドに肩をゆすられ始めて気が付いたほどだ。

 あぁニールスが生きている。

 そしてまた宮殿に来てくれた…

 でもどう声をかけていいか分からない。

 今は私が一方的に思いを募らせているだけ、こんな顔を見せるわけにはいかない。

「すみませんが痛み止めをいただけませんこと?」

「直ぐ用意いたします」

 先生がそう言って用意してくれた薬を受け取り、すぐに私は部屋にもどった。


 *****

 ブルネットの髪がきれいな可憐な少女が医務室に来ていた。

 新聞で写真を見たことがある。

 たぶんテューラ姫殿下だ。

「アルベルト先生、今のは?」

「テューラ姫様だ」

 私は念のためアルベルト先生に確認したが思っていた答えを得られた。

「あれが噂の…年頃の女の子にしか見えませんでしたね」

「まだ16歳の少女じゃよ。THIの代表という看板を背負われ、ダンマーク王国の行く末を憂いておられる賢姫などと称えられておるが…まだ幼かった姫に頼らざるを得なかった我が国が情けない」

「とはいえ、今は世界に誇る航空機立国ですから、姫の功績は偉大かと…」

「姫はそういう扱いを好まん、ありのままを見てやってほしいと思う」

 そうであろうなと思う。

 テューラ殿下はあまりにも有名なため、歳相応の対応がされることは少ないだろう。

 幼少期は世界各国飛び回っておられたが、最近はアマリエンボー宮殿かTHI本社にいることが多いと聞く。

 本来であれば学校へ行くべき年齢だったというのにずっと実務を行っているという。

 だが、私の目からは年頃の女の子の様にしか見えなかった。


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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱりレーナの前世は男性だったか。 なんとなくそんな感じはしてた。
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