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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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18/69

進む重工業化とお姉様の嫁ぎ先

 1893年1月、もうすぐ13歳となるこのタイミングでシカゴ万博が開催された。

 私は行っていない。遠いし。

 レーナは会社の技術者の一人として訪問している。

 彼女曰く電気の祭典らしい。

 コロンブスのアメリカ大陸発見400年を記念した万博ではあるが、かのエジソンやテスラが発電方式でバッチバチにやりあっているタイミングだ。

 ちなみにテスラが勝って、後に世界は交流発電になるわけです。


 実は我が国、当初は風力発電も含めて発電方式が直流だったのですが、昨年交流に移行しました。

 普及しきる前でよかったのと火力発電所を建てるにあたってTHIからテスラに技術協力を願い出たことが理由です。

 アルミ工場ができるのは今年の夏ごろを予定しており、火力発電所は現在試運転中。

 おかげでアマリエンボー宮殿の照明が完全に電化しました。

 本来はアルミ工場用ですがまずはテストとしてコペンハーゲン市街にも送電を開始しています。

 なにせ今までにない発電方式なのでテストで異常がないか確認が必要となったのです。

 その名も蒸気タービン発電。

 これはイギリスのロス伯爵が特許を持っていたもので、1889年に実用化したそれを大型化した物が今回の設備です。

 計算上の最大出力3万キロワット。

 1基のタービンでは実現できないので5基もタービンを並べて発電しており、今はそれぞれ1基ずつ動かしてのテストを行っている状態です。

 これは、氷晶石で儲かっているお金をつぎ込みました。

 ダンマークの重工業化には絶対に必須だという意見が財界からも上がり始めたからです。

 おかげでダンマークのコペンハーゲンをはじめ、各港町は好景気に沸いています。

 重工業化による必要な労働者数は増加の一途をたどっています。

 そして古都オーデンセは造船景気に沸いています。

 タンカーにバラ積み船、そしてフェリーが誕生しました。

 車を積んだまま輸送する船です。

 おかげで5tトラックを比較的簡単に輸出できるようになりました。

 イギリスではまだ普及が進んでいませんが、ドイツ・フランスではそこそこ売れ始めています。

 ダンマークでも工場建設にバカ程投入していますからね。

 馬車より荷物が積めて休憩いらず。

 燃料さえあれば動きます。

 まだ工作精度などの問題から故障も頻発するようですが…許容範囲なようです。

 さらに、購入するには高いだろうということで、マリーナはレンタルという貸出方式を5tトラックに適応しています。

 必要とするところに一週間当たり5クローネぐらいで貸し出しています。

 普通に購入することを考えると1,000クローネを越えますからかなりリーズナブルです。

 レーナ曰く、将来的に半分ぐらいの価格で同じ性能の物を作りたいとのこと。


 おかげでコペンハーゲンをはじめ大都市では道路の整備問題が持ち上がっています。

 石畳は走りにくい、都内は道が狭い。

 酪農による貿易にもトラックは使えると分かってきて余計に我が国内において道路の重要性が増してきました。

 そこで、アスファルト舗装について国内規格が決まり、道路敷設法が成立。

 国内における鉄道整備と共に道路整備も始まりました。

 長距離は鉄道、そこからトラックに載せ替えて目的地までという物流網が出来上がりつつあります。

 ようやくまともに動き出したダンマークの産業革命といった感じです。


 *****

「テューラには感謝してもしきれないわ」

「ルイーセお姉様、気にしないでくださいな」

 本日は久々にルイーセお姉様とお茶をしております。

 この度、国内貴族と婚約が決まり史実の様に国外に嫁がなくてよくなったのです。

 海外領土の重要性がグッと増したことが最大の理由ですわね。

 特にグリーンランドの地下資源は海をまたぐけれど”自国から取れる”というアドバンテージが大きい。

 既に石炭の採掘も始まり、一部鉄鉱石も産出され始めている。

 氷晶石だけでなくグリーンランドの重要性が増しまくった結果、お婆様がついに折れたのです。

 国外に孫娘を出すより国内のほうが幸せになれそうだと…

 それに私を含めお兄様がたも巻き込んで、今後王侯貴族の婚姻による各国の協力なんていう政治は重要視されなくなる、国王は自国の看板として威厳を保つべきという未来知識をがっつり使った説得の甲斐もあったのでしょう。

 で、律儀なお姉様はお礼にお茶会を開いてくれたわけだ。

 結果としてエルブレヒト伯爵家に嫁ぐことになり、お姉様としてもほっとしているようです。

「何かあればすぐに宮殿に戻ってこられますし、近い将来1日でグリーンランドにも行けるようになりますから今しばらくお時間を下さい」

「飛行機でそんな遠くへいけるのよね?」

「はい、1895年までには大西洋を横断する予定です。人を乗せて」

「馬車どころか船よりも早く海外領土に行けるようになるのね」

「お姉様、もう馬車ではなく自動車の時代ですよ」

「そういえば、インゲボーが乗り回していたわね…」

 インゲボーお姉様専用黒塗りの高級トラック…未だ一般的な乗用車が雨風をしのぐのは幌だというのに、すでに箱型の乗用車にお姉様は乗っていたりします。

 例の改造5tトラックです。

 パワーに余裕があるので木製の箱型形状を支えられるんですよ。

 おかげで公用車として王族用の5tトラックをもう一台作ることになり、そちらは白塗りでオープンカーにもなる仕様。

 屋根が外せるんです。

 そして、インゲボーお姉様が街中で乗り回すもんだから、道路交通法的な物も出来ました。

 敷設法と交通法の成立です。

 なにせ馬車よりスピードが出ますから事故ると危ないので。

 1895年からは、この法律に則り馬車も車も免許制になります。

 なにせ市民からの要請が大きかったですからね。

 イギリス同様、今は児童も労働力とみなされている時代のため、子供がトラックを運転してお店に突っ込んだとかそういう事故が起こりましたから…

 年齢制限もかかるので、私はまだ乗れないことになりました。

 あと5年したら車の免許ぐらいとりたいですわね…

ざっくりイメージ5クローネは今なら65,000円ぐらいです。多分おそらくメイビー

金1g=2.45クローネだったらしい(WW1より前は)

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― 新着の感想 ―
1週間5クローネで売値が1000クローネだと200週。1年52週として4年近くかかるけど、初期の機械製品って壊れやすいイメージだけど、故障時、事故時に追加料金徴収する感じなのかな?
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