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やり直し王女テューラ・ア・ダンマークの生存戦略  作者: シャチ


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未来の不幸を何とかしよう

 1892年9月、THIが会社として軌道に乗り始め、ダンマークは景気が良くなってきていた。

 T-3飛行機と5tトラックの売れ行きが思いのほか良いことが理由だ。

 おかげで部品や資材が足らないという状態になりつつある。

 基本となる鉄鋼はイギリスからの輸入に頼り切っているし、ガソリンについてもノーベル石油を使ったロシアからの輸入に頼り切っている。

 そんな中、父である王太子フレゼリクの号令の下、マリーナとレーナから提案された国の工業規格DISの制定が発布された。

 実際に効力を及ぼし始めるのは1895年から。

 その間は移行期間となるけれど、THIに部品を納めるならDIS規格に合致していないと受け入れないということにして国内の規格統一を国として推し進める形になっている。



「で、また提案という訳かいテューラ」

「はい、お父様。我が国の海外領土であるフェロー諸島とグリーンランドについては再度の資源調査をお願いしたいのです」

「アイスランドはいいのか?」

「あそこは噴火が絶えないではありませんか。仮に地下資源を見つけられても採掘は非常に危険を伴うでしょう」

「確かにそうだな…」

 マリーナとレーナの知識からフェロー諸島は油田が、グリーンランドには石炭や鉄鉱石が取れることが示唆されており、再度の資源調査を依頼中。

 海外領土とはいえ自国で資源を確保したいからのお願いです。


 そして、ルイーセお姉様をボヘミアに嫁がせないための布石でもあります。

 現王妃であるお婆様がルイーセお姉様の性格と国のことを考えてドイツとの結びつきを考えボヘミアを治めるシャウムブルク・リッペ侯の息子との婚約を結ぶのだけど、引っ込み思案なお姉様はボヘミアの地が合わず、ホームシックに掛かりよくこの宮殿に帰ってきていた。

 そして、ストレスから早くに亡くなってしまうのだけど…

 既にドイツとの関係も落ち着き、お姉様がドイツへ嫁ぐ意味は無くなっていますが、我が国と陸続きの為資源輸入という点では結びつきは重要と言えます。

 とはいえ、後20年もすれば王侯貴族の婚姻による同盟関係なんてものはその辺の紙程度の価値しかなくなりますから、無理してお姉様が結婚することすらないと思っているのです。

 なんなら国内に居られるように取り計らうほうが良いぐらい。

 そこで、我が国の海外領土であるフェロー諸島やグリーンランドの重要性を増すことで、お姉様の婚姻先を国内にしてしまおうという考えです。


 その辺の紙程度しか価値がなくなるとはいえ国内であれば、多少なり自治権があるフェロー諸島やグリーンランドの法務官である貴族にお姉様が嫁ぎ国内で過ごせば王家は領島を重要に思っていることを示せます。

 年に数回島に行くだけで済ませれば、お姉様も長生きするはず。

「ですのでお父様、伯爵家以上のものを指定し再調査をして頂きたくおもいます」

「…何を企んでいる?」

「ルイーセお姉様の安寧を」

 私はお父様の目を見つめる。

 しばらく見つめあうとお父様がフゥと息をついた。

「わかった。私もルイーセのことは心配している。母が良い嫁ぎ先をと言い始めているが、他国に出して安心できる性格をしていないことはわかっている…それを国内で何とかするための布石にするというのだな?」

 私はこくりと頷く。

 この辺の駆け引きはもう慣れたものである。

「まったく、テューラが男であったならな」

「お父様、不用意な発言はおやめくださいな。

 次期国王となるために頑張っているクリス兄様が可哀そうです」

「お前も言い切るでない!」


 こうして海外領土についての資源再調査について議会で取り上げられた。

 その過程で西インド諸島について今一度売却の話が出た。

 そこで生産されているのは砂糖やコーヒーなどが栽培されているのみ、ダンマーク西インド会社が管轄しているけれど最近では暴動が絶えず安定した供給になっていない。

 持っていてもうまみが無いのだ。

 しかも持っているのは島々で資源開発という目で見た時、輸送費も含め分が悪い。

 なにより東インドを含めたアジア方面の貿易港は既にイギリスへ売却済み、残っているのはそこだけなのだ。

 史実では1917年にアメリカへ売却されている。

 そしていままた売却の話が持ち上がったのだ。

 一番いいのはイギリスに売り払うこと。

 なにせすぐ東はイギリスが持っているから。


 その話を聞いたマリーナが外務大臣である彼女のお爺様に話を持っていき、金ではなく技術を買うように仕向けた。

 イギリスに売るならお金ではなく技術と交換のほうが良いと。

 近隣の海外領土で資源調査が始まるのを見越して石油精製技術と製鉄技術を買い取ってしまえという魂胆である。

 最悪どちらも原油や鉄鉱石と石炭の輸入で稼働も可能。

 一度鉄が入ってくれば国内でのリサイクルを回すことで少なからず資源を流通させられることも利点となる。

 エッフェル塔まで行かなくても将来的に国内に電波塔は立てたいので、そういった構造用鋼材の製造も必要だろう。

 まだ国の鉄鋼技術は鋳造ばかりなのだ。

 鍛造、圧延鋼板製造設備を入手したほうがよいと考えたわけだ。


 我が国の外交官には申し訳ないことをしていると思う。

 立憲君主国家故、王族の意見も国会には反映されることから、私もお父様を通じてお爺様へ意見を陳情し、早期に西インドから手を引くことが決定された。

 そして今はイギリスとの交渉という状態。

 なんとか製鉄所の設備を丸々買い付けるような結果を持ってきてもらいたいと思っている。

 さて、イギリスはどう動くかしら?

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