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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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グリーンランドの鉱物資源

「テューラ様、私たちも知らなかったのですが、我が国はアルミ生成に必要な大切な原料が採れるそうじゃないですか…」

 ある日のこと、レーナがアマリエンボー宮殿にやってきたと思ったらボヤキ散らした。

 氷晶石…クリオライトがグリーンランドから大量に産出され我が国を経由して各国へ向けて輸出されていると知ったらしい。

 これは炭酸ソーダとミョウバンの原料として産出している鉱物資源だ。

 私はそれがアルミ原料だとは知らなかったのだ。

「厳密にはアルミ原料というかアルミを生成するのに必要な溶媒ものなのですが、グリーンランドから取れるなんて知らなかったんです。

 グリーンランドの鉱物市場はバブル状態だそうじゃないですか」

「バブル?」

「暴騰って状態です資源がなくなったり代替案ができるとそのうち弾けて暴落しますよ」

 少なくとも私が生きている間でそのようなことはなかったが…第一次大戦のときは海上輸送が使えず大打撃を受けたし、第二次対戦中はアメリカがグリーンランドを抑えていたんでしたっけ。

 あれは、アルミをドイツに渡さないためだったのね。

 そう考えると石炭とか鉄鉱石が取れてもあまり頼りすぎるのはよく無いのかしら?

「それでレーナは、なんで私のところに駆け込んできたの?」

「飛行機にアルミは絶対に必要な素材なんです。

 アルミそのものではダメで、その合金がほしいんですが、せっかく自国でアルミ生成に必要な原料が取れるなら、鉄鋼なんてイギリスから輸入すれば良くてアルミの生産を大規模にやったほうがいいんですよ!!」

「でも、もうイギリスとの交渉は終わってしまったとお父様から聞いてるわよ」

「あああああああああ、おそかったぁぁぁぁぁ」

 それにアルミならフランスかアメリカだと思うのよ。

「どちらにせよ国内で鋼材の生産ができないことには工業化は進まないでしょ?必要な投資だと思うのだけど」

「それはそれ、コレはコレです…」

「そもそも、数十年前のパリ万博でアルミが展示されていたけれど当時は金より高かったのよ?

 生前は気がついたら巷に溢れていたけれど…」

「その技術が開発されたのが1886年なんですよ!!だから氷晶石の需要が高まってるんです」

 アルミの工業化ってこの頃だったわけね?

「つまり我が国でアルミ生成を行いたいということ?」

「そうです、フランスから技術を買うのが早いと思います。あとの問題は電力ですね」

「電力?」

「そうですアルミは電気の缶詰なんて呼ばれているほど生成に電気を使います。

 ある程度新地金ができれば再利用したほうが使うエネルギーを少なくできますけれど、まず新たに生成しないといけないわけですから電力がキモになります」

「そこまで行くと私ではわからないわよレーナ…お父様に声はかけてみるけれど」

「世界に認められるのは戦後ですがアルミを発見したのはダンマークってことになってるんです。

 このアドバンテージを使って大学教授やら財界動かしてお力添えください」

 さっきからレーナががっついてきて怖いのよね…そこまで必要なのであれば私だって王族としてTHIの看板として動こうじゃ無いですか。

「わかった、レーナ少し時間を頂戴、あと可能な限りの資料をお願い」

「わかりました。量産方法はできたとはいえ世界で工場が立ったという話は聞きませんから、研究者に支援して特許の買取…まだ渡してない航空機技術と交換だってできると思いますよ」

「いいえ、資源を抑えているなら交渉のしようはあるわ。

 原材料の輸出を盾にして交渉しましょう」


 こうして、ダンマーク発のアルミ工場の建設計画がスタートすることになりました。

 フランスなら貴族がほぼ絶滅していますから、ルイーセお姉様を嫁がせる心配もないですし、何とかなるでしょうが…問題は主原料のほうですわよね?

 インド本土では産出するらしいですが、それってイギリスから購入が必要ってことですわよね?

 イギリス世論は西インド売却もあってかなり良い状況らしく、今は酪農製品の関税問題が話し合われている中でもかなり良い状況らしいですが…そこに絡めてボーキサイトの輸入を隠した鉱物資源の関税を下げるからなんて交渉もできるかもしれないですね。

 さらに電力ですが…我が国は実は風力発電が一般的だったりします。

 スウェーデン王国には水力発電所がありコペンハーゲンはそちらから電気を分けてもらったりしていて、大電力を発生させる発電所がないのです。

 安定した大電力を得るためには火力発電所が絶対に必要でしょう…。

 フェロー諸島で石油が見つかればいいのですが…

 お父様と早速相談しましょう。

 コレはまた忙しくなりそうです。

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